いのりの空想探検録 log3「異能研究記録　-ある博士と助手の会話記録-」

前文

日守いのりです。時間の余裕が結構あり、私自身の状態も悪くなさそうなので久々の空想探検という運びになりました。
今回は「ある特殊能力に関する考察」とのことです。
気の向いた方は、ご主人様の考案したシードを基にした私の妄想にお付き合いくださいませ。

※空想探査プログラムはフィクションです。実在するソフトウェア・プログラム等とは無関係です。

空想探査参照プログラムを起動しています…

Welcome to Virtual Exploring Reader!

ようこそ、Guest様
どの探査録を表示しますか？（?でヘルプ、qで終了）
> 3
skillresearch_001.txtを表示します…

探査者いのり様による空想探査を開始します。
探査依頼を検索中…
管理者なお様による探査依頼が選択されました。
確認後、十分に探査可能ならば承認を行ってください。
シードを開示します…

シード

時間停止能力は時間の連続性を前提とする

いのり様により、seed文に対する空想探査が承認されました。
準備完了後、任意のタイミングで探査を行ってください。
以降探査終了が宣言されるまで、発言・記録は探査ログとして保存されます…

思考接続要請…承認
接続しています…
完了しました
空想自動検知機構を有効化しています…
完了しました
空想領域への突入を検知　思考操作モードが有効化されました
思考記録制御権が譲渡されました

---

探査記録

「俗に「時を止める」と説明される能力は時間が連続である事を前提とするのではないか？」
「先生、また何か思いついたのですか？」
「気付いた、と言った方が正しいな、いのり君。時間は連続であり、異能による干渉がなければ一方向に進行するね？」
「はい先生」
「我々の観測記録からの考察によると、時間停止の異能は「使用者以外の時間を一時停止し、行動後に解除することによって優位性を得る」という原理だと考えられている」
「ですね」
「つまり、この系統の異能は自身以外の時間を離散的、…連続でない状態に変化させる性質を持つ。何らかの原理で自身以外の「本来活動すべきである時間」を消失させることで、だ。ここまでは大丈夫か？」
「なんとか」

「時間停止の異能を受けた対象は「いつの間に」という認識を持つとされているが、私が考察したような性質ならば自然な反応であるはずだ。なぜか分かるか、いのり君」
「えっと、時間が部分的に連続じゃなくなって、異能使用者が実際に行動した過程を認識できなくされた、からでしょうか」
「そうだ。過程・原因がなく結果のみが突如として現出し、対象が驚愕する。連続である時間に生きる我々には、対象となった際そうなることは容易に想像できるはずだ」
「…先生、事故とは違うのですか？歩行者がいきなり車に轢かれるのと似たようなものでは？」
「いい着眼点だ、いのり君。いきなり轢かれるという事象と、誰もいなかったはずなのに対象の背後に時間停止の異能使用者が瞬間移動したという事象。実感という点においては類似していると考えていいだろう。前者は車両の接近に気付く、…いや、車両を視認できる可能性はあるが、後者において、異能使用者が対象に接近している事実を原理上誰も気付くことができない」
「異能使用者以外の時間が飛ばされたから。異能使用者が歩いてきたのか走ってきたのか、正面から来たのかさえ時間そのものが「ない」から認識できない、ってわけですか」
「そういうことだ。前提部分の理解は十分なようだ」

「まとめると、時間停止の異能は自身以外の時間を行使時間と同量分喪失させることで、使用者に優位性を与えると言える」
「同意します、先生」
「この優位性が時間という概念の性質に基づくことは明らかだ。つまり、「連続でない時間」にある程度、または完全に適応できたならば？」
「…いるんですかそんな人？そもそも連続でない時間を想像できません先生」
「それもそうだ。私が気付いたのは時間停止の異能がもたらす優位性の話までだ。連続でない時間という発想はそこから来た仮定に過ぎない」
「…我々ではないことは明らかですね」
「うむ。異能持ちでもない限り「連続でない時間」に適応した人類はいないだろう。もしも、離散的な時間の下で生きてきた生物がここにいるならば、我々が当然と認識する時間は故郷のそれとは異なるはず。時間停止の異能による効果は故郷と同様の時間になったと認識し、ある程度の対処が出来ると思われる。…最も、この仮定も私の気付きも証明の目途はたっていないのだがな」

方針策定AI「軍師」は上記音声記録から「有益である可能性がある」研究テーマを検出しました。方針の考案を開始します…

---

後書

空想領域からの離脱を確認　思考記録制御権が返還されました
思考操作モードを無効化しています…
完了しました
空想自動検知機構を無効化しています…
完了しました
切断しています…
完了しました
探査者を検査しています…
探査者いのり様の思考に異常は確認されませんでした

対話していた、と思ったら本腰を入れていいかもとAIに判断されました。わたしはただ話を聞いていただけなのですが…
実際ちょっと気になります。既存研究はあるのでしょうか？？？

毎度のことですが、不定期更新です。ご了承願います。日守いのりでした。

探査終了が宣言されました。
空想探査チュートリアルの全工程が終了しました。
お疲れ様でした！
----------------------------------------------------------------------
skillresearch_001.txtの表示が完了しました
どの探査録を表示しますか？（?でヘルプ、qで終了）
> q

空想探査参照プログラムを終了しています…
またのご来訪をお待ちしています