英国ドラマ『野望の階段』
2011年10月11日のことだったと思います。その日、ニュースで言っていたんです「東日本大震災から今日でちょうど7ヵ月です」と。
同じように考えると、今日12月28日は、統一教会の広告塔を務めたことでよく知られる安倍晋三さんが統一教会信者の家庭に育った山上徹也容疑者の銃撃によって殺害されてちょうど5ヵ月と20日となります。
安倍晋三さんは政治家でもあり首相も務めた方ですが、生前、NETFLIXの政治ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を観るのが楽しみだと話していました。「副総理には気を付けろ(笑)」なんてコメントもしていて、ほんとに好きなんだな~と、強く印象に残ったことを覚えています。
ぼくも海外ドラマが大好きなので『ハウス・オブ・カード』の名前はもちろん知っていたのですが、当時はまだ観ていませんでした。でも、すごく気に入って楽しんでいる人を見るほどの宣伝効果はありません。ぼくもこの機会に『ハウス・オブ・カード』を観てみることにしたのです。
さすが日本が誇るインフルエンサーですね。統一教会も放っておくわけがありません。
NETFLIX『ハウス・オブ・カード』
さてそのNETFLIXの『ハウス・オブ・カード』、まず第1シーズンを観ての感想は「なるほど、好きそうね」です。本作は主人公フランシス・アンダーウッドを中心に政界のドロドロとした権力争いを描いた作品ですが、安倍晋三さんも、東日本大震災後に自身のメールマガジンで事故当時の菅直人首相に関するデマを流したり、当時は野党の身にあった自民党が政権を奪還して自身が二度目の首相に返り咲くために統一教会に近づいたりと、なりふりかまわない政治手法を行なってきたことで知られます。本作は、まるで安倍晋三さんのためのマニュアルなのかと思うふしも。
ただ、このNETFLIXの『ハウス・オブ・カード』の第2シーズン以降をぼくは観ていません。だって……長いんですよ。1シーズンは13話でそれほど多くはないのですが、それなりに内容が濃いうえに、全6シーズン(73話)もあるんです。
しかも、シリーズ後半に関する重大なネタバレを見てしまったのが致命的。大してネタバレを気にする方ではないのですが、さすがにモチベーションは低下し、しばらく『ハウス・オブ・カード』のことは忘れていました。
BBC『野望の階段』
ところがある日、Amazon Primeのラインナップに『野望の階段』があることに気付いたのです(注:今はAmazon Primeにはなく、U-NEXTやhuluで観られます)。
NETFLIXの『ハウス・オブ・カード』は2013~2018年にアメリカで製作されましたがリメイク作品で、そのオリジナルは1990~1995年にイギリスBBCが製作した『野望の階段(House of Cards)』です(原作小説もあり)。こちらは1シーズン4話で3シーズン(全12話)とコンパクトにまとまっているので、それならこちらを観てみようと思ったわけです。
『野望の階段』も基本は同じ政界ドラマですが、イギリスとアメリカの政治構造の違いが強く出ています。特に『野望の階段』第2シーズンでは主人公フランシス・アーカートとイギリス国王との権力争いが描かれます。天皇制のある日本の政治や政治家、特に「森羅万象を担う」「私は立法府の長」などの発言もあって首相(注:行政府の長)の立場を超えて権力を振るおうとしたことが知られる安倍晋三さんヒストリーとのシンクロ率は高すぎです。
なお『野望の階段』最終シーズンでは、ネタバレどころかほのめかすこともアウトな展開が待っています。本作はもう30年も前の作品ですが、もし、少しでも気になったら「観るかしかない」とだけ申し上げておきます。
もちろんドラマはドラマであって、これで現実の政治についてどうのこうのと言うつもりはありません。ただ、フィクションは鏡のように現実を映すことがありますから、捨て置けないこともあるのです。本作はその最たるもののひとつかもしれません。
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