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【短編】クラス替え
「お弁当食べない?」と声をかけられた。
高校2年の1学期が始まって、4日目の昼休みのことである。
相手はいつもの、とは顔揃えが異なる女子集団だった。
「朱里さんだよね」と名前を確認されたので、「うん」と大きく頷き、笑顔を取り繕う。
「よかったら一緒に、どうかな?」
用意された空席を軽く叩いて、真ん中の女子が誘ってくる。
パズルのピースを埋めるように、私はその席に腰をかけた。
案外すぐだったな、と感じる。
クラスが変わって1年までの友達はいなくなり、新しい友達モドキが生まれる。きっと明日も誘われて、私は少々息の詰まるような笑みを浮かべながら、パズルのピースを埋めることになるのだろう。去年の焼き直しみたいだと、小さくため息をついて実感する。
小学校を卒業して、中学校の友達ができて、その中学校の友達も、高校では会わなくなって。
こう振り返ってみると、私は人間関係を持ち越さない。
関係、という言葉を少しばかり希薄に捉えすぎているような気がする。もしかして、私は薄情なやつなのだろうか。
そうなのかもしれない。
けど、私はこう考える。
どこまでも共に流れていくような強い関係は滅多にない。
運命という川の流れに身を委ね、長く浸れば、絆もふやけてちぎれていく。