文フリ&SCI-FIRE&THE TANPENS
ゲンロンSF講座から生まれた名門(!)同人誌SCI-FIREに短編を寄稿しました。文フリ東京で頒布されたので読んでね。
そのうち(すでに)通販も可能だとか。
テーマは、インフレーション/陰謀論ということで私は前者を選ぶことに。
『ドゥクパ・クンレー二世の華麗なる不始末』というタイトルです。
仏教✖アナルというコンセプトで短編を書きました。
バイク屋の友人にオートバイのマフラーを塞いでおくための器具を通称ケツ栓(バッツプラグ)と呼んでいると教わったことが着想の起点でした。たぶんアメリカでは肛門拡張用のアイテムになぞらえて当該バイク用品をそう呼び習わしているのでしょうね。いたく気に入りました。
ゲンロン6期生の長谷川京さんが『縺れ地獄縁起のフォトグラム』という現世に仏教的地獄があちこちに出現する作品を書いていたので、それに触発されて自分は天界でやってみよーと短絡的に決めました。チベット仏教の世界をベースにブータンのイカれた聖者ドゥクパ・クンレーや森鴎外『寒山拾得』などのモチーフと組み合わせて書くことに。レイナルド・アレナス『めくるめく世界』に登場する怪僧セルバンド・デ・ミエルの面影も遠くこだましています。
もうひとつこれも刺激を頂いた『虹霓のかたがわ』の著者である榛見あきるさんがチベット語学者である星泉さんにSCI-FIREを献本されるというの慄きました。あまりにもふざけたチベット仏教僧を描いてしまったので、お叱りを頂いても不思議ではありません。文中「金剛薩?の百字真言」とある部分は「金剛薩陲」です。ゲラの段階で私がやらかした見逃しミスです。申し訳ありません。
文フリは現地にも足を運びました。人とお会いする約束が多くて回り切れないブースもありましたが、いろいろと得難い体験ができました。アガサクリスティ賞を同期に受賞された宮園ありあ先生とファンタジーノベル大賞を獲られた武石勝義先生らとご飯を食べました。あと現地で買った本をもとに遠野よあけさんと榛見あきるさんらと読書会をする予定です。ぼくはバゴプラのブースで買った『なまものの方舟/方舟のかおぶれ』をチョイスしました。楽しみです。
と、さらにもうひとつ。
神戸発の短編小説フリーマガジンであるTHE TANPENS12月号にて『ハッピー・ハニートラップ』という掌編を載せてもらっています。インタビューとさらになんと表紙も飾らせてもらっております。
すごくユニークなロケーションで写真撮影しました。謎のぬいぐるみだらけでどこかメキシコ感がありますが、ばっちり愛知県某所です。カバーは目隠し伏字の怪しい仕上がりになっております。神戸在住の方は是非こちらも手に取って頂きたいです。
作品の内容はタイトルの通り、ハニートラップに関するものです。人間の性衝動の対象がもっと可変的になったらどうだろう。そんな発想から生まれたスラップスティックですが、一週間ほどで書き上げた大急ぎの掌編でもあってもう少し時間があれば、と詰めの部分にやや未練の残る一篇ですが、その分、勢いとパワーはあると思います。いつか膨らませてみたいですね。
2022年も自分なりに全力で駆け抜けたつもりです。来年もジタバタしたいと思います。よろしくお願いします。