Linuxでもバ美肉したい!第1回「Linuxで美少女の体を得る方法、限定的すぎません? -受肉チャート構築編-」
なおです。今回は美少女の肉体をLinuxで得る方法を調べ、考えた結果を述べたいと思います。
※本記事の前にLinuxでもバ美肉したい!第0回を読んでおくことを推奨します。
※本記事は2023年2月時点の情報で構成されています。
※動画版もあります。↓から
※2020/11/23追記:「Demo Code for "Talking Head Animation from a Single Image"」について記述しました。
※2020/12/19追記: Unityチャート内に、OpenCV及びDlib本体を用いる 「OpenCV + Dlib チャート」について記述しました。
※2021/03/16追記:Live2D Cubism Editorについて追記し、肉体生成ツール内にGIMPを素体生成ツールとして追加しました。
※2021/04/14追記:Live2D Cubism Editorの文字化けに対する対処方法、及びGIMPで作成したPSDをCubism Editorで読み込む場合に発生する問題を記述しました。それに伴い、見出し・まとめを修正しました。cEsD8aMrさんありがとうございます!
※2021/04/24追記:肉体を動かすツールにVTube Studioを追加しました。(情報提供:cEsD8aMr さん)
※2021/07/15追記:肉体を動かすツールにKalidoface (3D)を追加しました。それに伴い、見出し・まとめを少し修正しました。
※2021/10/03追記:肉体を動かすツールにnizima LIVEを追加しました。注意書きを追加し、一部箇所のURLを埋め込みに修正しました。
※2022/05/06追記:まとめを修正し、結論を変更しました。一部箇所を現状に合致する内容に修正しました。
※2022/06/08追記:Demo Code for "Talking Head Anime from a Single Image 2: More Expressive" について記述しました。細部を修正しました。
※2022/07/14追記:このページを元に作成した動画をまとめた動画を埋め込みました。
※2022/07/21追記:Demo Code for "Talking Head(?) Anime from a Single Image 3: Now the Body Too"について記述しました。
※2022/08/31追記:iOS アプリ Virtual Face を用いた Unity チャートについて記述しました。
※2023/02/04追記:Inochi2D (Inochi Creator, Inochi Session)について追記しました。これに伴い、種別において2D肉体の形式を補足しました。冒頭に最終更新の大まかな時期を記述しました。全体を再確認し、細部を修正しました。
※2023/11/16追記:入手難易度「不可」を追加し、Vカツの入手難易度を変更しました。
これより受肉チャートの構築を開始する!
唐突ではあるが、私は美少女の肉体を得るチャートと声帯を得るチャートを同時に説明できるほど器用ではないし、受肉及びボイスチェンジに精通しているわけではない。そこで、Linuxでバ美肉する方法を以下のように分割して構築することにした。(InkScapeで雑に作った図)
今回はLinuxで美少女の肉体を得る方法 -受肉チャート- に関する調査結果を報告しようと思う。
なお、この記事ではLinuxに対応していると明記されていないソフトウェアについても解説対象とするが、公式対応していないOSで使用したことによって何かしらの不利益を被ったとしても、筆者は責任を負わない。予めご了承いただきたい。
肉体生成に使えるツール -Blender一択!?WINE使うならバ美肉には困らない-
まずは2D・3D問わず肉体を用意できなければ始まらない。Linuxで美少女の体を作る際に使用できるツールを紹介していこう。
互換性については
・優:公式対応。スペック不足を除き動作に支障をきたすことはないだろう。
・良:WINE(またはそれに相応するツール)があれば使える。UIにも影響なく、対応OSと同様の使用感で利用できると思われる。
・可:WINE(またはそれに相応するツール)があれば使える。が、文字化けなどによる使用感の悪化があるかも。
の3段階評価、入手難易度については
・低:各OS(Linuxと分類されるOSは結構たくさんある)の公式ストアアプリから入手可能。入手に手こずることはないだろう。当該ツール自体がメジャーである場合が多いため、何らかの理由でストアから入手できない場合でも、酷くても中と同程度で済むと思われる。
・中:SteamやWeb上から実行可能な形式で入手可能。さほど困らないはず。
・高:ソースコード形式のみ。実行可能な形式にするためにビルドする必要があり、敷居が高い。
・不可:何らかの理由により入手不可能になった。サービス終了などを含む。
の4段階評価とする。知識ハードルには私の主観が含まれていることをご了承いただきたい。
Blender
種別:3D肉体 互換性:優 入手難易度:低 知識ハードル:高(3Dモデリング)
ほとんどのLinux(に属するOS)のストアアプリにおいて、検索すれば出てくるレベルの3DCGソフトウェア。高いレベルの3Dモデリング技術があるなら、こだわりと性癖を詰め込んだ3D肉体を準備できるだろう。
VRoid Studio
種別:3D肉体 互換性:良(Steam Play + Proton) 入手難易度:中 知識ハードル:中(絵描き)
「絵を描くように、3Dキャラクターが作れる」あのソフトウェア。Windows及びMacのみ公式対応している。WINE経由で起動した場合に、(私の環境では)文字化けは起こらなかった。
Steamで入手出来るようになった事で、導入・使用の敷居が若干下がった。
GIMP
種別:2D素体 互換性:優 入手難易度:低 知識ハードル:中(絵描き)
後述するLive2D Cubism Editorを用いる場合、これを使ってCubism Editorで2D受肉する際に必要となる「レイヤー分けされたPSD形式のモデルのイラスト」を作成できる。なお、GIMPは当然ながらPhotoshopではないため、Live2Dが公式配布しているPhotoshop用スクリプトは使用できない。
更に、Live2D Cubism Editorにおいて、PSDファイルのレイヤー名は文字コードShift_JISで読み込まれる。そのため、UTF-8を用いている(と思われる)GIMPでPSDを作成すると、Cubism Editorでの読み込み時に日本語で書かれたレイヤー名が正常に表示されない。なお、レイヤー名に英語を使用すればこの問題を回避できる。
Live2D Cubism Editor
種別:2D肉体(Live2D) 互換性:可(要WINE & フォントファイル設置) 入手難易度:中 知識ハードル:高(絵描き、Live2D)
2D受肉するならまず真っ先に名が挙がるであろうソフトウェア。WINEを使用すれば起動させることができるが、日本語版を用いる場合は前回述べたように文字化けが発生する。他のOSで使ったことがあるならなんとかなるだろうが、初めて使う場合はどの□の列がどの機能・項目なのか理解するのに苦労すると思われる。
この文字化けは特定のフォルダに日本語フォントファイルを配置する事で解消できる。(ソース:下記ツイート 自PCで検証済み)
配置場所は
(ホームフォルダ)/.wine/drive_c/Program Files/Live2D Cubism 4.0/app/jre/lib/fonts/fallback
である。.wineは隠しフォルダである点に留意し、fallbackフォルダがなければ作成する事。再起動などで反映される。
Live2Dのサイトの言語をEnglishに変更し、英語版を入手することでも解決できた。が、前述したフォルダに任意の(使用したい)フォントを置かない場合、Windows系フォント(游ゴシック、MS明朝、MSゴシックで確認)をインストールしていないと起動後すぐに終了してしまうため、注意が必要である。
なおFREE版ではモデルに使用できるテクスチャ数や元絵のレイヤー数、モデルのパラメータ数などに制限がかかるため、大きなモデルを必要とする場合、非対応OSのためにPRO版ライセンスを買う(所持ライセンスの余っているインストール回数を消費する)か他者に依頼するか選択を迫られることになる。
Inochi Creator
種別:2D肉体(Inochi2D) 互換性:優 入手難易度:中 知識ハードル:高(絵描き、Inochi2D)
Linux に公式対応する数少ない 2D 肉体(Inochi2D)のモデリングが行えるオープンソースソフトウェア。初回起動時に UI の言語を日本語に変更出来る。
Live2D 形式の肉体を作れるソフトではない点、Inochi2D 形式に対応するトラッキングソフトウェアが本記事の時点(2023/02)では少ない点と、2023年2月現在において開発中の段階である点に注意する必要がある。
逆に言うならば、上記の点が気にならないか開発が進み解消された場合、 Linux での 2D バ美肉において互換性の心配がない有力な選択肢となるだろう。
他者に依頼する
種別:2Dまたは3D肉体 互換性:優 必要金額:数万円〜
もはやツールではないが選択肢の一つとして挙げられるのが、技術を持つ他者に依頼することである。自身の作業量を削減できるこの選択肢は、互換性の面で圧倒的に不遇なLinuxでの受肉においても視野にいれるべきだろう。特に2D受肉においてはCubism Editorの互換性問題を無視できる強みがある。5桁以上の出費が実質的な前提となり、モデルの形式・質によっては6桁超えを覚悟する必要があるだろう。
なお、Live2Dの肉体を依頼する場合、Linuxで受肉するなら組み込み用(≒Unityで読み込める形式)の形式のモデルファイルを頼むことを推奨する。
Vカツ(サービス終了済み)
種別:3D肉体 互換性:良(Steam Play + Proton) 入手難易度:不可 知識ハードル:低~超高(WINEやSteam Playを経由してUSB-Webカメラを使用する方法)WindowsのみサポートするSteamのソフトウェア。Linuxから使う場合、Steamの設定からSteam Playを有効化した上で「他のすべてのタイトルでSteam Playを有効化」し使用ツールにProtonを指定する必要がある。文字化けがないため肉体を作るだけなら問題なくできる。カメラルーム機能さえ使えれば問題なく動画作成できただろう。私はできなかった。課金すればバーチャルキャスト・ニコニ立体へVRMを出力できる(未確認)。2022年6月20日にサービスを終了した。
肉体を動かすために使えるツール -簡単受肉ならKalidoface-
せっかく肉体を用意しても自分の意志で動かせなければ自由度・没入感は制限される。Windowsでは多くの選択肢があるが、Linuxで使えるソフトウェアはあるのだろうか。先に言おう。ある。
VRChat
種別:3D肉体 互換性:良(Steam Play + Proton) 入手難易度:中 知識ハードル:中?(Unity、VRChat SDK)
VRChatのStreaming Cameraを使えば受肉した上で活動できるが、VR機器が要求されるため、持ってないなら予算を追加する必要がある。私はVR機器を持ってないのでデスクトップモードで検証し、問題なく起動した。当然Streaming Cameraは使えないが、情報が結構多いのも相まってただ受肉したいだけならあまり問題なさそうだ。
(VR機器持ってる方、最悪仮想OSで構わないんで代わりに検証していただけないでしょうか)
FaceVTuber
種別:3D肉体 互換性:優(ブラウザ依存) 入手難易度:- 知識ハードル:低
URL: https://facevtuber.com
MMD、FBX、VRMのいずれかの3D肉体をブラウザ上で動かせるツール。3D肉体を動かすツールの中では、これか後述するKalidofaceが一番簡単だと思われる。
Kalidoface (3D)
種別:2D肉体(Live2D) or 3D肉体 互換性:優(ブラウザ) 入手難易度:- 知識ハードル:低
URL(2D): https://kalidoface.com/
URL(3D): https://3d.kalidoface.com/
ブラウザとWebカメラがあれば動作するツール。2D版においては組み込み用形式のモデルファイルを圧縮したZIPを読み込むことで任意の2D肉体を動かせる。3D版ではVRM形式に対応し、フルトラッキングも出来る。
簡単な英語が理解でき、モデルをアップロードすることに問題がないのであれば最有力候補にあがってくるだろう。
Demo Code for "Talking Head Anime from a Single Image"
種別:2D肉体(一枚絵、バストアップ) 互換性:優 入手難易度:高 知識ハードル:中(Python、GitHub)
Web上で公開されている論文のために、同論文の著者であるPramook Khungurn氏が作成したデモプログラム。GitHubリポジトリ形式であるため、Pythonで書かれたプログラムを実行できる環境を用意し、必要なライブラリを追加で導入する必要がある(さほど難しくない)。バ美肉目的ならばappフォルダ内のpuppeteer.pyを実行することになる。
一枚絵だけで受肉できるが、読み込めるのは256x256のRGBAのPNG画像、頭部は中央128x128に収める等の制約がある。公式対応していないツールが多い中、全身立ち絵がなくても大丈夫な方にとっては(解像度の小ささに目を瞑れば)十分選択肢に入るだろう。
Demo Code for "Talking Head Anime from a Single Image 2: More Expressive"
種別:2D肉体(一枚絵、バストアップ) 互換性:優 入手難易度:高 知識ハードル:中(Python、GitHub)
前述したシステムのバージョン2の論文が公開されており、同様にデモコードが公開されている。配布形式も前回と同様であるものの、デモプログラムに変更が入っている。Linux バ美肉勢として注意すべきなのが、puppeteerプログラムにI(Pad)OSアプリ「iFacialMocap」(980円)が必須になった点である。
利点・欠点にも大きな変更はなく、一枚絵で受肉出来るが入出力の解像度が小さく、頭部の大部分を中央128x128に収める等形式の制約もあるのが特徴である。
全身立ち絵が不要であり、解像度の小ささを我慢でき、IPadかIPhoneがあり、980円の買い切りアプリを購入しても良いなら選択肢に入るだろう。
Demo Code for "Talking Head(?) Anime from a Single Image 3: Now the Body Too"
種別:2D肉体(一枚絵、胴体まで) 互換性:優 入手難易度:高 知識ハードル:中(Python、GitHub)
ここまでに前述してきたシステムのバージョン3の論文のデモコード。配布形式・バ美肉への応用時の注意事項等は前回と変わらないが、入力画像の制約が大きく変わっている。また、バージョン2のリポジトリのReadmeを読んだなら分かると思うが、前バージョンのデモと同様にNvidiaのハイエンドゲーミングGPUの使用が推奨されている。
大きな変更点として、入力画像のサイズが512x512になり、上半身が動くようになった。体の向き・傾きなどを顔トラッキングの情報を元に変化させることが可能になったのである。
画像サイズが大きくなった事により採用しやすくはなったものの、依然として十分に大きいとは言い難いのが欠点となる。特に顔周りの制約は以前と同様の「入力画像の上半分の中央128x128に頭部の大部分を収める」と定義されており、改善されたとは言い難い。フルHD解像度の横幅が1920pxである点を考慮しても、ガチ恋距離をするには解像度が小さすぎであり、「本格使用には向かない」というのが現時点(2022/07/21)での筆者の判断である。
前バージョンと同様に、「全身立ち絵が不要」であり、ガチ恋距離をはじめとする「モデル自体の解像度の高さが要求される活動・表現手法」を諦める事が出来、IPadかIPhoneがあり、980円の買い切りアプリを購入しても良いなら選択肢に入るだろう。
VTube Studio
種別:2D肉体(Live2D) 互換性:良 入手難易度:中 知識ハードル:低
スマートフォンとPCを接続し、スマホのカメラでフェイストラッキングできるLive2D用のソフトウェア。
海外において最もメジャーである(とされている)このソフトウェアが2021年3月にSteamに来たようだ。ということは、Steam Playで動くかもしれないということである。
そしてそれは真であるというタレコミが届き、検証を行った。
筆者はAndroidを持っていないため、手元のiPhoneを用いて動作確認した。その結果、問題なく起動・使用できることを確認できた。一方、カメラのFPS設定が正常に行えなかったため、Steam版から追加されたウェブカメラを用いたトラッキング機能はLinuxでは使用不可能である。
なお、スマートフォンアプリ・PC版共に本体無料で入手できるが、アプリ内で課金しない場合PC版とは1分間しか接続できない。よって、このソフトウェアを用いてLinuxから配信する場合、スマートフォンのPRO版(約3000円)を購入する必要がある。
nizima LIVE(+nizima LIVE トラッカー)
種別:2D肉体(Live2D) 互換性:良 入手難易度:中 知識ハードル:低
nizimaが作成した、Live2D肉体に対応するトラッキングソフトウェア。(筆者のWINE環境下では)ウェブカメラ・スマホアプリとの連携の双方ともに問題なく動作し、公式対応していないソフトウェアの中ではトップクラスの使用感が特徴となる。使用時にnizimaアカウントが必要となる。
欠点は全プランにおいてLinuxは対象OSではない為WINEを使用する必要がある点、本格的に使用する場合やコラボ機能(公式ページ参照)を目当てとする場合、非対象OSで使用するために月額または年間プランを選択する(課金する)必要がある点である。
Inochi Session
種別:2D肉体(Inochi 2D) 互換性:優 入手難易度:中 知識ハードル:低
Inochi2D 形式の肉体に対応する現状唯一のソフトウェア。オープンソース。Inochi Creator を使うならば必然的にこのソフトを使うことになる。
比較的簡単な英語で書かれているものの日本語 UI がない点、Inochi Creator 同様鋭意開発中である点に注意。
なお、Inochi2D 公式リポジトリによると、モデル仕様v1.0が決まった時に詳細仕様が、Inochi2D v1.0リリース時に Unity 実装が公開・提供される予定のようだ。
Unity
種別:2D・3D肉体 互換性:優 入手難易度:中 知識ハードル:高(Live2D SDK or VRM、C#、Unityなど)
ゲーム開発にも用いられるこのソフトウェアは、Linux受肉における唯一の希望と言っても過言ではない研究初期から選択肢に挙げられた歴史ある解である。Ubuntu用に.AppImage形式でUnity Hubを配布しているため、実行権限をつけた上で実行して起動できれば問題なく動作する。Manjaro Linuxでも動作した。
これを用いて「準備した肉体がトラッキング情報に連動して動くソフトウェア」を作成するのがUnityチャートである。その高い知識ハードルから、最も困難なチャートでもあると筆者は認識している。現時点で存在を確認しているのは以下の5チャートである。
なお、ここにおいて互換性及び種別の定義を以下のように変更する。
・互換性
良→説明ページなどに明示的に書かれていないが、問題なく動作する。
可→説明ページなどに明示的に書かれておらず、動作させるための作業を必要とする。
・種別:バーチャル肉体の操作方法等を示している。
改めて、Unityを用いた受肉チャートを見ていこう。
→Dlib FaceLandmark Detector + OpenCV for Unityチャート
種別:顔トラッキング 互換性:優 入手難易度:低(要課金:$135)
アセットストアから購入できるDlib及びOpenCVのアセット2つを用いる課金チャート。予算が少ない・金をかけずに受肉したい場合真っ先に選択肢から外れる。
→VTuberKitチャート
種別:マウスによる視線誘導+口パク 互換性:良 入手難易度:中
https://qiita.com/nkjzm/items/1ba5dfc0575ed6ddd8ff 及び同ページにて紹介されている完成品「VTuberKit」( https://github.com/nkjzm/VTuberKit )を参考にする・利用するチャート。単体での自由度・没入感は低めだが拡張しやすく、他のチャートと組み合わせて拡張すれば種別が変わり没入感は増す。
→OpenCvSharp + DlibDotNetチャート
種別:顔トラッキング 互換性:優 入手難易度:中~高?
NuGetForUnity( https://github.com/GlitchEnzo/NuGetForUnity ) を利用し、NuGetで配布されている上記2つのライブラリを使用するチャート。少なく見てもC#、OpenCV及びDlibの知識が要求される。Ubuntu、CentOS以外のLinuxの場合ビルドが必要となる可能性があるが、未確認である。
後述するkumaS_Assetチャートの顔トラッキング部分はこのチャートの技術が用いられている。
技術解説: https://qiita.com/kumaS-kumachan/items/326ec6afa201c85d0a34
→kumaS_Assetチャート
種別:顔トラッキング or ボディトラッキング 互換性:可 入手難易度:高
BOOTHにて売っているTracking in Unity (Face or Body) ( https://booth.pm/ja/items/1657599 本体無料、取説100円)を購入するチャート。これだけなら入手難易度は中なのだが、動作環境がWindowsのみと記述されているために、同梱されている一部の必須ライブラリがWindows向けにビルドされている。そのため、このチャートを用いたい場合、GitHubから特定のライブラリのソースを入手し、Linux用にビルドする必要がある。UbuntuまたはCentOSの場合ビルド工程の一部を省略できるかもしれない(NuGet上にruntimeがある 動作未確認)。
ビルドさえできれば比較的容易なチャートである(出来たとは言ってない)。2D肉体・3D肉体(VRM)の双方に対応。
→OpenCV + Dlibチャート
種別:顔トラッキング 互換性:優 入手難易度:高
OpenCV及びDlib本体を入手・使用して顔トラッキングを行うプログラム(トラッキング側)を別途作成し、バーチャル肉体を制御するUnity側に送信・反映するチャート。知識さえあるなら2D肉体・3D肉体の双方に対応できる。アセットを全く使用しない上、トラッキング側はOpenCV及びDlibが対応するならどのプログラミング言語で記述しても良い。筆者はトラッキング側の記述にPythonを使用した。
最大の欠点は知識ハードルが高すぎることである。このチャートではプログラム間でデータを送受信する必要があるため、それを行うプログラムが記述できることが前提となる。また、一部のUnityチャートと同様にOpenCV及びDlibの知識が要求される。OS(やLive2D等のバージョン)こそ異なるものの、先駆者は結構いるため、情報に困ることは少ないだろう。
先駆者様:kotatu99氏(Twitter: @kotatu0909)↓
参考文献↓ 本チャートでの受肉にあたり、下記記事の「トラッキング結果をモデルに反映するコード」を参考にした。
→Virtual Faceチャート
種別:顔トラッキング(スマホ連携) 互換性:優 入手難易度:低?(Face ID に対応した iPhone X 以降の iPhone 必須)
VTuber 「八ツ橋まろん」氏が作成した iOS アプリ「Virtual Face」(無料)を使用するチャート。スマホ側でトラッキングし、OSC 通信を用いて Unity にパラメータを送信する。パーフェクトシンクに対応する VRM のみに対応。スマホと Unity を使う PC が同じネットワークに接続されている事が前提となる。(IP アドレスとポートを指定して接続する)
作者により連携に使用するスクリプトが配布されているため、他の Unity チャートに比べて導入は容易である。目につく欠点も対応する iPhone を持っていないと採用できない点、トラッキング中に自分以外の人物が映り込むと顔を奪われ顔バレする可能性がある点の2つのみであり、互換性の面で大きな問題を抱える一部の Unity チャートに比べて成果を上げやすいのが非常に魅力的である。
なお、ごく一部の「実験的機能」(単色背景、ライトコントロールなど)の開放に使用するパスコードは月毎に変更され、2022年8月以降のパスコードは作者のFANBOXのプラン加入者限定特典(¥500/月〜)である。Unity 側で全て解決するなら問題ないのだが、実験的機能を用いたスマホ単独での撮影に興味があるならばプラン加入を検討すべきだろう。
まとめ -Linuxの場合だけ2D受肉のほうが3D受肉より難易度高いってマジ?-
諸説あるとは思うが、あえて言おう。どっちも大差ない。(異論は認める)
というのも、UnityやKalidofaceでLive2Dモデルを使うには組み込み用のデータが必要になる。Live2D Cubism Editorを使えばこの形式のモデルファイルが得られるのだが、前回述べたようにCubism EditorはLinuxに公式対応していない。WINE等を用いて無理やり動かすこともできるが、文字化けの解消には「隠しフォルダ内にあるCubism Editorのインストール先フォルダの中にある、特定のフォルダ内にフォントファイルを置く」というWindowsでやるならば不要な工程が必要となる。よって、「隠しフォルダを見つけられない」(超)初心者(諸説ありそう)の方以外であればぎりぎりなんとかなる。また、GIMPで作成したPSDを使うとレイヤー名の日本語部分が文字コードの違いにより変わるため、作業量が多くなる。対抗馬となり得る Inochi 2D は WINE 不要・無料で使用可能という大きな強みこそあるものの、未だ開発中であり作成・使用出来るツールが大きく限られるのも相まって、現時点では本格使用するモデルとして採用しづらい。
一方の3D受肉であればBlenderで肉体を準備し、それをFaceVTuber(Kalidoface 3D)に読み込ませればLinuxだけで受肉作業が完了する。しかし、Live2D&絵を描く技術と3Dモデリングの敷居の差を考慮するとどっちもどっちなのではないだろうか。
…ここまで、目をつむってきた問題がある。Linuxで動作するゲーム数だ。Linuxで受肉したところで、「その肉体を使って何をするか」の選択肢が少ないことを意味している。それさえもSteam Play等により部分的に緩和されている。「出来る」と断言するには十分容易になっただろう。もちろん誰でも出来るとは言えないが。
以下の条件を満たす者は、後悔・苦戦せずLinuxで美少女のバーチャル肉体を獲得できるだろう。ただし、チャートによっては太字ではない項目を無視できる場合がある。
Linuxを使用できる(使い方・操作方法等を理解・習得できる)
Steamをインストールし、Steam Playを有効化・使用出来る
Webサービス上にアップロードして良いモデルである(Kalidoface, FaceVTuber)
WINEを設定し、Linuxでexeファイルを実行出来る
英語の文章を理解できる(手段は問わない)
必要なプログラミング言語の環境を整備し、プログラムを作成・実行出来る
GitHub リポジトリ上の説明を参考に、ソフトウェアをインストール出来る