バースデーデートの日の出来事
私の本当のお誕生日から10日以上経った今日、とうとう待ちに待ったお誕生日デートの日がやってきました!
私はいつもの出勤時間と同じ7時に家を出て、いつもの待ち合わせの駅へ。
大体8時ごろそこに着くので、彼が来る9時までの約1時間、駐車場の車の中で仮眠をします。
でも今日は7時30分ごろ
「嫁さん今仕事に行ったから、今から支度してすぐに出発するよ。待ってて!」って。
今日は8時過ぎに彼に逢うことができました。
1日デートは2ヶ月ぶり。
コウさんのお誕生日デートの時でした。それから何度か逢えていますが、仕事終わりの2時間だけなので、逢う→ホテル→エッチ→少しお話→バイバイのパターン。
セフレみたい😣
コウさんも今日のデート、楽しみにしてくれてるかなって思う瞬間もあったけど、今朝のコウさんの行動が答えでした。
「今日は呼子にイカを食べに行こう🦑」
と言うことで2時間くらいかけて佐賀へ。
海の匂いを嗅ぎながら、港町を手を繋いで歩きました。
そしてお目当てのイカの姿造りや魚の煮付けなどなど、海鮮をたくさん食べて大満足。
「ヒロはいつ見ても魚を食べるの上手だな」
「そう?でもアラ炊きは手を使っちゃう。ごめんね苦笑」
「いいよ、全然。いただきます!って言ったからには、綺麗に食べてあげないと」
コウさんと食事をするのも久しぶり。いつものようにモリモリ頬張って、美味い美味いって言いながら食べるコウさんが、私は大好きです。
食事を終えて、少し車で走って海の見える高台の大きな公園に行きました。
綺麗に刈られた芝生に座って大海原を見ながら食後の休憩タイム。
平日の昼間なので、誰もいません。
「ヒロ、寒くない?」
「少し風が強いね。でも寒くはないよ、ありがとう」
「寒いって言ってよ。そしたらもっとぎゅってできるのに」
「コウさん、寒いからぎゅってして」
コウさんの大きな体に包まれて、温かくてとっても幸せ。
そのまま芝生の上にゴロンとなって、一緒に空を見ていました。
「やっとヒロと過ごしてるって感じ。何にも話さなくても、何もしなくても全然退屈じゃない。むしろずっとこの時間が続けばいいのにって思う」
「普段は、コウさんは止まったら死んじゃうんじゃないかって思うけどね笑」
「自分でもそう思う。でもヒロといると違うんだよな。顔見てるだけでもいい。でも知ってる?ヒロってイカみたい笑」
「はい?どういうこと?」
「普段は真っ白なのに、俺が触るとピンクになる笑」
「え、そうなん?」
「試してみる?」
「ここではダメです‼︎」
やっぱりバカな話になって大笑い。
こんな時間がずっと続けばいいのに・・・
その時、公園内の放送で
「消防署からのお知らせです。⚪︎⚪︎バス停付近で建物火災が発生しました」
!!!
「風があるし怖いな。・・・よし、次行くぞ」
地元ではなく土地勘がないので、その場所近いのか遠いのかもわかりません。
なのでこの放送もあまり気にしていませんでした。
車に乗ってすぐ、目の前に黒い煙の柱が見えました。
「あ、⚪︎⚪︎バス停だ!」
「ここか!」
放送で言っていたバス停から1、2分住宅街に入ったところからもくもくと黒い煙が上がっていました。
まだ地元の消防団も消防隊も来ていません。
そのバス停に車を停めたかと思うと、トランクからタオルを出し、私に水と携帯を預けて
「行ってくる!これ持って待ってて。ちゃんと戻ってくるから」
と言って、火元の住宅に走っていってしまいました。
残された私は車のエンジンを止めて、近くまで行こうとしましたが、入り組んだ住宅街でどの道を行くのかわかりませんでした。
迷っていると近所の方が避難していました。
「すみません、あのお宅の方に行くにはどっちに行ったらいいですか?」
と聞いてみました。
「こっちの道をいけばいいけど、危ないからここまでしか行けんよ」
と教えてくれました。
私はその避難されていた方々と一緒に待つことにしました。
黒い煙と火柱、灰も飛んできて、息をするのも苦しいくらいです。
その中で近所の男性たちに混じって、コウさんの姿をみつけました。
誰よりも声を張って指示を出し、走り回っているコウさん。
その様子を見ていた避難している方々から
「あの白いズボンの男性がご主人?」
「あ、はい…」
「こんな仕事されてるんですか?」
「いえ、全然違う仕事です。なにかあるとすぐに走って行っちゃって。いつも心配なんです」
「ありがたいよね。こうして手伝ってくれる人がいると」
そんな話をしていると、コウさんが私のところに来てくれました。
「ヒロ、大丈夫か?煙吸わないようにしとけよ。危ないからここから動いちゃダメだよ」
「うん、大丈夫?はいお水。汗もすごい😣」
私は口を押さえていたハンカチでコウさんの汗を拭いてあげました。
「ありがとう。行ってくる」
戻っていく後ろ姿を見ている私の顔がすごく心配そうだったのか、おばちゃんたちが、
「ここで私らと一緒に待っとったらええ。ご主人は絶対大丈夫やけん」
と言ってくれました。
消防車が何台も到着しましたが、火の勢いはすごく、現場を飛び交う声を聞くと、隣の家まで全焼!とか3棟目移ったぞ!消火早く!と聞こえてきました。
1時間くらい経った頃、燃え移りそうな火の勢いはなくなり、現時点で残っている人もいないとわかりました。
放水された水に濡れ、白いパンツも灰色に染まったずぶ濡れのコウさんが私のところに帰ってきてくれました。
コウさんは私に話しかけるより先に、
「もう大丈夫そうなので、行きますね。あいつ…ありがとうございました」
と一緒に待っていてくれた避難していた方々に声をかけました。
「ヒロ、お待たせ。時間かかっちゃったな。気分悪くない?大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ行こっかね」
「うん」
皆さんに軽く会釈をして、私たちは車の方に向かいました。
「…コウさん、無事でよかった😣心配した…😭」
と我慢していたのに、涙がどんどん出てきてしまいました。
「心配かけたな。ごめんね。でもね、俺は自分ができることがあれば、どこでも行くし、なんでもしてあげたい。これからも心配かけちゃうかもしれないけど、俺のそばにいてくれる?」
「もちろん。これがコウさんだもんね。待ってる間ね、おばちゃんたちに『あの人がご主人?』って聞かれたから、はい!って答えた」
「そんな話をしてたんだね。俺も帰る時に『妻があそこで待ってるから行きます!』って言って戻ってきたんだ」
「とにかく、無事でよかった」
「せっかくヒロのお誕生日デートだったのに、時間使っちゃってごめんな」
再びデート再開です。
(自宅に帰ってネットでニュースを調べると、私たちが帰った30分後に完全鎮火。怪我人なしだったそうです)
「この格好じゃ、どこにも寄れないな笑。夜はバドミントンに行くつもりだからジャージの着替えはある。着替えに行っていい?お風呂にも入りたい」
「うん、そうしよ」
つづく…