仕事で学んだこと『企画3原則』③革新性
"動機"、"利益"に続く最後の『企画3原則』は、"革新性"です。
革新性とはその名のとおり、これまでとは違う新しさ。
気を付けなければいけないのは、革新性は初めから備わっているものではなく、見出すものということです。
よく、「キミが思いついた斬新なアイディアは、誰かがすでに思いついたが実現できなかったもの」というような腐った言説がありますが、あれは嘘です。惑わされて革新性を見出す努力を放棄してはいけません。これはリテラシーの問題です。
しかも企画3原則における"革新性"は、"動機"や"利益"に比べて容易に見いだせる、ボーナスのようなものです。企画の動機や利益が不足している場合に、「革新性によって補える」と考えても良いくらいです。
革新性があっても革新性を考える
実は密かに7Gを開発して運用できるとか、自宅で核融合できるといった、本当に本当の超革新的ファクターがあったとしても、「これで充分」ではありません。それでもさらに革新性を考える必要があります。
なぜかというと、企画3原則のうち"動機"と"利益"は企画する側の都合ですが、"革新性"は唯一、お客さん側に関係があるからです。革新性は、企画にとっての"顔"にあたります。
その一方、前述した7Gや核融合は、それだけでは一般のお客さんにとって魅力的に映りません。7Gや核融合があったとしても「それが何の役に立つか」を利用者の立場で考えて示すのが、企画3原則における"革新性"の役割です。
"革新性"なんて呼び方をすると大仰ですが、お客さんに伝えるべき"特徴"とか"独自性"として定義しなおせば話は簡単。よりゆるく考えるなら、「宣伝文句」を考えればいいのです。
応用:日々の作業にも革新性を
企画の革新性について考え、示すことは、日々行なう小さなの作業にも応用できます。イラスト作成や記事の執筆を頼まれたとき、あるいは雑用を頼まれることも、受ける側にとっては小さな企画のようなものです。
例えば「その荷物、邪魔だからどかしておいて」といわれたとき。依頼通りに作業をこなすだけなら、荷物を部屋の別の片隅にでも移動させるだけです。これに革新性をもって取り組む場合はどうしたらいいでしょう?
あるいは「書類にまとめておいて」と頼まれたとき。ほかの人ならやらない、自分だからこそやれることはないか? と考える。
なにか作品を作るよう頼まれたとき、依頼者に「思ったよりいいものになった」と思ってもらうにはどうしたらいいか。
もちろん、あまり余計なことをすると「勝手なことをするな」と不評を買ってしまいます。なので、そこは「~に置けばいいですか」「~についても書いた方がいいですか」と、確認を取る必要はあります。
相手の立場になってプラスになることを考えることと、そしてそれを伝えること。これが企画3原則における"革新性"の基礎となります。
おわりに:企画3原則で世間を見つめる
企画3原則という呼び名は広く使われているものではありませんが、エッセンス自体は世間のあらゆる作品やサービスの裏側に存在したり、欠けていたりします。普段なにげなく買っている商品などについて、企画3原則のどれがあり、どれがないのかを考えてみることは幅広くクリエイター・表現者にとってプラスになるはずです。
あるいは、人の振る舞いに当てはめることも可能です。政治家の動機や利益について考えることは大切ですし、あるいは「好きな人に好きになってもらうこと」を企画と考えてもいいでしょう。「利益あたえられねえええええ」という悲鳴が聞こえてきそうな気がしますが、そういうときは革新性を持って生きてみるのもいいかもしれません。
(おわり)
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