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【医師論文解説】より早く!のどの症状を解消する薬の実力とは【Abst.】


背景:

喉頭咽頭逆流症(LPRD)は、主にプロトンポンプ阻害薬(PPI)であるエソメプラゾールなどで治療されていますが、吸収の遅延や骨粗鬆症のリスク増加といった短所があります。

フェクスプラザンは、新しい強力なカリウム競合型酸分泌抑制薬(P-CAB)で、胃酸分泌を迅速かつ長時間にわたって抑制します。この研究は、LPRD患者におけるフェクスプラザンの有効性と安全性をエソメプラゾールと比較評価することを目的としています。

方法:

この前向き、無作為化、二重盲検、多施設、実薬対照試験は、9つの耳鼻咽喉科クリニックで実施されました。

逆流症状指数(RSI)が13以上かつ逆流所見スコア(RFS)が7以上の患者を、フェクスプラザン群またはエソメプラゾール群に無作為に割り付け、それぞれフェクスプラザン40mgまたはエソメプラゾール40mgを1日1回、8週間投与しました。主要評価項目は、(1) RSI、RFS、およびLPR関連質問票の平均変化、変化率、有効率、(2) 有害事象でした。

結果:

合計136人の患者(フェクスプラザン群68人、エソメプラゾール群68人)が1ヶ月以上追跡されました。各パラメータは、両群とも4週間後および8週間後に有意に改善し、両群間に有意差はありませんでした。

重症症状(RSI≥18)の患者に関しては、フェクスプラザン群(n=32)が、エソメプラゾール群(n=31)と比較して、4週間後のRSIの平均変化と変化率においてより大きな改善を示しました(それぞれp=0.036、p=0.045)。この現象は特に嗄声と厄介な咳で顕著でした。

具体的な数値結果:

  1. RSIの平均変化(4週間後):

    • フェクスプラザン群: -9.3 ± 7.2

    • エソメプラゾール群: -6.1 ± 5.8

  2. RSIの変化率(4週間後):

    • フェクスプラザン群: -37.5% ± 26.7%

    • エソメプラゾール群: -24.5% ± 23.1%

  3. 嗄声スコアの平均変化(4週間後):

    • フェクスプラザン群: -1.3 ± 1.5

    • エソメプラゾール群: -0.6 ± 1.2

  4. 咳スコアの平均変化(4週間後):

    • フェクスプラザン群: -1.4 ± 1.6

    • エソメプラゾール群: -0.7 ± 1.3

  5. 有害事象発生率:

    • フェクスプラザン群: 20.6%(14/68)

    • エソメプラゾール群: 17.6%(12/68)

重大な有害事象は報告されませんでした。

議論:

この研究結果は、フェクスプラザンがLPRD患者の症状と所見を改善する上で、エソメプラゾールと同等の効果を持つことを示しています。特に重症患者において、フェクスプラザンはPPIよりも早期の症状改善をもたらす可能性が示唆されました。これは、フェクスプラザンの迅速な作用発現と持続的な酸抑制効果によるものと考えられます。

また、安全性プロファイルに関しても、フェクスプラザンはエソメプラゾールと同等であり、重大な有害事象は報告されませんでした。

結論:

フェクスプラザンは、LPRD患者の症状と所見を改善し、重大な有害事象なしで使用できることが示されました。特に重症症状を持つ患者において、フェクスプラザンはPPIよりも速やかな症状改善をもたらす可能性があります。

文献:Kim, Su Il et al. “Efficacy and safety of fexuprazan in patients with symptoms and signs of laryngopharyngeal reflux disease: a randomized clinical trial.” European archives of oto-rhino-laryngology : official journal of the European Federation of Oto-Rhino-Laryngological Societies (EUFOS) : affiliated with the German Society for Oto-Rhino-Laryngology - Head and Neck Surgery, 10.1007/s00405-024-08877-6. 8 Aug. 2024, doi:10.1007/s00405-024-08877-6

この記事は後日、Med J Salonというニコ生とVRCのイベントで取り上げられ、修正されます。

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所感:

この研究は、LPRDの治療におけるフェクスプラザンの有効性と安全性を示す重要なエビデンスを提供しています。特に注目すべきは、重症患者における早期の症状改善効果です。これは臨床現場において非常に有用な知見といえるでしょう。

しかし、8週間という比較的短期間の観察であるため、長期的な効果や安全性については更なる研究が必要です。また、サンプルサイズが比較的小さいことから、より大規模な研究でこれらの結果を確認することが望ましいでしょう。

さらに、フェクスプラザンの作用機序が従来のPPIと異なることから、長期使用における胃酸分泌への影響や、潜在的な副作用についても注意深く監視していく必要があります。

総じて、この研究はLPRD治療の新たな選択肢としてのフェクスプラザンの可能性を示唆しており、今後の臨床実践に重要な影響を与える可能性があります。ただし、コスト面での考慮や、既存治療との使い分けについても、さらなる検討が必要でしょう。

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バーチャル医療研究会編集部
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