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住宅の空調システム(2) 「全館空調+第一種換気」
この記事は注文住宅を建てるにあたって調べた情報をMemo的に書いているものです。
高断熱高気密と呼ばれているような住宅 (筆者的にはHEAT 20 G2~G3、C値<0.5くらいのイメージ) ではエアコン1~2台で全館空調ができるとよく言われています。
空調システムの種類を記載した前回の記事に続いて、本ページでは第一種換気システムと組み合わせた全館空調システムについて記載します。
↓前回の記事
全館空調システム+第一種換気システムの概要
本記事で取り扱うシステムの構成は以下のようなイメージです。外気を第一種換気システムに取り込み、第一種換気システムからの給気をそのままアメニティエアコンへ流し、冷暖房を行った上で各部屋へ供給します。また、廊下等から室内の汚れた空気を回収し、第一種換気システム内でその空気に含まれる室温と湿度(全熱交換タイプの場合)を戻してあげつつ、汚れた空気は外へ排出します。
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構成要素の概要
第一種換気システム
本ページで取り扱うのはダクト式の全熱型第一種換気システムとしています。第一種換気システムとは、外からの給気と外への排気のどちらも電動ファンで行うものです。賃貸アパートによくある排気だけ電動ファンで行っているものは第三種換気システムといいます。
ダクト式というのは金属製またはフレキシブルタイプのチューブ(ダクト)を経由して、各部屋への給気、還気(戻す方)を行うことを示します。
全熱型というのは外へ捨てる排気から室温と湿度を回収し、取り込んだ外気に戻すことで、換気による室温・湿度の悪化を防ぐことができます。
また、天井裏設置タイプと壁付けのタイプがありますが、この手の換気システムはどうしてもフィルタのメンテナンスが必要になりますので、可能であれば壁付けにしたほうが無難な気がします。
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アメニティエアコン
通常の壁付けタイプと異なり、天井裏に隠蔽されて設置される形を想定しています。昔の家ですと各部屋に個別で小さいアメニティエアコンを設置することもあったようですが、高断熱高気密の住宅ですと一台で全部屋をカバーできるようです。
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メリット
各部屋を直接冷暖房できるため、壁付けエアコン2台でカバーするときのようにドアを開けっ放しにする必要がなく、各部屋の温度差も少ない。
但し、各部屋を均等に冷暖房をしてしまう都合上、1Fと2F、または南面の部屋と北面の部屋等、環境が大きく異なる部屋の間で若干の温度差が出てしまうという噂。換気レベルの風量で冷暖房するため、極端な冷風等を感じづらい。
デメリット
エアコン故障時に換気システムも機能しなくなる可能性が高い。
アメニティエアコンは壁付けエアコンと比較して高価である。
1F/2Fの双方を壁付けエアコン1台ずつで対応する方式に対して、アメニティエアコン+予備用の壁付けエアコンの構成は高めになってしまう。コストは後述します。(アメニティエアコンだけにしてしまうと、故障したときのリスクが高すぎる)換気量とエアコンの風量を一致させておく必要がある。
ここが不一致になると、換気システム⇔エアコンの経路が室内圧より加圧、または減圧状態になり、エアコンの設定温度とは異なる室温になってしまう可能性がある。
ここをどのように連動制御すればよいのか、汎用的な良い案は今のところ浮かばないので設計・施工を担当してくれる業者へ確認したほうが良い。アメニティエアコンのメンテナンスコストは壁付けエアコンの3~4倍である。通常の壁付けであれば1~1.5万円程度で清掃を依頼できるが、ビルトイン型アメニティエアコンの場合は対応可能な業者が限られる上に3.5~4.5万円程度必要になる。また、ダイキンの指定業者だと持ち帰りになるため、一週間使用できない上に費用も7万円かかるとのこと。
天井裏付けの隠蔽型ビルトインエアコンの場合、フィルタ交換作業の難易度が高い。特に全ダクト設置については取り扱いマニュアルが存在しないので詳細は不明。(もしかして装着できない?)
プロダクト詳細
アメニティエアコン ビルトイン型(ダイキン製)
ダイキンのハウジングエアコンの壁掛形には必ず搭載されている結露水を利用して熱交換器部を洗浄するという水内部クリーン(結露水洗浄)がビルトイン型には搭載されていない。超残念である。基本的には純粋なエアコン機能しかないものだと思ったほうが良いです。
ハウジングエアコン アメニティビルトイン型 全ダクト設置
S40ZLVであれば冷房4.0kW、暖房5.3kWと十分な能力があります。APF=4.9です。
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https://www.e-aircon.jp/housing_aircon/aircon_model/S40ZLV.html
ダクト類が含まれていないため、実際の構成価格はもう少し高めになると思われます。
店舗・オフィスエアコン スカイエア 天井埋め込みダクト型
P50タイプであれば冷房4.5kW、暖房5.0kWと十分な能力があります。
FIVESTARSはAPF=5.2の省エネタイプ、ECO ZEASはAPF=5.0の標準タイプです。
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https://www.e-aircon.jp/aircon_model/SSRMM50BYV.html
ダクト類が含まれていないため、実際の構成価格はもう少し高めになると思われます。
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https://www.e-aircon.jp/aircon_model/SZRMM50BYV.html
ダクト類が含まれていないため、実際の構成価格はもう少し高めになると思われます。
最後に
ここまで、全館空調システム+第一種換気システムの構成について記載してきました。温熱環境に関するメリットはありますが、様々なデメリットもあります。
次の記事では私が導入を考えている集塵システムを含めた構成について記載したいと思います。
見出し画像はUnsplashのAshkan Forouzaniが撮影した写真