ネジカウントシステムの進捗報告: ヒューマンエラーを減少させる新たな技術の展開
今回は、一関工業高等専門学校の阿部凌央さんが取り組む「ネジカウントシステム」の進捗状況についてご紹介します。このプロジェクトは、製造業の効率化を図り、ヒューマンエラーの削減に寄与することを目指しています。阿部さんのチームは、地域の企業と連携しながら、実際のニーズを反映したシステムの開発に取り組んでいます。
現状と課題
製造業では、ネジのカウントが品質管理に直結しています。そのため、カウント作業の精度と効率は非常に重要です。しかし、現在多くの現場では人力でネジを数える作業が行われており、これがヒューマンエラーの原因となっています。この問題を解決するためには、より信頼性の高い自動化システムの導入が求められています。
既存の自動ネジカウントシステムも存在していますが、画像処理を用いた方法は高額であり、導入へのハードルが高い状況です。阿部さんのプロジェクトでは、ネジカウントシステムの導入ハードルを下げることを目指しています。
取り組みの成果
阿部さんのチームは、初期段階で地域の企業と連携し、ヒアリングを行いました。このフィードバックを基に、実際の現場で求められる機能を明確にし、ベースシステムの構築に活かしています。
機械学習の活用
さらに、チームは機械学習を活用してモデルの構築を行っています。具体的には、物体検出モデル「YOLO」を使用し、転移学習を実施しました。この技術により、従来のモデルに新しいデータを追加することで、より高精度なネジカウントが可能となります。
データの収集に関しても、15本までのネジの画像を撮影し、それをアノテーションする作業を進めています。合計で3000枚の画像を用意し、学習データとして活用することで、モデルの精度を向上させることを狙っています。
進捗の具体例
現在、阿部さんのチームはYOLOv5sとYOLOv8sの二つのモデルを用いて、検出結果を結合し、最適な精度を追求しています。YOLOv5sの検出結果では、平均適合率(mAP)が0.996に達するなど、高い精度を誇っています。YOLOv8sでも同様の高精度が得られており、これらの成果から、実際の使用に耐えうるモデルが構築されていることが証明されています。
アラート機能の導入
さらに、システムにはアラート機能を組み込むことが考えられています。重なりが大きい部分を検出し、アラートを出すことで、さらなる精度向上が図られる予定です。これにより、現場での対応が迅速に行えるようになり、全体の作業効率を向上させることが期待されています。
今後の展望
今後の計画としては、マイコンへのモデルの移行が挙げられます。これにより、異なるカメラや環境でも同様の精度を出せるかどうかを検証することが目指されています。具体的には、10月にマイコンへの導入と実験を行い、11月には連携企業でのテストを実施する予定です。このステップを経ることで、実用的なシステムが完成に近づくことが期待されています。
終わりに
阿部凌央さんが取り組む「ネジカウントシステム」プロジェクトは、地域の製造業の課題解決に向けた重要な一歩となっています。既存のモデルを活用し、今のリソースの範囲内で転移学習を行った結果、実践的なシステムが形になりつつあります。この取り組みは、技術革新を通じて実際のニーズに応えるものであり、阿部さんの情熱と地域の企業との連携によって、確実に前進していくと感じます。
私たちもこのプロジェクトの進展を見守りながら、地域の製造業がさらなる成長を遂げることを願っています。引き続き、阿部さんの挑戦を応援し、地域の未来に貢献するプロジェクトの成果を見届けていきましょう。皆さまの応援、どうぞよろしくお願いいたします。