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また、あのドムドムで10月24日

ある日、彼女の元に懐かしい人からの手紙が届きました。

封筒の中には、千円札一枚と便箋2枚でした。

「もう忘れているかもしれないけれど
大掃除をしていた時に偶然見つけたんだ。
本の間にはさんであった千円札。
君に借りて返すはずだった千円札。
3年も前のことだから、
俺の名前も忘れているかも知れないな。
あの時はありがとう」

送ってきた彼は、彼女の高校3年生のクラスメートです。

卒業式の後、10数人で出かけたドムドムバーガーで彼だけが持ち合わせがなかったので、隣に座っていた彼女が1000円貸してあげたのです。

それから3年。当時から特に親しいわけでもなかったので、彼とは一度も会うこともなく、お金のことも忘れていたのでした。

彼女は短大を卒業して、OLをしていました。

つい最近まで、付き合っていた彼氏ともケンカ別れして、その上、先週の日曜日に一番の親友のY子さんの結婚式に出席して、ちょっと孤独感に
浸っていたときに、この手紙です。

急になつかしくなった彼女は、勇気を出して彼の家に電話をしました。

運良く彼は出ました、
「手紙ありがとう」
「いや、申し訳ない。すっかり忘れてしまって」
「元気? Y子が結婚してね。すごくきれいだったよ」
「あ、そう」

こんな会話が交わされて、二人は会うことになりました。

「あのドムドム、まだあるんでしょう」

ドムドムバーガーのことでまた盛り上がってしました。

それからです。二人が交際することになったのは。

分からないものですね。人生は。

寂しいときは、どこかに忘れ物がないか探してみることですね

どこかに忘れ物ないですか?

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