MacPaintとMacWrite
両者はいずれも、Macintoshの初期にバンドル(付属)していたアプリケーション。お絵かきソフトとワープロソフト。詳細などはWikiに任せることにして。ここでは、何が画期的だったか?を記してみる。
まずはMacPaint。
モノクロで必ずしも解像度は高くない。けれど、さまざまなドットパターンで味がある絵が描ける。この時代、日本のBASICを中心としたコンピュータでは、lineやcircle, boxなど幾何学的な図形を組み合わせて絵を描くのが主流だった。それと比べるとMacPaintではマウスを使って手書きのような自由な線で描けて、エアブラシのようなグラデーョンも使うことができた。←これだけで十分に画期的だったのだ。
しかし、最も画期的だったのは、投輪ツールだろう。四角や丸といった決まった形で選択するのでは無く(!)、くるっと適当に丸く囲った部分を、その形のまま選択して、移動や消去ができた。これが画期的だった。「不整形な形」をどうやって扱うのか?不思議でならなかった。のちにプログラミングをして知ったのは、この図形をなんとregionという型の指定だけで扱えてしまうのです。「特定のポイントがregionの中なのか外なのかを判定するルーチン」まで用意されていたと記憶する。
解像度が低すぎて、印刷物としての作品が作れたか?となると難しかったと思うけれども。操作方法としては、その後のお絵かきソフトのお手本となったのは間違いない。
そして、MacWrite。
この時代は、ワープロ専用機でもパソコンのワープロソフトでも、画面上では漢字ROMで用意された決まった形と大きさの文字が表示され、プリンターで印刷するときに装飾が施される、というのが一般的だった。
それと比較してMacWriteでは、いろんな形のフォント(当初はアルファベットのみ)が画面上にそのまま表示され、装飾も画面上で確認できる。プリンターから印刷されたものは、画面に表示されているのと『同じ大きさ』! これを、「WYSIWYG」と呼んでいた。「What You See Is What You Get(見たままのものが手に入るよ)」ということ。これも画期的な出来事。(ただし、後の仕様変更で、WYSIWYGとは言えなくなってしまうが)
ともかく、Macのワープロソフトの操作と機能の基本はMacWriteがお手本となる。むしろ、あまりに完成されすぎていて、後発のワープロソフトでは差別化が難しのでは?と心配するくらい。
いずれのソフトも、従来のパソコンとは全く違った外見・使い方で、「Macintoshとは、このように使うのですよ」というのを体現していた、初めてのソフト。それでいて、試作品やテスト版ではなく、完璧な使い勝手で、後のソフトのお手本になっている。
本体にバンドル(付属)されなくなったのは残念だが、「あまりに優秀過ぎて、他社製のソフトが売れなくなる」という理由はあながち嘘では無いだろう。ただ、その代わりに、とんでもないキラーソフトがバンドルされてしまうのだが……。それは次の話。