ドット絵メイキング『ファミコンのコントローラー』
今回のドット絵メイキングは、記事『なぜゲーム性の議論は忌避されるのか』のタイトル画像に使用したファミコンのコントローラーです。
言っちゃなんですけど「見たまんま」で、立体感もつけず平面的で大した工夫もしていないので「メイキング、いらんでしょ」と思っていたのですが、なんだか捨て置けない気持ちになったのでやっぱりやることにしました。ノスタルジーってやつですね!
ファミコン世代おじさんとしては、もうこのコントローラーの色・かたちを見ると"ぐっ"とこみ上げるものがあるんですけど、世代じゃない若い人たちはどうなんでしょ。「普通なら、この微妙な赤色は選ばない」とか思うんでしょうか?
なお、立体感をつけず平面的に描いたこともあり、このコントローラーのドット絵は、ほとんど試行錯誤なしの"一発描き"でした。そのため、実は完成形の画像しか保存されていません。
そこで今回は、過程を思い出しながら手順を復元した画像を使っての、メイキングとなります。
1. 全体像を作成し、色も決定
今回は32x16ドットに収まるよう、コントローラー全体のかたちを「だいたい」で決めます(ただし以下の画像の背景は、都合により縦24ドット)。また、今回は雰囲気重視で作業を進めたかったので色も決めてしまいます。
いつもは、最後に色を見直すために、ダミー色で作業(あとで色を置換することにしておいた方が、無駄に色を増やさずに済む)を行なっていますが、今回はグラデーションなどを用いることがなく、使用色数が増えないことは明白なので例外としました。
ところが、この時点でボタンに使う"黒"の濃さも決めたいと十字キーを描き加えたところ、なんだかバランスがおかしいことに気付きます。
2. 要素を揃えつつバランス調整
十字キーはサイズ調整のしようがないので、コントローラー全体の高さを+1することにしました。そのうえで、SELECT、START、Bボタン、Aボタンを描き加えます。
少年のころの記憶は「これぞファミコンのコントローラーだ、おつかれさま」と告げています。これで完成で良いのでは、と思います。実物のコントローラーと比較しなければ、ほぼ違和感ないですよね。
3. 細かい要素を追加&やっぱり色調整
しかし実物にはけっこう細かい要素が含まれていたのでした。ボタン4つの上にそれぞれの名称が書かれており、全体を横に貫く2本線も描かれています。とはいえ、これらの要素をきちんと描くのは無理なので少し薄めの色で"もや"っと塗ることにします。
ところが、ここで問題が。ABボタンの上には黒枠・白抜きで[A][B]とプリントされています。この色はボタンそのものとは別にしたい衝動にかられ、一度は決めたはずのボタン色を1段暗い色に変更しました。
なお実際にはプリントはかなり"真っ黒"で、ボタンとの色差があるわけではありません。しかし、より目立つべきなのはボタンの方なので、コントラストをつけて強調するためにボタンを濃く、プリントは少し薄くするようにしています。
4. 完成
ボタンがあまり平面的なのは気になるので、少し立体感をつけるために明色を配置し、あとは左上のコントローラー番号をただの黒四角から[ I ]に変えて完成です。
うーん。でもコントローラー番号を無理に描いたのは失敗でした。[ I ]は良いけど、「II」はどう考えても無理ですからね……。
"2コン"も作成
というわけで、前編とともに"1コン"を完成させてしまったあとで、後編のために"2コン"を作ります。
"2コン"にはSELECT、STARTがないかわりにマイクとマイクのボリューム調整機能が加わっており、わりとゴチャゴチャしています。ボリュームの大小を示す細長い三角形なんて描けるわけないので、かなり苦しいごまかしを施しています。
最後に、ボリューム最大でマイクに向かって「要素多すぎー!」、「密度高すぎー!」と叫んだら、完成です。これはとっておきの裏技(!?)なので、詳しいことをお話しできないのは残念です。