編集者は告げた「もっとパンツ見せろ」と。(前編)
かなり昔、ジュラ紀のちょっとあとくらい。美少女誌(イラスト系ロリコン誌)も出しているとある編集部にお邪魔した際に、担当編集者がイラストレーターとの打ち合わせの様子を再現しながら口にしたセリフが今回の記事タイトルにあるソレです。
この手の本の中身はソフトなものからハードなものまで色々あるらしく、カラーページのみでできている本は絵柄的に「かわいい」を売りにしたファンシー路線、モノクロページが多いほどマンガに頼る(絵柄だけでなく"行為"で表現するのでエグいものになる)傾向があるようでした。
問題は、表紙や誌名だけ見ても中身がわからないこと。その編集部で出していたのは、表向きはソフトで中身が「モロ」のやつでした。もらった見本誌を家で開いてみてビックリしたわ! 詐称ダメ絶対!
「表向きと中身が違う」のは大きな問題で、さまざまな意味で誤解を生み、問題を起こします。
表向きは「かわいい」を装いながら中身は"OH...HENTAI"なものが多く存在することで、ただの「かわいい」路線を好む人たちもHENTAI扱いされてしまいます。これは少々気の毒です。
この誤解を生む要因は、主に出版社にあります。
「とにかく売りたい。そのためには詐称・擬態も厭わない」
詐欺師、犯罪者の思考です。
落ち目産業だから仕方ない、などと擁護はできません。貧しいからといって窃盗や強盗が認められるわけではありませんからね。
昨今、イラストのエロ表現に対して批判が集まることが増えていますが、背景にはこういった「アダルト商品を非アダルトに混ぜようとする構造」があることを見逃してはいけません。
本はたいていビニールがかけられていることもあり、表紙が偽れば、中身を誤解して買わされることもありえます。「かわいい」好きも被害者と言えるでしょう。
また、エロ表現の批判においては、批判の対象を広げる言説も少なくありません。しかもそれはエロ表現を守る(つもりでいる)側によって放たれています。
あくまでエロ表現に対する批判に過ぎないものを、事実に反して「萌え絵も対象だ」「コミック・アニメ全般が規制される」「表現の自由の侵害だ」と嘘を広めることで批判する人たちを中傷し、分断を煽っています。
誰が被害者なのか。誰が加害者なのか。どんな解決策があるのか。出版社と作者の関係やビジネスの都合といった社会の仕組みは、外から見てすぐにわかるものではありませんが、誤解をしたまま無責任な言説を広めていい理由にはなりません。
考えなければいけないことはたくさんあります。「社会の敵」となる前に。
(つづく)