会ったことない女の人に、ボロクソ言われた。

会ったことのない女の人に、ボロクソ言われた。

俺が参加していた、
とある飲み会の写真をその女の人が見て

「この人がいたなら本当に行かなくてよかった」

それに付随して
コイツには清潔感がないだの
あと数年でアラフォーのくせにヘラヘラしてて大丈夫か?

みたいなこと。

本当のこと言うな。


よく知らないが、
普段自分の仕事に誇りを持って真面目に働いておられる人なのだろう。

俺はよくその手の女の人にボロクソ言われる。

その手の人にボロクソ言われるのの何が悲しいって
いくら酷いこと言われようと
大きなところで向こうが一方的に正しいことである。


認めたかないが
プロフィール欄に書くと
俺のスペックはかなり終わっている。

天下の楽天オーネットにも
入会する前に
「お前には紹介できるお相手がいない」
門前払いされたぐらい終わっている。

どうにかせにゃナァとは思わなかないが
思わなかない程度に留め何の改善をするでもなく、
実家に寄生し、
「職業の欄には会社員と書くが、心はミュージシャンだ」
などと宣い、
一回り以上下の大学生たちと現在進行形でウェイウェイやって楽しんで
のうのうと暮らしている。

終わっている。

しかし、だ。


しかし、こんな文章にまで目を通してくれている人にならば伝わると願うのだが

プロフィール欄に記入することのできない部分で、

俺の人間的な魅力は

バキバキに凄まじい。


少し噛んでみないと滲み出ないその味わいは
他の生物には決して醸し出すことできない
唯一無二のダシ
を持っている。

分かっている。

向こうが
俺のスペックを終わっていると判断するに足る圧倒的な現実のこと
と同じぐらい
俺の醸すダシが絶品なのを
俺は分かっている。

だから、モヤモヤする。


見せ方が悪い。とよく言われる。

「そんなもん上手くなってどうする」

というのが俺の中のわりと揺るがない結論なのだが、
『現実』において圧倒的に正しいのは向こうなのだ。

自分が悪い気にもなってくる(実際悪い)。

その辺りで
俺の謎に強靭な自己肯定感
ヤツらはなんの躊躇もなく正論でブン殴ってくる。

マッチングアプリではスペックで弾かれプロフィールを見られもせず、
街コンでは将来性ゼロの大学生ノリから卒業できないジジイと見做されるだけ。

そんな浅瀬に俺のダシの本当の旨みは出てこないのに。



ただ、完全に強がりだが
俺の本当の戦場はそんな浅瀬ではない
俺のダシの味を一番好きなのは俺自身なのだ。

誰に笑われようと
俺は俺の作るものが好きだし
作り出す行為こそが俺の生きる意味だし
そんな俺の生み出す諸々を好きだと言ってくれる人も
少しずつだが確実に増えてきている。

それだけで充分すぎるほど幸せなのだ。



そして俺は今日もこうして
ボロクソ言われて発生した鬱屈とした感情を作文にするなどの
深海に向けて糸を垂らすような創作行為を働く。

俺はそんな壮大なフィッシングにて
いつか誰も手にしたことのない獲物を手に入れるのだ。

そんな素敵な物語を信じている。


『そういう開き直りが終わってる』とか
『深海にはキモい魚しかいない』とか
『お前のやってることは自分の水槽に糸垂らしてるだけ』とか

浅はかなツッコミがたとえ真実だろうとも、
浅瀬の生物がなんか言ってらぁと思って生きることにする。

…などと顔を真っ赤にして
半ば発狂しながら書いてみたりしました。

とりあえず、あの女は許さねぇ。

おわり


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