HyperCard
時代を築いた伝説的なソフト。一度でも触ったことがある人には説明不要。けれど、あまりに古く、もはや動く環境が失われて久しく、知らない人も多いと思うので。説明を試みる。(というか、この文を読んでるような人は、みんな知ってるよね)
MacPaintのようなお絵描き機能を持ち、MacWriteのような文章作成機能を持ち、カード型データベースのようにデータを格納でき、さらに!スクリプトで自由にプログラムを組むことが出来る、それがHyperCard。最も基本的な使い方はカード型データベースのお手本的であるアドレス帳(サンプルに付属していた)。絵が描けるなら、紙芝居やパラパラ漫画なんて一瞬で作れた。スクリプトを組めば、少々凝ったゲームも作れる。ただ、HyperCard自体が高機能ゆえにやや(かなり)重く、高速なアクションゲームとかを作るのには向かなかった(が……それすら克服する裏技もあった)。
実用、エンタメ、そして開発と、はっきり言って全方位敵なし。HyperCardは、Macintoshの一つのソフトではあるが、もはや「HyperCard」として完結する一つの〝世界〟になってしまった。Macを使うと言うよりも、HyperCardを使うためにMacを立ち上げるような感じ。HyperCardのためにMacを購入した人も多かったのではないだろうか。これが無料でバンドル(付属)されてたなんて!
そんなHyperCardだが。やがて機能限定され、無料バンドルから外されていく。さらに、CPUの変更に伴うOSの変遷があり、追随できずに開発が終了となってしまう。残念。後継ソフトが出てきて欲しかった。似たようなものとして、アドビのFlashは、これも時代を築いたが、すでに終了している。クラリスのファイルメーカーは、カード型データベースとしては正統進化だが、お絵描き機能やスクリプトの自由さは無いし、何よりもクソ高い。HTML+Ajaxでも、HyperCardと似たことは実現できるかもしれないが、開発の環境が統合されているとは言えずハードルが高い。つまり、HyperCardの後を継ぐソフトは存在しないのだ。今のCPUのパワーなら、難なく動かせると思うのだが。
HyperCardって結局、天才ビル・アトキンソンが産み出した、奇跡のソフトってことだな。