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ヒロの方が好き

コウさんが初めて
『ヒロの方が好き』
と言ってくれた というお話。

彼の奥さんは日曜日と、月曜日が仕事がお休みらしい。9月は月曜日の祝日と振替休日が2回。そうなると月曜日が公休の人は火曜日も休みになる。というのを知らずに、今月は17日と24日にお休みを取り、デートの約束をしていた。

15日の日曜日の夜、コウさんからLINEが来て、

📱お疲れ様。
やっと終わり。
嫁さん、月曜が祝日や振替日なら火曜はいるみたいだ。

📲そっか、だったら24日もダメだね。休み取り消ししようかな

📱違う日にできるならそうしよう。
もしくは来月にとっておくとか。
逢いたいね。

📲そんなあっさり…悲しいじゃん😣

📱あっさりだなんて
そんなつもりはなかったんだよ
ごめんな。
運転してたから短くなった。
水曜日少しでも会えるなら嬉しいなあ
だから泣かないで。


私は返信をしなかった
というか、返信する気にもなれなくなってしまっていた

16日月曜日、何事もなく1日が過ぎた。

17日火曜日。本当は朝9時に待ち合わせをして、いつものデートの予定だった日。
朝7:30、子供達を見送った。
休みの取り消しはせずに、この日はずっと見たかった「ラストマイル」という映画を1人で見に行った。
その後は隣接するショッピングモールでブラブラしたけど面白くなくて、夕飯の買い物をして帰った。

17時ごろ一瞬子どもたちが帰ってきたけど、中間試験前でご飯だけ食べてすぐに塾に行った。
旦那は飲み会。
朝からぼっち時間を過ごしながら、時々コウさんは今頃奥さんと一緒にご飯食べてお話しして笑ってるのかなぁとか、どうでもいいこと妄想して、ため息ばかりついていた。

21時ごろ、コウさんがそろそろバドミントンが終わる時間だなぁと思っていたら、LINEが届いた。

📱今日のお月様があまりにも綺麗だから見たかなあーって思って。

あ、今日は十五夜か…
いつもは私が「今日は十五夜だよ、同じ時間にお月様みようよ」って誘うんだよなぁ
慌てて庭に出てお月様を見た。
綺麗🌕
写真を撮ってコウさんに送った

📲今見てきたよ。今日は十五夜だったんだね

📱今日は何してた?

📲今日は1人で映画に行ったよ。

📱いいなぁ。また今度2人で行こうよ

📲うん、一緒に行きたい

📱ヒロ、明日逢ってくれる?

📲今すぐ逢いたいです。でも明日まで我慢します

この数回のラリーで、全てがチャラになった。単純な私。

18日水曜日。私は朝から仕事。8:30ごろコウさんからLINEが来た。

📱おはよ。夕方楽しみにしてるよ。いつものところで待ってるから、仕事から頑張って!

この言葉を糧に、1日の仕事をテキパキこなし、私こんなにできるやつだったんだぁなんて思いながら、とうとう終業の17:00。急いでコウさんの元へ。

いつもの待ち合わせ場所にいつものコウさんがいた。

「ヒロ、仕事おつかれさま。もう何も聞かずに連れて行くよ」

部屋に入ると、コウさんは私を包み込んで何度も謝ってくれた。

「昨日の夜、お月様見たかなぁってLINEくれてありがとう」

「リビングの窓から外見たら、月があまりにも綺麗で、そしたら何かヒロのことが頭から離れなくなってしまって、遅い時間だったけど、気づいたらLINEしてた。同じ月を見てるかなぁって」

私はその言葉だけでもう十分だった。

全てを許していたから、飲み込むことなんて簡単だったけど、やっぱり思いは知って欲しいと思って

「私、怒ってた」

「うん…」

「あのね、お願いがあるんだけど…」

「なぁに?」

「コウさんは、私の休みに合わせてお休みを取ってくれることはないでしょ?私はコウさんの公休日の火曜日と水曜日には、有給や振休を取りやすいように上司に掛け合って色々と算段をしてる。
もちろんコウさんに頼まれたわけじゃないからわたしが勝手にしてるんだけどね。
でもそうしないと逢えないもん。
だから、約束してた日に逢えなくなった時、簡単に『仕方ないね』って言わないで🥺」

「そうなんだね。そんなことして逢う時間を作ってくれてたなんて考えたこともなかったから…ごめんね」

「コウさんは器用だから、奥さんのことも好きで、私のことも好きでいてくれ…」

言い終わらないうちに

「俺はヒロの方が好き。俺は幸せものだな」

「一番好き?」

「うん、一番好き😊」

今までは「ヒロが好き」とは言ってはくれるものの、それは彼の中で「大切にしたい人が増えた」という意味。(そう言われたことがあるから)
4年7ヶ月間で初めて「ヒロの方が好き」って言ってくれた。
もしかしたらご機嫌取りだったのかもしれないけど、素直に受け取る方が幸せだから、鵜呑みにすることにした。

この日のコウさんはいつもよりも優しく優しく、私の心と体を幸せいっぱいにしてくれた。

繋がった瞬間、2人で目を合わせて微笑み合い、

「この瞬間がなんだか1番ホッとするね」

「そうだな。好きな人が自分の腕の中でキラキラの目で俺のこと見てくれてるって、ヤバいくらい幸せだよ」

「私のこと、エッチな意味じゃなくて、抱きたいって思う?」

「エッチしたいとかじゃなくて、この人をずっと抱きしめてたいって思う。…なんか恥ずかしいな😅」

「完全に病気だね」

「ヒロの病気に効く薬はないな。っていうか、治さなくていい。俺に任せろ」

この日もたったの2時間。

コウさんなら何でも話せる。

大きな器で私を包んでくれるコウさん。

女心には疎いけど。

そんな器用なのに不器用なコウさんとずっと一緒にいたいと改めて思った。

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