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投資に関するご注意
この記事はあくまで情報提供を目的としており、金融商品の勧誘や推奨を行うものではありません。投資にはリスクが伴いますし、皆さんの状況や目標に最適な投資戦略は個々に異なります。
投資判断を行う際には、十分なリサーチと専門家のアドバイスを受けることが重要です。この記事の情報は一般的なものであり、特定の個別の状況に対する適用を意図していません。
投資に関する質問やコメントは歓迎ですが、皆さんが適切な投資判断を行うための基礎知識を身につける手助けとなることを目指しています。安全で健全な投資体験をお楽しみいただけるよう、情報の活用には慎重さが必要です。どうぞよろしくお願いします。
EPS・売上
財務諸表
まずは財務諸表の損益計算書、売上から見ていきます。
損益計算書(PL)
売上は3,760Bで前四半期3,415Bと比べて上昇、昨年同期2,690Bと比べて売上成長率は+39.8%と前期の売上成長率31.5%よりも増加しています。
売上成長率は22年Q1からの下落基調でしたが今回反転しました。
次に粗利について見ていきます。売上総利益(粗利)は1,995Bとなり、前期1,720Bから+16%、前年同期の1,348Bから+48%と大きく成長しました。
粗利率も順調に成長しており53.1%となりました。
粗利率に関して類似同業他社との比較をしてみます。
MELI:53.1%(Quarterly) 南米EC+フィンテック
AMZN:46.24%(Annual) アメリカEC+AWS
PDD:72.07%(Annual) 中国EC
SHOP:48.8%(Annual) 全世界EC
SQ:34.69%(Annual) アメリカ・フィンテック(BTCの取り扱いを含む)
SE:45.45%(Annual) アジアEC+フィンテック+ゲーム等
ECとFintech事業を行っている企業がメルカドリブレだけなので比較はしにくいですが、おおよそ50%を超えているのは高利益体質であると言えそうです。
PLの最後は営業利益率です。グラフには値を入れ忘れましたが、今期の営業利益は685Bとなりました。前期の558Bより+23%となり前年同期の296Bより+131%となり2倍以上の強い成長となっています。
営業利益率についても18.2%となり、前期の16.3%や前年同期の11%よりも明らかに増加しています。グラフを見ると2021年Q4の1.1%から2年弱で大きく成長しているのがわかります。
グラフはありませんがEBITDAも営業利益率と同様に成長しています。
貸借対照表(BS)
次はバランスシートを見ていきます。
グラフで見ると負債が多く、流動負債が特に多く見えますが、メルカドリブレはフィンテック事業を行っているため、利用者からの入金額が流動負債に算入されます。ですので、ユーザーからのデポジットを差し引いた場合、流動負債はおよそ4,000M程度になると思います。それを元に考えると少しリスクは取っているもののレバレッジの効かせた経営と思います。
純資産に累積赤字もなく利益剰余金も順調に増加している点も悪くないです。
キャッシュ・フロー計算書(CF)
財務諸表の最後にキャッシュ・フロー計算書を見ていきます。
今期の営業キャッシュ・フローは941Mでフリーキャッシュフローは815Mでした。前期よりは下がりましたが、前年同期よりは成長しています。
フリーキャッシュフローマージンは21.68%で前期の38.01%や前年同期の22.97%と比べると下落しています。
売上に対して営業キャッシュ・フローが下がっていることになります。原因は複合的かもしれませんが、クレジットカード事業が成長しているため売掛金が増加してることかもしれません。
KPI
GMVとTPV
財務諸表の次は売上の元となるKPIの変化を見ていきます。
まずはEC事業の重要指標となるGMV(Gross merchandise volume)です。
GMVはメルカドリブレ・マーケットプレイスを通じて完了した全取引の米ドル合計です。今期は11,360Mとなり前年同期比+59.3%と成長率が加速しています。
次にTPV(Total Payment Transactions)です。
TPVはマーケットプレイス取引と非マーケットプレイス取引を含む、メルカド・パゴを利用して支払われた全取引の米ドル総額です。今期は47,256Mとなり前年同期比+121.20%で、こちらもGMV同様成長率が加速しています。
その他のKPI
メルカドリブレ・アクティブユーザー:前年同期比+35.7%
マーケットプレイス・バイヤー:前年同期比+18.4%
フィンテック・アクティブユーザー:前年同期比+17.3%
ウォレット決済ユーザー:前年同期比+27.2%
アセット運用ユーザー:前年同期比+34.4%
表やグラフは割愛していますが、どのKPIも前期や前年同期と比べて基本的にプラスの成長をしています。
セクター別売上
セクター別売上ではEC事業が2,128Bでフィンテック事業が1,632Bとなり、両事業とも前期や前年同期と比較して順調に成長しています。
前年同期比で見るとECは+45%、フィンテックは33%で前期比で見るとEC事業もフィンテック事業もおよそ+10%の成長です。
売上構成比はEC事業が56%でフィンテック事業が44%となっています。前年同期と比べて少しだけEC事業が増えましたが、おおよそ55:45といった感じです。
地域別売上
次に地位別の売上を見ていきます。
国(地位別)で見ると前期と比べてブラジルが大きく成長していることがわかります。メキシコとアルゼンチンの売上増加額(約120B)よりブラジル単体の売上増加額(約200B)の方が多いという結果になっています。
また、メキシコがアルゼンチンに追いつきそうな勢いで売上が増加していることもわかります。
売上構成比としてはブラジルが53%、アルゼンチンが22%、メキシコが21%となっています。
ブラジル
最も売上でが大きいブラジルはEC事業が大きく伸び2,006Bとなりました。
これは前年同期比+40%と直近まで売上成長が下落していましたが、2023年今期で一番の売上成長率となっています。
EC事業を見ると今までは前期比+10%程度でしたが、前年同期の1,049Bから1,211Bと+20%も大きく成長しています。
フィンテック事業は2023年に入って毎期+60M程度の成長をしており、前年同期比では+22%となっています。
アルゼンチン
ブラジルに次ぐ売上のアルゼンチンは825Bとなりました。前年同期比売上成長率は+22%で、前期比+7%となっています。前年同期比+20%は勿論素晴らしいですが、去年から売上成長率はずっと下落しており、次の決算では20%を切ってしまいそうな状態です。特にEC事業が2022年とほぼ成長していない状態です。ただし、アルゼンチンはマクロ環境が非常に厳しい状態であることを考慮しないといけません。
メキシコ
メキシコの売上は772Bとなり、前年同期比+66%、前期比+10%で大きく成長しています。売上成長率も2022年Q4から60%代をじわじわと上昇しています。
前年同期比で見るとEC事業は+60%、フィンテック事業は+70%と成長が著しいです。
Earnings Callの発言内容
次に決算カンファレンスコールの発言で気になった部分をまとめます。
決算コール和訳はこちら↓
第3四半期において、MercadoLibreはMELI Masとして知られるロイヤリティプログラムを立ち上げ。$29レアル以上の購入で送料無料、およびDeezerからの12か月間の無料音楽などの特典。→アマゾンプライム会員のようなもの
EBITDAマージンが前四半期の16%から18%に向上。改善の大部分はブラジルからで、そこでは前年比で12ポイント改善し、メキシコも前年比で6ポイント改善。
広告は引き続き好調に成長。今四半期も売上高が前年同期比70%以上成長し、これで6四半期連続。特にセルフサービスのセラーが主要な成長ドライバー。アルゼンチンを除外した場合、GMVの広告浸透率はおおよそ2%。
AIを活用したソリューションの構築に注力している。検索、レビュー、質問と回答、商品のバイボックス、開発者向けのアシスタントなど
今四半期、POSに関しては価格以外にも販売戦略にいくつかの変更を加えており、アクティベーションとデバイスごとのTPVの面で非常に良好な結果を確認している。
プレゼン資料からハイライトの日本語訳抜粋
総括/感想
今期は売上高及びEPSの成長が素晴らしく良い決算内容となりました。
とりわけブラジルのEC事業とメキシコセクターの好調が好決算の要因かと思われます。アルゼンチンのマクロ環境が厳しい今期でしたが、いづれ収束していくとポジティブに考えていきたいです。
現在、ブラジルは8~9月頃から政策金利が下落をしだしメルカドリブレにとって追い風でありますが、アルゼンチンは高い金利のまま向かい風になっています。
Q4はクリスマスシーズンとブラックマンデーがありますのでEC事業はシーズナリティーとして高い売上高を出せる期待をしています。
株価に関しては好決算を受けて株価も上昇しておりPERも70台まで上がり割高感はありますが、どこかのタイミングで調整が入っ1100ドルあたりまで下がって割安感が出てきた際には買いましを検討したいところです。