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無茶な依頼が来たとき、デザイナーはどうしたらいいのか 

こんにちは。デザイナーの市角です。
普段はデザインや映像を作りながら、
大学で准教授としてデザイン思考について教えてみたり、デザインの考え方とやり方を学生さんや企業、自治体さんに伝えたり一緒になって考えています。

その一環で、デザイナーがどんなふうに考えているのか、
思考プロセスを文章化したほうが良いよなと思いnoteに書いていくことに。

今回はお客さんに無茶な依頼をされたときのデザイナーの頭の中!
一体どうしたら良いんでしょう。これ。


この世界から無茶な依頼がなくなる日は来ない。

まず大前提として、デザインのことがわからないと無茶振りになるのが当たり前

デザインというお仕事の全貌が良くわからないから依頼をしてくれるとも言えるわけで、相手方にデザイナー経験がない限りアメイジングな依頼なんて無理です。


よくある無茶なご依頼の例

・そもそも納期が直前過ぎて作れない(一番多い)
・作りたいものが多いのに予算が足りない(これも多いね)
・作って欲しいものが社内で割れており、何を作っても歓迎されない
・最初から作り直したほうが数倍楽なのに、今あるものを活用しないといけない(これも多いですよね)



こんな依頼を受けたとき、じつはデザイナーが取れる行動は以下の3つしかありません。

A.引き受けてデザイナーが無理をする。

B.断って取引自体無効にする。

C.双方が得をする道を見つける。



A.は優しいデザイナーがやってしまうやつですが得策じゃありません。
体力と気持ちに余裕があるときはいいのですが、調子のいいときばかりではありませんし、このスタイル、長くは続きません。

何よりも、血の涙を流しながら無理してやってあげたつもりでも、肝心のクライアントにその無理が伝わりません。(ヤバい依頼をしてしまったことに気がついてないから)

むしろヘロヘロになりながらやってるとイライラされたりします。笑 個人的にこういう報われない苦労をするデザイナーさんは大好きですけどね笑 

B.はAより良い選択。
仮に取引が成立しなくてもプロに敬意を払えるお相手なら、別の機会にまたマッチした案件を相談してくれたりします。毅然と断る姿勢は職人の責任感と矜持を感じさせ、信頼関係を作るのにも役立ちます。

何より、「あ!この依頼って無理筋だったんだ!」と断ることで理解してもらえる効果もあります。

とはいえ困っている相手を放ってはおけないもの。

C.が我らデザイナーが目指したい道!
なぜなら世の中の依頼、どこかはピントがずれているものだから。
相手の依頼、間違ってますよ!
って直してあげるところからがデザイナーのお仕事。

正しい依頼に直すことで、相手も自分も幸せになれる道を模索します。


とはいえCは茨の道、難しいですよね!勇気も必要。
失礼を承知で相手の依頼を疑うわけですからね。


相手の本当の利益はなにか?


クライアントが欲しいのはイケてるポスター?チラシ?WEB?多分それは違います。

クライアントがほしいのは、新しいファンの獲得だったり、在庫を抱えて困ってる商品をしっかり売り切ることだったり、マンネリ化したサービスの魅力アップだったりします。

そんな問題を抱えてる、デザインのプロじゃない彼らが
「そうだイケてるポスター作ろう」「そうだおしゃれECを作るんだ」
と思ったとします。

これ本当に合ってる?

実際は違うことが多い。
クライアントさんのお話をよーく聞きます。自分自身が相手になりきって考えたとき、相手を幸せにするのに本当に必要なのは依頼されたものでしょうか?

クライアントが本当に幸せになるために必要なものが別の何かのデザインだったら別のデザインを。そもそもデザイン関係なくコピーを考えることや映像をつくること、SNSを頑張ること、はたまた事業の縮小だったり別事業を展開することだと思ったら?

正直に相手に伝えましょう。

商売する上で長い目で見たとき、自分の利益に関係ない提案をすることは後で必ずいいつながりを作ります。自分じゃないな!と思ったら周りのピッタリの人を見つけてきてあげる。居なかったら一緒に考えてあげる。

しかしもしも!相手の幸せに自分の持ってる何かが貢献できそうだなと思ったら?ここからが交渉のときです。

「依頼はこうでしたけど、これを作ったほうがいいですよ。
そして予算と時間がこれしかないのでこういうやり方しかないですよね。」

相手への愛情があれば強気になれます。
自分を本気で思いやってくれる人の提案は胸に響きます。

次回はデザイナーの交渉の仕方についてお話します。



そんなかんじで毎週木曜日は、#デザイナーの頭の中  シリーズ書いてます!

デザインについてのお話、他にもありますので興味があったら。



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