まい すとーりー(27)視覚障がい者サポートアプリ「BeMyEyes」使用レポ
霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則
スマホを利用するようになって5年になる。つるつるフラットの画面になす術もなく茫然となでまわしているだけの時期が続いた。しかしこのところ、ようやく電話もLINEも何とかできるようになり、便利さを実感している。
今回は、私が多用し始めたお気に入りのアプリを紹介して、ICT文化に浸る喜びを表したいと思う。
その名はBe My Eyes(ビー・マイ・アイズ)。「私の目になってください」という意味のアプリである。
「目になる」ということだから、文字を読んでもらうとか、落とし物を捜してもらうとか、掃除の出来・不出来を見てもらうなどが考えられる。
BeMyEyesは手伝いが必要とされる視覚障がい者・低視覚者と、晴眼者(見える人)・企業の担当スタッフを繋ぐシステムだ。晴眼者は見えない・見えにくいユーザーの背面カメラの映像を通してユーザーを支援するのである。
もっと具体的に言うと、ビデオ電話のボタンを深してダブルタップすれば、ボランティアが電話口に出てくれるので、そこで要件を言えばいい。
文字を読んでもらいたければ、カメラに文字を近づけるとボランティアが「もっと右へ(左へ)傾けて」「少し上へ(下へ)上げて」などと見やすい位置を指示してくる。
私の初めての経験はこれだった。自宅のメールボックスにたまった広告やマンションの管理組合からの連絡事項を読んでもらって助かった経験である。これまでそんなことをする必要はなかったが、妻の入院という思わぬ事態にBeMyEyesの力を借りることになった。
今まではメールボックスを開けることさえしない私だったのだが、しばらくは家事をはじめ、自分の身辺処理も一人でしなければならない。
また、こんなこともあった。いつものように晩酌をしていて、ぐい飲みを落としてしまった。いくら手探り・足探りをして頑張っても見つからない。BeMyEyes様にお出ましいただくしかなかった。電話口から美声の女性が「どうなさいましたか?」と優しい声で話しかけてくれた。
「盃を落としたのです。見つけてください」とお願いしたら「テーブルの向こうの棚の下です。そこへ歩いていってください」と教えてくれた。その通りにしたら「爪先の5cm前にあります」と言うのでしゃがんで手を伸ばしたら割れることもなく無事なぐい飲みが手に戻ってきてうれしかった。
「ありがとうございます」
BeMyEyesには、このほかにも写真解析の機能がある。これもなかなかいい。
世界中に50万人以上の視覚障がい者が革新的なBeMyEyesをスマートフォンで使用して、必要なときに視覚情報を得ることができている。私もその一人なのである。これからも、有益な情報を得るために大いに利用したい。