【衆院選2021】アメリカから投票しようとしてみたけれど…【実際の投票の流れ篇】
私は領事館の中には入れなかったのですが、投票した先生から流れを教えてもらいました。ボストン領事館にいると思って、頭の中で実際に投票してみましょう~!
何を持っていけばいいの?
必要なのはこの2つ。
・身分証明書
・在外選挙人証
日本では手ぶらで投票できるよ~となっていますが、ここでは身分証明書と在外選挙認証が必須なようです。
投票のステップ
①身分証明書と在外選挙人証の確認
投票する部屋のすぐ外で「投票ですか?」と聞かれるので、「そうです」と答えて身分証明書と在外選挙認証を見せます。さらにここで、選挙区が前の選挙の時から変更になっていないかの確認があります。
②投票用紙を請求する
次は投票用紙請求のステップです。投票する部屋の隅にある机で、「投票用紙等請求書」を記入します。この際に、茶封筒に自分の選挙区の送り先も書きます(投票所に行って投票するだけでいい日本では、どこの選挙区かまで意識していなかったので、調べないと答えられませんでした…)。
③いざ投票!
次は、投票用紙を発行してもらいに行きます。請求用紙、送付用封筒と在外選挙人証を持って用紙を発行する人のところへ行き、投票用紙を受け取ります。ここで手渡されるのは、小選挙区用、比例代表用それぞれの投票用紙と中封筒、外封筒のセットです。どれに何を記入するかなどは係の人が教えてくれます。
そのセットを持って、日本の投票所にあるのと同じ記入台に行きます。台の下に選挙区ごとの候補者リストのバインダーがあって、名前を間違えないように確認するところまではできます。投票用紙に記入し、中封筒と外封筒に入れ封をします。
その後、その封筒を持って受領係の人のところに行きます。封筒を渡すと、前に記入しておいた送付用の封筒に入れて、送り先の住所などに間違いがないか念入りにチェックしてくれます。その後、送付用封筒ごと金属製の投票箱に入れます。この投票箱はこのまま東京まで職員の方が運ぶのだそう…!
今回の選挙では、ボストン領事館は日曜日が投票の締め切りでした。聞くところによると、翌日の月曜日に職員の方と投票箱は日本へ旅立ち、火曜日には日本に着いて、そこから封筒に入った状態で各地の選挙管理委員会に送られるのだそう。ヒューマンパワー…!ちなみに、ボストンとNYはそんなに離れていない距離なのですが、それぞれの領事館から係の人が飛ぶのだそう。
最後に、「確かにお預かりします。おつかれさまでした」と言われて投票の部屋を退出します。封筒の記入など少しプロセスは増えますが、流れはあまり日本でする投票と変わらないですね。
投票した先生に部屋の見取り図を描いていただきました。
領事館での投票、どんな雰囲気…?
投票した先生にインタビューをしてみました!
ー領事館の雰囲気はどんな感じですか?
みなさんとても優しくて親切です。ボストンの領事館は大きなビルの中なのですが、ビルの一階ロビーに係の方(ボランティア?)がいて、「投票ですか」と声をかけてくれてエレベーターまで案内してくれます。初めてだと迷う心配があるのですが、建物にさえたどり着ければ大丈夫にしてくれています。
ー郵便投票もありますよね?
時間との闘いです。2週間とかの間に請求用紙を印刷して記入して在外選挙人証と共に日本の選挙管理委員会へ郵送し、日本の選挙管理委員会から在外選挙認証と投票用紙を郵送で受け取り、記入して日本の選挙管理員会へ送り返す、という3つの郵送プロセスを2週間とかの間に済まさなければいけないので、エクスプレス便必須でけっこう費用もかかります。週末の土曜日一日を使って領事館に行けるなら、少々の交通費は高くない気がします。
確かに今回、海外にいる在外公館に行けない人たちをツイッターで見ていましたが、いくつか「間に合わなかった…!」というつぶやきを目にしました。誰にでも平等にある一票、本当はこんなこと起こるべきではないはずなのに、あまり社会的問題として議論されていない気がします。
ー今回の投票を経て、何か思うところはありますか?
こんなにがんばって投票しても一票、しかも職員さんが運んでくれているというのに、なかなか日本の政治は変わりませんね。でも、投票しないで「しても変わらない」と言うよりは悔いが残らない、と言い聞かせて、アメリカで投票できない悔しさを在外投票へのバネにしてます。個人的には、国民審査も対象内にしてほしいです(あまり手間も費用も変わらない気がする)。
メインでも選挙がありました
衆院選の次の週、メインでも選挙がありました。ベイツ大学内で選挙のための登録をしていたり、投票日当日はいたるところに「Go Vote」と書かれていたり、ダウンタウンにある投票所までのバスについてのアナウンスがあったりと、日本よりもよりカジュアルに大学の日々の一つのイベントとして溶け込んでいる印象を受けました。
ローカルエレクションがあるよ!というポスター
コモンズ(食堂)はみんなが来る場所なので
ここに書いていあるのは大正解。
投票について質問があれば、奥の机でたずねることができます
アメリカから衆院選を見てみて…
今回、私は残念ながら投票することができませんでしたが、アメリカにいたからこそ日本の選挙を「制度」という観点から知ることができました。
やはり個人的には、国民審査が出来ないことと、在外公館に行けない地域にいる人たちの一票が当たり前のように蔑ろにされているということに憤りを覚えます。この問題は突き詰めれば、日本のどの地域にいても、お年寄りや障害があるひとでも確実に投票で意思表示ができることを保証するインクルーシブな選挙制度にも繋がっていくと思います。電子投票が実現するにはまだまだハードルは高そうですが、だからと言って考える必要ないわけではなく、もっと社会的に議論が進んでいくといいなぁと思います。
そして、私は今回本当に投票できないということが悔しかったので、今後は棄権することなく、私の一票を大事にしようと思いました。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました!
Thanksgiving Breakが始まったので、これからワシントンに飛びます!