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短編小説「緩衝バッファ」(SF/ヒューマンドラマ/ミステリ/謎解き)

今日は、ある小説を紹介したいと思います。

■小説『緩衝バッファ』


(((物語の紹介)))
上田未来と彼の家族の物語は、一見普通の日常から始まる。しかし、50歳という節目に訪れた奇妙な出来事が、未来の人生を大きく揺さぶることに――。
謎の空間「緩衝バッファ」、そして未来への希望と再生を描いたこの作品は、家族の絆や人間の存在意義を問いかけます。田中アキラとの出会い、そして未来の再生の旅が描かれる本作は、SFとヒューマンドラマが見事に融合した一冊です。読者に深い感動と考えさせる要素を提供するこの物語を、ぜひご一読ください。

(((こんな方々におすすめです)))
この小説は、異なるジャンルの要素がバランスよく組み合わさっているので、幅広い読者に受け入れられると思いますが、特にお勧めできるのは以下のような人たちですかね。。。

  1. SFファン: 人工知能やアンドロイド技術が登場する未来的な設定が好きな人にとって、興味深いテーマが満載です。

  2. ヒューマンドラマ好き: 家族の絆や個人の成長を描いた物語が好きな人には、感動的なエピソードが心に響くでしょう。

  3. ミステリーや謎解きが好きな人: 「緩衝バッファ」という謎の空間や、そこでの体験が物語の鍵となるため、好奇心を刺激する要素があります。

  4. 心温まるストーリーが好きな人: 感動的な再生や希望の物語が好きな人にとって、心に残る作品となるでしょう。

■本文紹介

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 弟が五十歳になったらしい。最近は気分が優れず、調子が良くないとのことだ。趣味のサッカーが出来なくなりそうだと嘆いている。膝の痛みで通院中なのだが「もうサッカーは出来ません。引退した方が良いでしょう」と医者に言われたって。そういう話を聞いて、僕がちょうど弟の歳の時にも体の調子が悪かった事を思い出した。
 だけど、なぜこの年齢を覚えているかというと、父の事をとても心配になった時期だったから。五十とは、年齢的な岐路と言える歳だと自覚した覚えがあるからだ。なんにせよ、五十歳くらいになるといろいろと起こる。弟もそんな歳なのだな。
 小さな時から僕との歳の差は変わらず三歳のまま。小学校六年生と三年生、二十三歳と二十歳、そして五十三歳と五十歳。いつまでも変わらぬと思っていたが弟ももう五十なのだ。あんまり無理をせずにと声を掛けてあげたい。そんな思いだ。
 僕は、花粉症がその頃はひどくて、随分と長くくしゃみが止まらなかった。その時からはあまり夜遅くまで会社の仕事をしたり、家に持ち帰って頑張ったりはしなくなった。そろそろ歳だし、無理しないことだと決めたのを覚えている。
 そして五十歳の僕は、ある出来事にも遭遇していたのだ。
 
 父が二十七歳のときに僕は生まれた。僕が五十になったから父は七十七歳になっていると思う。
 まだまだ父の存在は偉大だ。
 そう感じていたのだが、最近ちょっと違って見えてきた。
 力強さもなくなって、リタイヤしてからだいぶ経つせいか、人生の最期の事を考えているように見える。
「お父さんたちに万一のことがあったら」と母と一緒に僕に伝えられたことがある。
 立派な漆の箱に万一の時の保険やら何やらの書類一式が入っている。そう言われたのだ。
 ちょっと怖かったから中身を確認したりはしていない。
 二階のどの辺りに置かれているかは知っている。
「そろそろ車の免許も返納しようかと思う。もう乗っていてもな……。反射神経もだいぶ衰えてきたし」ボソリと父は言う。
 そんな父の様子が心配になって、たまには泊まりに行くと母に掛け合った。この提案には歓迎されたのを覚えている。
 父も母ももう随分と早く寝る習慣になっている。
 それはそうだ、もう八十も近い年齢だ。
 実家に着いたその日、いつの間にか僕は寝ていた。いや、寝ていたのかも曖昧だ。実家に向かった記憶は微かだ。もしかしたら向かってもいなかったのか。だとするとどこかで僕は倒れてしまったのか。繋がらぬ記憶が、顔見知りの隣人の名前を思い出せないくらいにモヤモヤした気分にさせていた。

◇◇◇

★この後です。一気に物語が展開(転回?)していきます。
ぜひ、彼のStoryの続きを読んでください。
つづきは、こちらに! 是非どうぞ。よろしくお願いします。

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こんな内容ですが、最後まで目を通してくださった方々、どうもありがとうございます。😊

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