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ボディーガードと言うとかっこいいイメージがあるかもしれないが、実際は全然かっこ良くない。だから、必要がなくなったと思ったら、消えて欲しい位なんだよね。でも、 7月18日
陽子はストーカーにつきまとわれていた。
ある日、SNSに
「必ず、返事をします。
私の3サイズは・・・・・・・
住所は・・・・・」
という自己紹介が掲載されていた。しかも、
写真付きである。これは悪質な悪戯だった。
陽子が、この悪戯の存在を知ったのはSNSに
1日100通以上の男性からの交際希望が突然来るように
なったからだ。ビックリした陽子は、すぐに閉鎖した。
無視していると、Mは家の前や勤務先に
現れるようになった。そして、
「交際してくれるまで、一生付きまとうぞ」
と言うのだった。
恐くなった陽子は警察に連絡した。何度か警察もMに事情聴取や
注意をしたが、しばらくするとまた、Mは現れるのだった。
そんな陽子の勤務先に善治という男がいた。
彼は以前から陽子に気があるらしかった。陽子は、憧れている人が
いたので、交際を断っていた。三枚目の善治は悪いヤツではないが
陽子の好みではなかった。
ところで、Mの存在は、職場では知らぬ者がいないほどに
なっていたから、善治も心配して
「陽子ちゃん、あのストーカー退治してやろか」
と何度か言ってきた。最初は警察に頼めば何とかなると
思っていた陽子だから、善治の申し出は断っていた。が、
警察に言っても、なかなか解決しない。ほとほと困り果てた陽子は
「本当に何とかなるの?」
「俺がボディーガードになるから・・・」
と善治は胸を張った。
その日から、善治は
朝、7時30分に陽子の家に迎えに来て
夜、6時に一緒に会社から出て、夜7時に陽子の家まで
笑い話をしながら付いてきた。飲み会の時も、陽子が友達と会うときも
少し離れて善治は付いてきた。善治が役にたつ時がきた。
Mが現れると善治はMの前に立ちはだかった。Mは、
「お前は誰だ」
と言うと、
善治は、長めの前髪の毛をかき上げながら
「ボディガード」
と言って、Mを追い払ってくれた。カッコつけてるつもりでも
全然カッコよくない善治だが、やっと役にはたったのだ。
それっきり、Mはまったく姿を現さなくなった。それから
1ヶ月過ぎた日、善治は、
「得意先で仕事の打ち合わせが長引いて、6時に会社に帰れない」
と陽子に連絡してきた、
「大丈夫、1ヶ月現れなかったし諦めたと思うわ。今日はひとりで
帰ります」
陽子はもうストーカーはあきらめたようだと思っていたから、善治は無用で嫌気がさしていた。内心ほっとしてちょっと気晴らししながら帰ろうと思っていた。
ところが、そんな日に限ってMは現れた。いや、ずっと付け狙っていたのだ。
会社を出てすぐの駅前だった。Mは恐い顔してナイフを持って言った、
「俺に無断で、変なボディガード雇いやがって」
「助けて・・」
と陽子が叫んでも、行き交う人は見ているだけで誰も助けては
くれない。周囲の反応を見てMは言った
「ハッハハ・・・世の中は、そんなものさ」
絶対絶命の陽子だった。Mの持つナイフが光った。
その時、善治が現れた
「遅れてごめん」
善治はMに跳び蹴りを食らわせて、
Mと命がけの格闘になった。
警察が駆けつけたのは5分後だった。
Mは逃げて、善治は何カ所かMにナイフで刺されていた・・・