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5分でわかる子宮頸がん13 HPVとは?

 95%以上の子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症すると言われています。今回は子宮頸がんの原因であるHPVについて詳しく説明していきます。

HPVとはどのようなウイルスなのか?

 HPVは人間にのみ感染するウイルスです。HPVには200種類以上のタイプがあります。子宮頸がんなどHPVが原因となるがんから検出されるHPVをハイリスクHPVと呼びます。また、尖形コンジローマ(ヒトパピローマウイルスを原因とする性感染症)などの良性のイボから検出されるHPVをローリスクHPVと呼びます。両者とも感染ルートは同一ですが、発生する病気は異なってきます。 

HPVはどうやって感染するのか?

 HPVは体の表面同士が接触することにより感染します。ウイルス粒子が皮膚や粘膜に接着すると、皮膚や粘膜を覆う上皮という皮の深層にある細胞に感染します。ウイルス遺伝子が細胞内に入り込み、感染した細胞を変化させ、上皮から新しいウイルスが増殖します。

 性的接触等の刺激により、上皮に極めて細かな傷が生じ、そこからウイルスが上皮の深層に入り込み、細胞に感染します。つまり、性的接触のような濃厚な接触があった場合、HPVに感染します。性的接触がない場合は、HPVに感染することは稀です。 

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出典:HPVの子宮頸部への感染の模式図(公益社団法人日本産科婦人科学会)

HPVに感染するとどうなるのか?

HPVに感染しても無症状であり、感染者はHPVに感染したことに気づきません。ハイリスクHPVに感染していても、子宮頸がんを発症する感染者は一部です。また、がんを発症するにしても、数年から数十年後です。

 健康な女性からもハイリスクHPVの遺伝子が多く検出されています。また、全女性の 50~80%は生涯のうちにHPVに感染したことがあるとも言われています。HPVはそれくらいありふれたウイルスなのです。


参考文献

公益社団法人日本産科婦人科学会(2020)「子宮頸がん予防についての正しい理解のために Part1 子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識」http://www.jsog.or.jp/uploads/files/jsogpolicy/HPV_Part1_3.1.pdf

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【この記事を書いたのは】インターン生 山口賢聖 普段はHatch Healthcare株式会社で、noteの記事作成やPR活動を担当

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