ペット禁止ルールの廃止を要求してみた(前編)/マンション・団地で猫を飼おう計画
昨年入居した集合住宅のペット禁止ルールを"どうにか"して、ルール違反はせずに猫と暮らそう計画の続きです。
今回は、先日うちの団地の管理組合理事会に対してペット禁止ルールの廃止を求めたのでその報告から……と言いたいところですが、その前にひとつ訂正があります。
訂正:3/4の賛成が必要でした。ギャー
前回、以下のように、協約の変更には組合員の1/2の賛成が必要なはずと書きましたが、これは間違いでした。
正確には「規約」ではなく「規約"等"」の変更は組合員の3/4の賛成が必要で、この「規約"等"」に協約が含まれることが別の箇所に書かれていました。別の機会に詳しく書こうと思いますが、これはかなり厳しいです。
【報告】管理組合理事会にペット禁止ルールの廃止を求めました
先日、管理組合理事会に対してペット飼育禁止協約の廃止を求める文書を提出しました。まだ何もリアクションはありませんし、そう易々と事態が動くとは思っていないし思ってほしくもないのですが、とりあえず「行動を始めました」という報告となります。
ペット飼育を可能にする方法はいくつの方法が考えられるのですが、今回は正攻法としてペット禁止ルールの廃止を求めることにしました。ペット可の集合住宅では体重を基準にして小型犬も許容しているところもあるようなので、猫に限らず犬も含むことを前提にしています。
文書の概要は、次のとおりです。
①室内飼育は迷惑行為ではない。
②ペット禁止ルールは室内における各個人生活に対する過干渉であり、協約によって抑圧する事柄ではない。
③別項と重複しており、不要である。
④ペット飼育ガイドラインを定めるべき。
⑤命の尊厳うんぬん
なお、文体は柔らかくしておきました。はじめは「こんなのありえん、○ね」くらいの勢いで書いていたのですが、今の理事たちに責任があるわけではないので責めても仕方ありませんからね。
以下、①~⑤について簡単に解説していきます。
①室内飼育は迷惑行為ではない
昔のペット飼育は、犬は庭につなぐ(吠える)、猫は放し飼い(野良猫と喧嘩する)、兎も外で小屋に入れる、というのが常識でしたから、古い時代に作られた規約・協約には"完全室内飼育"という概念そのものが想定されていません。
ペット飼育が室外に及ぶ場合は、騒音等の被害は避けられず周囲の他者に影響を及ぼすと考えられるため、協約で禁止される理由もわかります。また、ペットを飼いたい人たちも、昔は「室内に閉じ込めるなんてかわいそう」と思いましたから、ペット禁止ルールは問題視されませんでした。
しかし、現代は違います。
今は室内飼育に向いた品種がわかっていたり、適切な運動をさせることで騒音の原因となるストレスを軽減できることなどが知られており、完全室内飼育の行為そのものが迷惑行為とは言えず、完全室内飼育を含めてペット飼育を禁止する道理はありません。
②ペット禁止ルールは室内における各個人生活に対する過干渉であり、協約によって抑圧する事柄ではない。
①にあるように、適切に行なわれる完全室内飼育は近隣住人や共有スペースなどに(原則として)影響を及ぼさない個人生活の一部です。そして、規約や協約には、その個人生活に干渉する権利はありません。
これは、火事になるおそれがあるからといってタバコを禁止したり、酔うと騒ぐかもしれないとお酒を禁じたり、事故を起こすおそれがあるからと自転車・自動車を禁止することを、しない(できない)のと同じことです。
③別項と重複しており、不要である。
協約には、ペット飼育禁止条項とは別に、(行為の種類を定めずに)騒音・悪臭等の迷惑行為を禁じる条項があります。これはうちの団地だけではなく、他の集合住宅の協約にもあることを確認しました。この手の文言はたいがいコピペですから、当然ですけどね。
この別項により、"なんらかの行為"によって生じる騒音等の迷惑行為はすべて禁止されていますから、重複してペット飼育行為そのものを禁止する必要はありません。逆に言えば、ペット飼育を解禁したとしても、ペット飼育によって生じる騒音等が許されるようになるわけではないのです。
正しい知識をもってペットにストレスを与えずに飼育することは認められるべきですが、虐待を含む誤ったペット飼育によってペットにストレスを与えたり周囲の人々に迷惑をかけることは許されない、ということです。
④ペット飼育ガイドラインを定めるべき。
今回の要求はペット飼育を無闇に推し進めることとは違うので、ただ単純にペット飼育を解禁して済ませるべきではありません。室内飼育は簡単なことではないので、必要な知識もなくペットを飼う人が増えれば当の動物たちにも不幸を招きかねませんし、騒音等の被害が生じて反発が生じることもありえます。
そこで、ペット飼育条件を定めるガイドラインの策定を、具体案を添えて提案しました。
ヨーロッパなどではペット飼育を禁止するのではなく、逆にペット飼育の条件を(ときには法律で)定めていることがあるそうです。「犬は散歩させろ」みたいな感じですね。本来なら他所がどうしているかはどうでもいいので「海外では~」という言い方はしたくないのですが、日本は倫理後進国なので仕方ありません。
飼育条件ガイドラインは、ペット可の集合住宅の飼育ルールや、保健所や動物保護施設からの譲渡条件などを参考にして、具体案をまとめました。
完全室内飼育であることはもちろん、騒音防止策を講じることや、事前に獣医にかかり予防接種を済ませること、許容範囲を超える繁殖の防止(つまり避妊)、同居する家族全員の同意があること、単身者はいざというときの引き取り手を定めておくこと、室外ではケージにいれて運搬すること等、かなりの厳しめの内容にしてあります。
⑤命の尊厳うんぬん
この記事に関心を持ってくれた方々には言うまでもないことですが、ペット飼育禁止ルールは、ペット遺棄、保健所への収容、そして殺処分へとつながる流れの根本にある主原因のひとつです。
なぜか末端に位置する殺処分やペットを手放す人ばかりが非難されますが、元を正せばペット禁止ルールが元凶です。なぜか批判の対象になっていないので、不当なペット飼育禁止ルールこそ、強く非難していくべきでしょう。
また今回の要求では、若い世代など新たな入居者に忌避されやすいペット飼育禁止ルールを残すことは、これからの人口減少社会においてコミュニティの崩壊を早め、将来の住民生活を脅かすことにつながることも指摘しました。高齢者は自分が亡くなったあとに子どもや孫に住んでほしいという願うことがよくあるようですが、その妨げになることも。
でも、そもそも「ペット禁止」ではない!?
今回提出した文書は以上のように、ペット禁止ルールの廃止を求め、逆にペット飼育ルール(ガイドライン)を定めることを求めるものです。でも、実は「廃止を求める必要はない」かもしれないという側面があります。
実は協約をよく読むと、ペット飼育全般を禁止しているわけではないと解釈できるのです。概要①に書いたように、昔は"完全室内飼育"の概念がなかった(知られていなかった)ので、想定の範囲外のままになっているのです。
もちろん条文の文言次第で変わることなのですが、この手の文言はコピペされて伝播していることを考えると、おそらく他の集合住宅も似たような状況にあるかもしれません。今回は記事が長くなってきているので、次回そのあたりを詳しく書こうと思います。
(つづく)