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【医師論文解説】生まれるのは男の子か女の子か、その確率を変える遺伝子を世界初の特定【OA】
背景:
人間を含む多くの生物で、出生時の性比(男性の割合)は約0.5に近い
この現象は「フィッシャーの法則」として知られる進化生物学の重要原理で説明されてきた
しかし、人類において性比に影響を与える遺伝的変異の存在は、長年の研究にもかかわらず証明されていなかった
これまでの研究では、性比の遺伝率が事実上ゼロという結果が出ており、フィッシャーの法則の適用可能性に疑問が投げかけられていた
方法:
UKバイオバンクの約45万人の遺伝子データを分析
参加者の同胞(兄弟姉妹)の性別情報を用いて親の子孫性比を推定
ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施
遺伝子ベースの解析も並行して実施
コンピュータシミュレーションによる進化モデルの検証
結果:
性比に影響を与える遺伝子変異を初めて特定
染色体10番上のrs144724107という一塩基多型(SNP)
この変異を持つ人の子供の性比が約19%低下(女児が生まれやすくなる)
出現頻度は欧州系集団で0.25%と稀少
遺伝子ベース解析で2つの関連遺伝子を同定
RLF遺伝子:機能は不明だが転写活性化因子として働く
KIF20B遺伝子:精子形成や卵子の減数分裂に関与している可能性
性比の遺伝率について新知見
従来の研究では遺伝率がゼロとされていた
測定誤差の影響を考慮すると、実際の遺伝率は人の身長並みに高い可能性
シミュレーション結果
現在観察される遺伝的構造はフィッシャーの法則と矛盾しない
複数の性比影響遺伝子が人類集団内に存在する可能性を示唆
議論:
発見された遺伝子変異の機能的役割はまだ不明
より大規模なサンプルサイズでの検証が必要
農業への応用可能性(家畜の性比制御など)が示唆される
結論:
人類の出生時性比には遺伝的影響が存在することが初めて実証
フィッシャーの法則は人類にも適用可能である可能性が高い
測定誤差の重要性を考慮した新しい研究アプローチの有効性を示した
※注意: この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。具体的な治療や生活習慣の改善については、医師に相談してください。
参考文献
Song S, Zhang J. In search of the genetic variants of human sex ratio at birth: was Fisher wrong about sex ratio evolution?. Proc Biol Sci. 2024;291(2033):20241876. doi:10.1098/rspb.2024.1876
この記事は後日、Med J SalonというYouTubeとVRCのイベントで取り上げられ、修正されます。
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