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日本語配列な分割キーボード Majestouch Xacro M10SP レビュー 4

Majestouch Xacro M10SP(以下M10SP)のレビュー最終回です(前回
今回は「結局、このキーボードは"買い"なのか」について書いていきます

具体的には
 どんな人たちにおすすめであるのか、あるいは、おすすめでないのか
 どこで買うのがオトクなのか
 物足りないところはどこなのか
の3つについて言及し、個人的な見解をお伝えして締めたいと思います


■ どんな人におすすめなのか

・ 分割キーボードを安全かつ低価格で試したい人

現状、日本語配列な分割キーボードはほぼ存在していない、あるいは、存在していても5万円クラスとなっており、現実的な導入には躊躇してしまいます

もちろん、2万4千円というのはそれなりに高いお値段ではありますが…毎日使う仕事道具と考えれば、1年使って1日100円、2年使えば1日50円※なので、許容可能かなとは思います
※ 24,000円÷240営業日で算出

・ ショートカットを駆使できる人

日本語配列であるとは言え、フルキーボードから考えればキーの数は激減しています

もちろん、ファンクションキー等を押す、マクロを登録する等で減ったキーの代替もできるようにはなっていますが、やはりある程度はキーボードでいろんな操作をしたい、操作をできる人向けのものなのかなと思います

前々回でも書いた通り、私の場合は Emacs キーバインドである程度いろいろできる素地があったので、このキーボードで良かったなあと思うでしょうけれど、そうでない人にとっては、結構な学習コストを強いてきます

・ 肩こりや姿勢の悪さで困ってる人

これは本当に効果としては劇的です
もちろん、M10SPの能力ではなく、分割キーボードそのものの能力と、ディスプレイの高さをどうこうすることで得られる効果なので、書くのはフェアじゃないかもしれません
でも、一番の効能はやっぱりこれかな、と思うので書いておきます

ただ、不満を言えば机からキートップまでの高さが結構あるので、パームレスト等を用意しないと手首が結構辛いというのはデメリット
わたしは100円ショップで猫の肉球型キーホルダーをアームレスト代わりに使っていますが、オンラインショップで買うと無料でついてきますので、そこで用意できる人にとってはあまり問題にならないかもしれません

姿勢の悪さを解消するためにもそうなのですが、人に話しかけられやすい環境だったり、周りの状況も見ながら仕事しなきゃいけない人にとっても大変に有効です
パソコン作業に没入して「話しかけるなオーラ」を出さずにすみますので、対人関係もちょっと良くなる気がしています

・ 自分の好きを押し通せる職場にいる人

リモートの人はあんまり関係ないでしょうけれど、キーボードを持ち込んでもブーブー言われることのない環境の人にはおすすめできます

軸にもよりますが、そこそこ音がすることと、パッと見(姿勢が良すぎることもあいまって)怪しい感じにもなるのでそういう「人とは違うことやってもいいよ」という職場環境があるのなら、楽しいと思います

「なんですかふらふらさん、そのキーボード…」というような雑談ができるところだと、いろいろ語れるというのもありますし、なんならキーボード沼に沈めるという楽しみ方だってできるでしょうね

■ どこで買うのがおすすめなのか

・ 直販ショップ強すぎ

断然直販ショップがお得だと思います
前述の通り、アーム(パーム)レストがついてくるというメリットがありますしね

・ メルカリ…邪道ですけどね…

分割キーボードにどうしても慣れることができなかった人たちがメルカリに出品していたりしますので、そこでゲットするのもいいでしょう
ただまあ、うーん、キーボードを中古ってあんまりなあ…というのが私個人の意見ではありますが、抵抗ない方は良いんじゃないかなと思います

・ ヨドバシカメラ等実店舗

ポイントが余っているECサイトとかでもいいと思いますが、まずは触ってみるのをおすすめします
私は今回、ヨドバシカメラで実機に触れ、これなら良いんじゃないかなとポイントを消費して買いました

■ M10SP に感じる”物足りないこと”

・ マクロの登録機能がものたりない

ソフトウェアでは実現できないからハードウェアでやらなきゃいけない
ハードウェアでやるのは慣れるまでかなり難しい
うまく言ってるかどうかを確認するのも面倒
一覧で現在の設定を見ることができない

…というマクロ登録機能がやっぱり物足りないです
これはビジネスユースにしてもゲームユースにしても共通するのではないかなと思います
複数キーのマクロが使えないとか、キー配列の自由度がそんなに高くないとかを考えると、ちょっとなあとは思っちゃいます

ただ、成れてさえしまえば、ハードウェアマクロの登録も解除も簡単ですし、なによりハードウェアにマクロが登録されていることそのものが尊いのですよ
他のPCにつないでも、同じキーバインドで即作業ができるというのは幸せです
ノートに繋いでも、母艦に繋いでも、サブPCに繋いでも、同じキーで作業ができる…これはとても、とても幸せ度が高い機能でした

・ 真ん中のマクロ実行用のキーがいらない

私の用途では、ぶっちゃけ真ん中のマクロキーは全く使いません
この一列をつけずに、価格も物理的な重量も軽量になってくれたらいいなあとは正直思います

・ 専用ケーブルの存在が困る、本当に困る

これも前々回に書きましたが、キーボードを繋ぐケーブルは単なるUSB-Cケーブルではなく、専用のものになります
ので、断線や紛失が発生すると、単なる左手用キーボードに成り下がってしまいます

これについては、ケーブルの単品販売がされればよいのですが…今のところオンラインショップでは売られていません
これは本当に致命的だなと思います…FILCOさん、対応なんとかお願いできませんか…

■ 結論:急いで買わなくても良い

結論としては非常に中途半端だとは思います

物足りなさもありますが、学習コスト低めで始められる分割キーボードとしては唯一無二ですし、しっかりした重量と安定感、安全安心のメーカー製と悪いとこなしにみえます

でもやっぱり、専用ケーブル問題がどうしても…
ケーブルの断線なんてよく起こりますし、特に我が家にはケーブルを噛みまくる悪魔のような天使のような生き物(猫)がいるため、軽々にキーボードを置きっぱなしにできないという事情もあります

買い直しがきくならまだしも、いまのところケーブル単品では替えない状況となると、ある日突然2万4千円がパーになる可能性を抱えながら業務に勤しむのはなかなかに怖いものがあるわけです

ので、メーカーさんがケーブルを購入させてくれるようになるまで待つか、他のメーカーが同じようなコンセプトのキーボードを出してくれるのを待つか、あるいは、学習コスト激高になる覚悟で英字キーボード配列の分割キーボードに手を出すか ― どれかだとは思います

個人的にはとても気に入ってるし、重量はあるもののしっかりした作りは愛してると行っても過言ではないくらいの使い心地だし、マクロだって満足に登録できていて唯一無二感もあるので、大手を振ってみんなに勧めたい…のだけど、眼の前にせまる危機を無視して全員に勧めることはできないなあという残念な気持ちです

でも、ケーブルをはじめとしたリスクを許容できるのであれば、これは本当に良い製品であり、唯一無二のコンセプトを持っている貴重な製品であることは間違い有りません

日本語配列の分割キーボードを探してるんや、でも、自作するまでではないんや…しかも今日はボーナス日だしな…という人もまずちょっと待っていただいて

本当に上記リスクが許容できるのか、自分は買って幸せになる人なのかをもう一度振り返ってからでも、このキーボードに手を出すのは遅くないと思います

■ 最後に

大手を振ってドーンと「これマジおすすめ!!」としたかったのですが、残念ながらできません

大事なことなので繰り返し書きますが、安全安心低コストで分割キーボードを始めたいという人には本当に唯一無二の製品であることは間違い有りません

FILCOさんをディスりたいわけでもないし、この製品を貶めたいわけでもありません
むしろ「これだよこれこれ!」という商品を出してくださったこと、心より感謝しています

これからも良い製品を出していただけることを期待しております
本当にありがとうございます

最後まで読んでくださってありがとうございました
買いたいと思っている人の一助になることができたなら、とても嬉しいです

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