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私(2年目)が考えた新卒採用戦略
事業推進室のY.Kです。
今日は新卒採用戦略について考えた話を書きたいと思います。事業推進室長である天野さんが人事戦略室を兼務していることもあり、「採用戦略について考えてみて」と、いつもの軽いノリで、そしてこれもいつもですが、ノリとは対照的に非常に難解なテーマをいただきました。
ただ、実はこのテーマは2019年4月に私が入社したときのマーケティング研修でも取り組んでいたもので、その時はマーケティングのプロセスを学んだあとに「バリューコマースの新卒採用戦略を考えよう」というテーマでワークショップをおこないました。
採用もマーケティングだと思います。誰を採用したいのか、どのような訴求をするのか、どこでどうやって伝えるのかに分解すると、マーケティング戦略を考えるときと同じです。マーケティングにおいて、検索連動型広告や成果報酬型広告に出稿するといったプロモーション施策がHowでしかないように、採用もどこの採用サイトに掲載するなどはHowでしかありません。
そこで、マーケティングと同じく、以下3つのステップで採用戦略案を考えました。
■ 誰が顧客で、誰が顧客でないのか?
採用戦略を考えるにあたり、最初に、バリューコマースがターゲットとする市場を定義することからはじめました。
ターゲット市場は2022年卒の大学生ではないのか? と思う人もいますが、それだと広すぎます。ですので、まずは、顧客(獲得したい学生)は誰なのか? から考えました。よく戦略とは「やること」と「やらないこと」を決めるものだといわれます。採用戦略も同様に、バリューコマースが求める人物像を設定し、誰が顧客(獲得したい学生)で、誰が顧客でない(獲得したくない学生)のかを最初に明確にしました。
バリューコマースには、社員に発揮してほしい価値(コア・バリュー)として、「Start With WHY」「Change」「Commit」の3つが定められています。それらを発揮できる学生こそがバリューコマースの求める人材だと考えて、「激しく変化する事業環境のなかで、“本質的課題を捉え”、“変化をおそれず”、“自律的に動いて結果にコミット”できる人材」を求める人物像として設定しました。
次に、それに対し、誰が顧客で、誰が顧客ではないかを考えました。具体的には、
・ 本質的課題を捉えられる論理的思考力を持った学生
・ 変化をおそれず現状をより良い状態へ変えようと試みる学生
・ 主体性を持ち結果にコミットできる学生
がバリューコマースのターゲットとなりうる人材の特徴となります。
その一方で、
・ 常に周囲からの指示を待ち、教えられた通りにしか行動しない学生
・ 前例やルールを重視して、変化を起こせない学生
・ 大企業や有名企業のネームバリューにこだわる学生
は、バリューコマースの顧客ではないと考えました。
優秀な人材の特徴について考えだすと際限がないのですが、バリューコマースのコア・バリューに基づき、誰が顧客で、誰が顧客でないのか? を考えることで採用したい人材の具体的な特徴を適切に考えることができたと思います。
■ 競合企業はどこであって、どこでないのか?
ターゲットとなる市場は明確になりました。次に、その市場で競合となる企業はどこなのかを考えてみました。これも競合企業はどこであって、どこでないのか? と考えていきます。
ここは主観ですが、ターゲット市場で競合企業となるのは、例えば、退職者の多くが起業している会社や、新卒1年目から子会社の取締役を任される会社、大手でありながらベンチャー色を打ち出す会社などではないか、と考えました。
これらの企業は共通して、年次にとらわれない企業環境のなかで主体的に変化し続け、それ自体を楽しみながら成長できる人材の獲得に成功しているように思います。ですので、これらの企業を競合としてベンチマークしてみました。
このように考えてみると、事業上の競合企業が必ずしも採用活動における競合企業であるとは限らないこともわかってきました。また、多くの大手企業も競合にならないかもしれません。バリューコマースも働く環境や福利厚生は充実していると思いますが、それでも大手企業の手厚い福利厚生には勝てないことがあります。ですが、それらの企業が競合でないのであれば、競う必要すらないのです。
■どのように伝えるか?
最後に、上記で顧客と定義した学生を採用するためにはどのような訴求をすべきかを考えました。
「激しく変化する事業環境のなかで、“本質的課題を捉え”、“変化をおそれず”、“自律的に動いて結果にコミット”できる人材」を採用するため、自律・自立を尊重し、若いうちから裁量権を持って働けるということや、フラットな企業文化や新しいことにチャレンジする機会が豊富であることなどをブランドビジョンとして設定しました。
各社の採用メッセージを調べたところ、同じようなブランドビジョンの会社は多くありました。それらをそのまま採用してもよかったのですが、バリューコマースがそういった聞こえの良い言葉を並べてもあまり伝わらないように感じたのです。
また、顧客の定義でターゲットを限定しているので、大多数の学生にとって良い会社にならなくてもよいのではないか? 求める人物像に合致した少人数の学生に刺されば採用戦略は成功といえるのではないか? と考えたとき、聞こえの良いメッセージは必要ないように感じました。
そこで私は、敢えてすべてのメッセージを否定形で表現することにしました。
例えば、「“自律・自立“を尊重する企業文化」の裏には、「変化が激しく解のない環境下で会社は答えを教えてくれない。自分で考え、答えを見つけていかなければならない」といった側面があります。また、「フラットな企業文化で、自由に意見を言える文化」の裏には、「自分の意見が言えない人には価値がない」という側面があります。

このように否定形で厳しさのメッセージを表に出したとき、それでもチャレンジしたいと思える学生は多くないかもしれません。しかし、ここで手を挙げた学生のなかでバリューコマースのコア・バリューを発揮できる人材こそ、入社後に活躍できるのではないかと考えます。
私も入社2年目(執筆当時)で、まだまだ自分のことで精いっぱいですが、上記に共感してくれる人と一緒に働けたら嬉しいなと思います。