ダイレクトリクルーティングの戦略を間違えている会社が多い
採用市場の変化
雇用の動向
日本の雇用においては、新卒採用が主軸になる終身雇用の終わりが告げられました。各社は大きな変革と事業の多角化やスピードが求められる中、終身雇用を維持することは難しくなり、ポテンシャル社員を育てるには時間が足りなくなりました。中途採用が普及し、エージェントに頼る形で日本市場に転職が一般化していきました。一方、急遽拡大した中途採用に対して自社にノウハウを獲得することが出来ておらずエージェント依存という構図がまだまだあります。採用の行き詰まりからダイレクトリクルーティングに注目が集まってきております。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、公募、スカウト、リファラルなど自社で採用候補者を獲得する採用の考え方です。ビズリーチやLinkedInでの、スカウト活動だけを指すものではないと考えられます。従来のエージェントに頼る形とは異なり、自分たちで候補者とつながりを作るため、ノウハウの、獲得や活用、専任の人事などが求められています。
ダイレクトリクルーティングの目的
ダイレクトリクルーティングをなぜ行うのでしょうか。多くはエージェントでは採用充足しないから始めたいという声が多いです。しかしながら目的をきちんと定義しなければコストだけかかります。ダイレクトリクルーティングにおいて考えなければならないのは、今後の採用戦略です。通常よりも人的コストやノウハウを求められるため、成果を出すために多くの投資が必要になります。そのため短期的な採用数やコストダウンを求めるのか、中長を、見据えた戦略的な投資とするのかの判断が大切です。
ダイレクトリクルーティングの目的
採用決定数の増加
まず第一に思いつくのは採用決定数の増加です。エージェントやホームページからの流入では限界があり新たな採用チャネルとしてダイレクトリクルーティングを検討するケースが多いでしょう。自社で採用候補者を探しに行く動きであるため今までリーチできなかった候補者にアプローチが可能です。導入時は一定の効果が見込めるため目先の採用数を増加させるためには有効的な方法です。対象に当たりきったタイミングで施策を変えていかなければアプローチする先に限界があるため気をつけなければなりません。
コストダウン
エージェントに対して高いコストを払っているためダイレクトリクルーティングに切り替えたいという考えも多いです。実際にコストダウンが実現できるケースもありますが、戦略的に行わなければかえってコストがかかる可能性もあります。例えばリファラル採用などは採用コストがかからないためコストダウンに繋がります。スカウト媒体を利用してのダイレクトリクルーティングであれば、以下の費用がかかります。
【スカウト運用時のコスト】
①媒体利用料
②採用成功フィー
③運用コスト(人件費や外注費)
これらを加味するとエージェントよりもコストがかかるケースも多いです。そのため、候補者が市場に多い求人や採用対象への求める要件が広い求人などに絞ってスカウトを行うなどの検討が必要です。また、スカウトを運用する求人はエージェントへ公開しないなどを意思決定しなければスカウト運用をしている求人がエージェントで決定するなど二重のコストがかかる可能性もございます。
採用体制の強化
ダイレクトリクルーティングを行う過程で自社の採用のリテラシーを向上させることを目的とする考え方です。ダイレクトリクルーティングを成功させるには、自社の魅力を再定義し外部発信する必要があります。部門の正しい情報を把握し、適切に伝えていくことが求められます。
その際に、部門の責任者に転職市場と候補者のリアルな現場を理解してもらい、採用に向けた情報の整理や、時にはカジュアル面談の実施、面接で魅力付などが必要となります。その過程で採用に対する社員の理解が促進し、中長期の採用活動への影響が期待できます。
しかしながら、採用リテラシーの向上は時間がかかります。導入初年度は成果が出ない可能性もあるため、ブランディングや体制強化を明確に目的とし、投資への理解を社内で保つ必要があります。単年で成果を考えると難易度の高いポジションの採用や継続的な採用決定を導くことは難しいです。
採用のトレンド
ダイレクトリクルーティングの状況
ダイレクトリクルーティングを始めている会社が増え、エージェント依存の脱却が進んでいます。数年前に比べ転職潜在層へのアプローチは進んでいます。一方、ダイレクトリクルーティングの採用難易度は年々高まり、ただ単に情報を外部発信するだけでは反応が得られなくなってきています。採用トレンドは1年単位で変化し続けていると言えます。
今後求められること
各社採用の難易度向上に合わせて採用の専門家を頼る必要が出てきています。インハウスでタレントアクイジションを設定し採用専門の組織を構築したり、採用の専門家にアドバイスを求めることも有効です。急に採用の専門家を自社に招き入れることは難しいためRPОの活用も重要になります。採用の難易度が年々向上していることを理解し、人材確保に投資を行う経営判断が必要になっています。