【学位】放送大学エキスパート その3 データサイエンス・リテラシー
1 データサイエンス・リテラシー
1.1.データサイエンス・リテラシープラン
公務員のためのリベラル・アーツを提示し、これを学ぶ上で励みになるのは、放送大学エキスパートだと紹介した。そのうちで1つ、仕事に役立つプランを紹介しよう。「データサイエンス・リテラシー」である。
このプランの目的は「数理・データサイエンス・AIが、現在の社会変化に深く寄与し、自らの生活とも密接に結びついていることを理解することで、データサイエンスを仕事等の場で使いこなすための基礎的素養を身につける」というものである。
1.2.履修する科目と費用
用意されている科目はこちらを参照してほしい。
この中から8単位を取得すればいいので、費用的には12,000円×4である。他のプランに較べればかなり安い。その上、ここで掲げられている科目は他のプランにも転用可能なので、なかなかコスパがいい。何より、これらの科目こそ、公務員の仕事では不可欠な教養である。
2 統計学のススメ
2.1.「アンケートの調査対象は何人にしたらいいか?」
マジでお勧めしたいのは統計学だ。「身近な統計」「社会統計入門」「社会調査の基礎」のいずれかは、履修して損はない。
公務員なら、行政計画立案やアンケートの担当になる場合は少なくない。その際、
調査対象は何人にすればいいのか?
無作為抽出とはどうやるのか?
そもそも抽出対象台帳は住民基本台帳でいいのか、選挙人名簿その他の名簿にするべきなのか?どう判断するのか。
標本の平均から母集団の平均が推計できるか?
性差や年齢とアンケート結果でクロス集計してみたが、結果をどう分析するか。カイ2乗検定とは何か?
など悩むのではないか。
2.2.独学で作った資料の限界
近時「EBPM(証拠に基づく政策決定)」が着目されている。政策立案には客観的根拠が不可欠であり、統計的な知識は必須となっている。が、外国語学科、法学科、文学科みたいな系統出身だと統計学には縁がない。
僕は「行政計画を作れ」と言われて作ったが、統計についてネットで調べて「N・n」「Σ」「μ」を見て蕁麻疹が出た。アスキーアート以外で使ったことがない文字だ。
しかしエクセルは優秀なので、数字を捏ねくり回せば、それっぽい表やグラフは作れる。が、それが統計的に意味のあるのかどうか分からない。
行政計画を頑張って作ったとして、本人も、
上司も理事者も統計の専門家ではない場合(データサイエンスリテラシーがない場合)は、「それっぽい資料」に基づいて「それっぽい計画」はできるが、実効性は誰もわからない。行政資源の無駄遣いだ。
2.3.コンサル丸投げでなく…
ならばコンサル丸投げにすればいいのか?そうではない。理由は複数ある。
標本調査で必要となる標本の計算ができなければ、アンケート郵送費用の予算すら組めない。
行政学的には、行政計画とは将来にわたる行政資源の利用の調整だ。それをコンサル任せにするにはどうか。2040年問題に向けてパイを奪い合いに突入する自治体として、戦闘力が不安だ。
効果的な政策を考えるには根拠が必要だ公務員は統計こそ学ぶべきだ。そのための1つのルートとして、「放送大学エキスパート(データサイエンス・リテラシー」を勧めたい。教科書や授業の質については、胸を張ってオススメできる。
3 オマケ
文部科学省は、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」として、デジタル時代の「読み・書き・そろばん」である数理・データサイエンス・AIに関する大学等の正規の課程の教育プログラムのうち、一定の要件を満たした優れた教育プログラムを認定している。放送大学のこのプランは、文部科学大臣の認証(リテラシーレベル)として認定されている。
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