ぞうさん食堂と私。
Live Barぞうさん食堂が閉店することになったそうです。
なんていうか言葉が出ません。
言葉が出ないので、ちょっと言葉にしてみようと思います。
私とぞうさん食堂のお話です。
といっても私とぞうさん食堂に長い歴史があるわけではなく、ぞうさん食堂との出会いは今年1月6日に行われたオープンマイクでした。
私はその日、敬愛するシンガーソングライター鴨志田喜久くんに誘われてその場に赴き、私は初めて公の場にて自分の歌(と喋り)を披露しました。
音楽をやってはいたのですが、私はそれを披露する場所を確保するだけの政治力に欠けており、人前で自分の音楽をお披露目することはその日までしたことがありませんでした。
オープンマイクとはもっと演奏に熟練した人たちがさらりと楽しく歌って・飲んでという場なのかわかりませんが、私は「自分の初ライブだ」ぐらいにガチガチに話す内容を決め、演奏の練習もしてその日を迎えました。
私がその日用意した、直近にあったとある失恋とその破滅を招いた曰くつきの歌をセットでお楽しみいただくというステージは、少しぞうさん食堂の時空が歪むほどの爆笑を掻っ攫い、私はこれまでの人生にない充実感に包まれました。
そして、その様子を見た店長の南郷さんは私に目をかけてくれたのです。
その後、南郷さんは私のライブ童貞も卒業させてくれます。
他のライブハウスのことはよく知りませんが、ぞうさん食堂のライブ出演の金銭的な敷居の低さは異常値と思えるもので、私は集客のことに気を遣いすぎないで済みました。
そんなわけでさほど気を遣わなかったのですが、日頃の行いの良さか当日は謎の集客力を発揮して本番を迎えることとなります。
が、私はお客さんの多さに浮ついてしまい、その日のステージは童貞にふさわしい青臭さを醸し出してしまいます。
それを見た南郷さんは私に
「もっとドッシリ構えてゆっくり喋ったほうがいい」
と声をかけてくれました。
その話の導入として南郷さんは
「南海キャンディーズの山ちゃんもそうだと思うんだけど、頭の中にあるオモシロが加速しすぎて喋れる限界を追い越しちゃってる」
という言葉を選んでくれました。
アドバイスとしてしっかり心に響くものでありつ、天才的だと褒められた気分にもなる素晴らしい話の運び方で私はもっと頑張ろうと思ったものです。
その後、リベンジのライブをしたのが記憶にも新しい8月25日。
その日は集客こそ胸を張れたものではありませんでしたが、ステージに関して
「成長している。だけどまだやれる」
と評価をいただき、またしてもさらにポジティブに頑張るぞと思っていた矢先に、今回の閉店のお知らせが私の耳に届いた次第でございます。
やっぱりなんだか、よくわかりません。
悲しいとか寂しいとかとは何か別のステージでの感情です。
言葉にならないので言葉にしてみたら言葉になるかと思ったけどやっぱり言葉にはなりませんでした。
ただ
混乱しすぎて言葉が出てきませんでしたが、
一つ言葉にしなければならないことだけは
これを書いていて分かりました。
ありがとうございました。
です。
これだけは間違いなく、
確実に、伝えなければいけません。
ぞうさん食堂は、南郷さんは
「ライブ」という私の人生の新しい景色を見せてくれました。
ツラツラと言葉を重ねるほど安くなる気がするのでもうやめにしますが、
本当に、心を込めて。
「心よりお礼申し上げます」とか
心を込めずに言ったりしますが、
それとは本当に別の次元で、
本当に、心を込めて。
ぞうさん食堂。南郷さん。
本当にありがとうございました。
俺たちの戦いはこれからです。
南郷先生の次回作に期待してます。