「田中みな実」はどうして人気なの? ファンがマーケティングSTP分析を使って考察してみました
はじめましてのnoteで少し自己紹介をします。
今年マーケティング会社に入社した新卒OLのはるです。
趣味は料理にしようと思っていて、一人暮らしのために引っ越した1Kのおうちは麻の素材を使ったベージュ、白を基調とした家具、ライトブラウンの籠で統一させています。休日は投資を勉強したいと思っています。
OLになったので少し意識高めです。
そんな私が美容にも意識高くなろうと思い、化粧品やらスキンケアやらを参考にしている芸能人は「田中みな実」さんです。
みなさんは田中みな実さんのことをご存知でしょうか。
今人気の芸能人の一人なんですが、詳しく知らない方の為に紹介しておきますね。
田中みな実さんはもともとTBSに所属するアナウンサーでしたが2014年にフリーに転身しました。
ぶりっこであざといイメージの田中みな実さんでしたが、実は友だちが少ないネガティブキャラの一面だったり、外見や中身に関して努力している一面を赤裸々に告白することで視聴者の好感度が上がり、様々なバラエティに出演するようになりました。
昨今ではバラエティだけでなく女優に挑戦したり、自身初となる写真集『Sincerely yours...』は写真集ジャンル累積売上の歴代1位を記録(※ORICON NEWS https://www.oricon.co.jp/news/2158966/full/ 2020年4月3日掲載)するなど今注目されている人物の一人です。
今世間で注目されている田中みな実さんに、私もまんまと影響を受けており、先日、田中みな実さんが紹介していた化粧品を購入したばかりです。
そう、私の性格はミーハー気質です。
そんなミーハー気質の私が書く今回のnoteは
「田中みな実さんはなぜこんなに人気者になったか」です。
芸能界には可愛くてトーク力がある人はたくさんいるのに「なぜ田中みな実さんはここまで注目される人物になったのだろう?」という自分の中にあった疑問を、最近学習したマーケティングのSTP分析を使って勝手にかつ独自の視察から紐解いていきたいと思います。
「田中みな実さんのように上手に自己プロデュースしたい!」
という方の初歩的な指針にもなるかと思いますので、自己プロデュースに悩んでいるという方も是非見ていって下さい!
それではまず、STP分析についてに解説したいと思います。
0. マーケティングのSTP分析って何?
マーケティングのSTPとはセグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)のそれぞれの頭文字を取って名付けられた分析手法です。
セグメンテーションとは別の言い方をすれば市場細分化とも言え、顧客を同質のニーズや特性で集団にまとめること。
ターゲティングとは細分化した顧客集団のうち、どの顧客集団をターゲットにするかを決めること。
ポジショニングとはターゲットにした顧客集団における、自社製品の立ち位置を決めることです。
この3つは「売るべき顧客像」や「他社との差別化」などを明確にする大事な役割を担っています。
ここからはSTP分析を行う際に大事にしたいポイントを抑えながら、田中みな実さんが人気物になった理由を考察していきます。
1. セグメンテーションの側面から見る
まずセグメンテーションが必要とされるいわれについて説明します。
第二次世界大戦後から1970年代にかけての高度経済成長期全ての人を対象とした少品種大量生産のマスマーケティングを行っていました。
しかし現代は顧客ニーズ・行動の分化と多様化が進んだことから、多品種少量生産のマーケティングに変わり始めています。
つまり人々の欲しい物がみんな同じだった時代から、欲しいものや好きなものは人それぞれの時代が来たのです。
これについて私は“人”に関しても同じだと考えています。
みんなが聖子ちゃんを好きで、みんなが聖子ちゃんカットをしていた80年代と比べると、現在は憧れる人物は人それぞれで、トレンドも自分の好みによってそれぞれ違うという時代に来たと思っています。
このようにニーズが異なってきた現在、自社商品にニーズを感じてくれている人たちを見つけ出し、グループで分け、そのグループに合わせてマーケティングを行っていく必要性が高くなってきました。
セグメンテーションは自分を応援してくれる人を見つけ、その人達にどう自分を売っていくかの方向決めの作業になると私は捉えています。
セグメンテーションする際に大事になるポイントは、どのように顧客をグループ分けするかです。
今回は基本的に使われる2の軸を紹介します。
・人口動態的特性軸
性別、年齢、職業や学歴、年収など。
・社会心理的特性軸
生活者の価値観、心理的・社会的・行動的側面によるライフスタイル。
例えばうねり改善・潤いが保たれるシャンプーを販売したいとき、
20代と50代とではニーズに差がありますよね。
このようなときに年齢を軸にしてニーズをグループ化し、販売する顧客を決めていきます。
田中みな実さんで見ていくと、田中みな実さんには以下のような特徴があります。
・可愛い
・あざとい
・外見も内面も努力の賜物
・自分が実施している美容方法や恋愛の情報を惜しみなく出してくれる
・仕事もきちんとこなしている
・元アナウンサーという知名度
この特徴をもとにニーズをグループ化すると
性別:女性
年齢:30代(田中みな実さん自身が30代で、30代の体に合う美容法を紹介しているため)
ライフスタイル:美容好き、仕事を頑張っている女性、テレビやSNSをよく見る人
という人たちが現れてきます。
2. ターゲティングの側面から見る
ターゲティングとはどのような顧客を自分のターゲットとするのか決定する作業です。
ポイントとして、上でグループ分けして選んだ集団で本当に良かったのかを確認するために、5つの評価基準で判断していきます。
①Rank(優先順位)
セグメントした顧客層の重要度に応じてランクづけできているか。
②Realistic(規模の有効性)
セグメントした市場で十分な売上高と利益を確保できるか。
③Reach(到達可能性)
セグメントした市場の顧客へ製品を確実に届けられるか。
④Response(反応)
セグメントした顧客層の反応を分析することはできるか。
⑤Rival(競合)
セグメントした市場での競合の状況はどのようなものか。
では先程セグメントしたグループを評価軸で見ていきます。
①Rank(優先順位)
これはユーザー・ファンにとって関心度が高いかどうかです。
どんなに有益な情報でも顧客が欲しい、知りたい!と強く思えるような物でなければ心を掴めずファンは獲得できないでしょう。
美容という項目の興味関心が高いかは、こちらの資料から客観的にも高いと判断できます。
(※「平成 28 年度消費者意識基本調査」の結果について https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_002/pdf/adjustments_index_16_170628_0001.pdf 平成29年6月28日)
田中みな実さんの場合は得意分野と需要がマッチしていたため、田中みな実さんの情報にみんなが注目したと考えられます。
②Realistic(規模の有効性)
マーケットの規模の大きさを知る必要があります。
自分の特性や発信する情報によって、広い層に届けるのか、狭い層に届けるほうがいいのか見極めることが有効です。
③Reach(到達可能性)
どんなにいい情報でも人に伝わらなければ意味がありません。
彼女はもともとアナウンサーであるため、テレビなどでも美容情報や努力家な一面を見せる機会があります。
④Response(反応)
自分が発信した情報について顧客からどのような反応が得られるでしょうか?
「喜びの声が聞こえるのか、はたまたそうでないのか…。」どちらにせよ次に生かせる改善点が見えてくるはずです。
SNSはもちろん田中みな実さんの場合ウェブサイトや直接のお便りなど、反応をうかがえる機会が多そうですのでここも強みに感じます。
⑤Rival(競合)
100人の中で1番と10000人の中で1番。やはりライバルは少ない方がチャンスは多いですよね。
田中みな実さんの場合、美容系ユーチューバーなど競合は多いように感じますが、実は意外な穴があったのではないかと思います。
というのも30代の肌にあったスキンケア方法を発信する人や、テレビという検索をしなくても目にする機会が多いメディアに出ている人は少なく、田中みな実さんは意外とかゆい所に手が届く強い存在だったのではないでしょうか。
結果的に今現在のファンである
テレビも見るがSNSも使う、努力で美しさを得たいと思っている30代の女性
と、田中さんの発信する情報が合致した点もうまくいった理由だと推測できます。
3. ポジショニングの側面から見る
最後にポジショニングです。
ポジショニングとはターゲットから見た競合と比較した時の自社製品の差別化ポイントを明確化することです。
差別化を行うことで
競合がいないことから「この人といえばこれ!」というイメージが確立される(これを想起集合という)
というメリットがあります。
ポジショニングマップを作ると、自分のポジションが明らかにしやすくなるでしょう。
(※参考:株式会社シナプス マーケティング用語集 「ポジショニングマップの作り方」
<https://cyber-synapse.com/dictionary/ja-ha/positioning.html >)
ポジショニングマップの作り方
①ターゲットが自分のファンになってくれる要因を集める
②競合と比較
③競合に勝てるポジショニングマップの軸を決める
④ポジショニングマップを作成する
これを田中みな実さんを元に作っていきます。
①ターゲットが自分のファンになってくれる要因を集める
田中みな実さんの特徴
・外見だけでなく中身の努力をしている(努力を見せてる)
・美容情報を共有してくれる
・可愛さ、美しさ
・仕事をしている真面目な瞬間が見られる
・失敗も赤裸々に教えてくれる(共感、親近感)
・30代
・テレビ出演が多い
などがあげられます。
②競合と比較
次に30代の芸能界の中での競合を見定め、自分の特徴や強みと被っていないかチェックします。
(※参考:株式会社シナプス マーケティング用語集 「ポジショニングマップの作り方」
<https://cyber-synapse.com/dictionary/ja-ha/positioning.html >)
③競合と異なるポジショニングマップの軸を決める
競合と比較したときの強みをまとめたら次は軸を決めていきます。
選定のポイントは競合と異なるものです。
田中みな実さんは他の芸能人と違った(表の✗のところ)強みである、以下の2つの軸
【外見だけでなく内面の努力をしている(努力を見せる)】
【失敗も赤裸々に教えてくれる(共感、親近感)】
で空いている場所にポジショニング出来ています。
④ポジショニングマップを作成する
【外見だけでなく内面の努力をしている(努力を見せる)】という軸と
【失敗も赤裸々に教えてくれる(共感、親近感)】という軸でポジショニングマップを作ると以下の図のようになります。
(※参考:株式会社シナプス マーケティング用語集 「ポジショニングマップの作り方」
<https://cyber-synapse.com/dictionary/ja-ha/positioning.html >)
競合と比較して見ていったところ見事に空いたポジションがあり、田中みな実さんはそこに座ることができました。
つまり自分のイメージを確立するためのポジションができたということです。
田中みな実さんは【外見だけでなく内面の努力をしている人(努力を見せる)】という要素を見せることで、ご自身の美しいルックスや男性にモテるあざとい行動は、自分を研究し尽くした努力の賜物と思わせることが出来ます。
努力を見せたことで以前のぶりっ子キャラから脱却し、努力家として女性からの支持を得ることができたと私は考えます。
それに加えてテレビなどのメディアでご自身の恋愛失敗エピソードを話すことで、「こんな可愛い人でも落ち込むことがあるんだ」という共感や親近感を視聴者に持たせたのも人気の理由の1つかもしれません。
このように自分の強みである軸を見つけ、見事にブルーオーシャンのポジションを確保することは「あなたと言えばこういう人」というイメージを確立するために大切なプロセスなんです。
まとめ
STP分析で紐解いた田中みな実さんは
「テレビも見るがSNSも使う、努力で美しさを得たいと思っている30代の女性」というターゲットに
【外見だけでなく内面の努力をしている(努力を見せる)】
×【失敗も赤裸々に教えてくれる(共感、親近感)】
という自分を届けたことで人気者になったのではないかと考察しました。
実際に冒頭でも紹介した写真集の購買層は田中みな実さんと同世代の30代が殆どで、8割が女性だったそうです。
(※NEWSポストセブン
<https://www.news-postseven.com/archives/20191223_1511394.html/2>2019年12月23日掲載)
本当に田中みな実さんが30代の女性をターゲットとしていたならばターゲティングは大成功と言えますよね。
感想
今回はSTP分析を用いて田中みな実さんの人気の秘訣を考察してみました!
STP分析では収めることが出来ないほど田中みな実さんにはたくさんの魅力があったので、考察するのが難しかったです。
私自身もっとマーケティングを勉強して、田中みな実さんの魅力をより正確に詳しく考察できるように励んでまいりたいと思いますので、未熟な新卒OLですが今後ともよろしくお願いいたします!
参考書籍:和田充夫・恩藏直人・三浦俊彦『マーケティング戦略 第5版』 有斐閣アルマ、1996年4月10日