マイケル・ジョーダン「The Last Dance」とコービー・ブライアント
コロナの影響でNBAシーズンが休止となった3月中旬から、「バブル」と呼ばれフロリダのディズニーワールドリゾート内にて無観客試合で再開されるまで4か月程。
通常であれば既にNBAファイナルが行われて、チャンピオンチームが決定している時期である。
そんな今シーズン、NBA関連で最も話題となったのはNBAシーズンの休止でもなく、NBAシーズン再開でも無い。
2020年、NBAの話題とは!?
今年NBA界で最も話題となったのは:
① ロサンゼルス・レーカーズの伝説、コービー・ブライアントのヘリコプターでの事故死
② 4月19日から毎週2つのエピソードが放送されたマイケル・ジョーダンの最後のシーズンであった1997年から1998年の舞台裏で撮影されていた秘蔵映像を交えてのドキュメンタリー、The Last Dance
上記2つであろう。
The Last Dance
「The Last Dance」はESPN FilmsとNetflixで共同制作され、ESPNで放送されたこのシリーズ。ドキュメンタリー好き、スポーツ好き、映像好きならば見逃すわけにはいけないほどの大作であった。
いかにマイケル・ジョーダンが偉大であったか、またその知られざる素顔と共に美しい構成、そして編集をされている見ごたえ十分の10エピソードからなるシリーズであった。
マイケル・ジョーダンは言わずとしれたバスケットボールの神様、誰もが認める史上最高の選手である。
現役を引退してから20数年が経過した今でも、その人気と影響力は多大であり、Nikeから発売されているエアジョーダンは今でも最も販売数の多いスニーカーの一つである。
ジョーダンとの契約時には一スポーツブランドであったNikeが、ジョーダンの活躍によって瞬く間に世界的ブランドに成長していった功績は多大なものである。
The Last Dance内でも放送されているが、その頃のNBAにシューズを提供していたのはConverseであり、そしてジョーダンはAdidasとの契約を熱望していた。しかしAdidasはその頃、経営不振であった為ジョーダンが希望していた契約条件(その頃はまだ大学を卒業したてのルーキーであった事もあり)には程遠い金額しか提供出来なかったのである。
Nikeはジョーダンの眼中になく、最も高額な契約条件を提供していたにも関わらず、ジョーダンは頑なにNikeの本社へ訪問する事を断っていた。
ジョーダンのエージェントであるデビッド・フォークがジョーダンの両親を口説いてNike本社への訪問を促したのである。
ジョーダンに懸けていたNikeはこの訪問時に、当時は誰もが考えもしなかったバスケットシューズのシグネチャー・モデルとしてジョーダン・ブランドを設立する事を約束した。
最初の4年間で4百万ドル(約4億円)を販売する事を目的としていたが、ジョーダンの大活躍によって何と1年目にして125百万ドル(約125億円)を販売することになった。
アメリカのチームスポーツで良く言われる協調性を問う言葉
そんな中で、いかにジョーダンが勝利に拘っていたかという事が分かるエピソードが紹介されていた。
アメリカのチームスポーツで、チームの規律を重んじずに和を乱す選手がいる時に良く使われる言葉がある。
There is no "I" in ”TEAM"(TEAMにはIが含まれていない)
という言葉である。
どういう意味なのか?
チームという単語(TEAM)には、自分(I)が入っていないだろうという事で、個人プレーに頼り過ぎずにチームワークを大切にしろという意味である。
マイケル・ジョーダンの言葉
ジョーダンはこの言葉にこう返した。
There is "I" in "WIN"(WINにはIが含まれているだろ)
超負けず嫌いであるジョーダンは、どんなプレイをしようがWIN(勝利)をすれば良い、WIN(勝利)にはI(自分)が含まれているのだからという。
チームプレイも重要だが、勝つ為には個々の強みが絶対的に必要であるというジョーダンだからこそ重みのある言葉である。
コービー・ブライアントの言葉
そしてそんなエピソードを見ながら、もう一人のレジェンドの話と繋がる。
今年1月後半に次女のバスケの試合参加の為に搭乗していたヘリコプターで娘含む9名と共に惜しくも亡くなってしまったコービー・ブライアントのメモリアルにて、かつてのチームメートであるシャキール・オニールが思い出話を語っていた。
まだ若く、全くパスをせずに個人プレーにひた走っていたコービーに対して、他のチームメートからシャックにコービーに対してパスをする様に伝えてくれという苦情があった。
シャックは若きコービーに伝えたのだ。
There is no "I" in ”TEAM"、と。
コービーは何と言ったか。
I know, but there is "M" "E" in that Mo**** Fu****(知ってるさ、でもME(自分)は含まれているだろう)
このエピソードをシャックが大勢の前で伝えた時、皆は大爆笑。コービーの負けん気の強さが表れているエピソードである。
The Last Danceを再度鑑賞しながら(Amzon Primeで購入可能)、2人のレジェンドを想うのである。
3分45秒位からが、コービーとの会話の回想。