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【医師論文解説】刺青の中に隠されたがん!? タトゥーに潜む危険性が判明!?【OA】


はじめに

刺青の人気が高まる一方で、刺青と関連した皮膚がんの事例も増加傾向にあります。

本論文は、この問題について初の大規模な体系的レビューを行ったものです。

方法

PubMed、Embase、Scopus のデータベースを用いて、刺青部位に発生した皮膚がんの文献を網羅的に検索し、2023年2月23日までのデータを収集しました。

結果

160件の皮膚がんの事例が報告されており、年々増加傾向にあることが明らかになりました。発生がんの多くは赤色の刺青部位に生じており、扁平上皮がんやケラトアカントーマが多数を占めていました。メラノーマの場合、刺青部位のがんは非刺青部位に比べ、若年発症、男性優位、Breslow深度の増大などの特徴がみられました。

議論

刺青は皮膚への物理的ダメージや紫外線吸収の変化を引き起こすため、がん発生のリスク要因となる可能性が示唆されます。特に赤色顔料は発がん性物質を含むことが指摘されており、ケラトアカントーマやSCCの好発部位ともなっています。一方で、刺青部のがんは見落とされやすく、早期発見が困難な面もあります。

結論

本研究により、刺青とがんの関係性が明らかになりつつあります。刺青を施す前の皮膚精密検査の重要性、刺青部の定期的な観察、レーザー除去時の慎重な対応などが求められます。医療従事者と刺青業界が協力して、刺青のリスクと安全性について啓発活動を行うことが重要です。

文献 Lebhar, Jamie et al. “Skin cancers arising within tattoos: A systematic review.” JAAD international vol. 16 133-143. 20 Apr. 2024, doi:10.1016/j.jdin.2024.03.015

この記事は後日、Med J Salonというニコ生とVRCのイベントで取り上げられ、修正されます。

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用語解説

Breslow深度

腫瘍の厚さを表す指標です。通常より深い値は予後不良を示唆します。本研究では、赤色刺青部のメラノーマでBreslowが最も深い傾向がみられました。

ケラトアカントーマ

皮膚の円形隆起性良性腫瘍です。肉眼的には悪性腫瘍と判断しにくいため、診断と治療が遅れる危険性があります。赤色刺青部位でこの腫瘍が多発する傾向が確認されました。

所感

このように、美しさの裏に隠れた健康リスクを明らかにした点で、本研究の意義は大きいと考えます。単に皮膚がんの増加傾向を示すだけではなく、がんの特徴や発生機序にまで踏み込んだ分析は高く評価できます。今後さらなる研究の進展により、刺青とがんの因果関係がより解明されることを期待したいです。

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