やさしい韓氏意拳入門 第五回 「摩擦歩」 文/駒井雅和
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武道、武術好きなら一度は名前を聞いたことがある、韓氏意拳。興味はあるものの、どこか敷居の高さを感じて二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか? そこでここでは駒井雅和教練にお願いして、できるだけ分かりやすく韓氏意拳について書いて頂きました。第五日目の今回は、「摩擦歩」です。
やさしい韓氏意拳入門
第五回 「摩擦歩」
文●駒井雅和
皆さん、ご無沙汰しています。
五回目の今回はの摩擦歩篇です。
前回までに紹介してきた站椿や試力などは、上半身の動きから全体を見ていきましたが、摩擦歩は下半身の動きから全体を見ていくことになります。
それではまず最初に摩擦歩を学ぶにあたって大事な3つのポイントを上げてみましょう。
摩擦歩の3つのポイント
●運動の基本は足が上がること
運動の基本はまず足が上がることです。わざわざ言うまでもないことですが、足が上がらずにスムーズな移動は行えません。しかし、この足の動きがまた厄介なのです。
意識的に動かそうと思えば思うほど、ここまで書いてきた“状態”が崩れてしまいます。
●運動には止まるバランスは要らない
摩擦歩は片足立ちになって行いますが、片足立ちになると、ついグラグラしないように体を固めてしまったり、倒れないようにすることを目的にしてしまいがちです。ですが、歩くという運動は体重の分配が5:5から4:6や3:7に変化することによって生まれます。つまり運動はある種の偏りから生まれるものであるわけです。
ですから、不安定さを恐れるあまり体を固めることは、かえって運動を理解するのには逆効果になります。
移動については、歩法篇で詳しく紹介する予定ですが、その前段階としてここでは安定と固定について、その違いを体で理解していきましょう。
●動いているところではなく、動いていないところに注目する
動かすことに注目しすぎると、あまり動いていないが“働いているところ”の変化に注目することができません。
目立ちたがりの裏で、いい仕事している存在があるやもしれません、例えば動いていないほうの足、止まっているように見える手、腕など、そちらにも、いやむしろそちらにしっかりと目を向けてみましょう。
これが摩擦歩を学ぶ上で大事な3つのポイントです。
どうでしょう? 相変わらず当たり前なようでいて難しい感じがプンプンしますね(笑)。
いつもの通りできるだけ“駒井式”で分かりやすく説明していきたいと思いますのでお付き合いください。
それでは、何はともあれ実際の摩擦歩の動きから説明していきましょう。
摩擦歩の実際、摩擦歩には、
上下
前後
左右
内旋
外旋
の5つの動きがあります。まずはそれぞれの運動を説明しておきましょう。
最初は上下です。
これは足を上下に動かすことです。当然のことですが足が上がらなければスムーズな運動を行えません。ですから運動の最も重要な条件、基本は足が上がることになります。
基本的な条件が整ったら次は前後です。
前後は足裏が地面着いていないことを除けば、実際に歩いている時の運動に似ています。では、改めて移動中の足の運動とはどのような感じでしょうか。止まって行う摩擦歩ですが、普通に歩くのと同じように足を前後してみましょう。その上で普通に歩く感じと摩擦歩とを比べてた違いを感じいてください。
続いて左右、内旋、外旋です。
カニの様に横へ歩いたり、足を内旋、外旋させながら歩くことは、普段はしませんよね。ですので、一見特殊な運動のような気がするのですが、よく観察してみると、足の幅を閉じたり広げたりする時や足が前後に交差する時に、そうした要素が含まれていることに気がつきます。
摩擦歩の動き自体は以上のようなもので、目新しいものではありません。
しかし足の運動としては上下、前後、左右、内旋、外旋で大凡出揃っています。
この5つの基本的な足の運動から、自然な運動・状態とは何かを問いかけるプロセスを摩擦歩といいます。
それでは実際に試してみましょう。
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