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映像制作とデザインの両方ができると見えてくること

「これだけ流行ってると自分も映像とか始めたほうがいいのかな?デザインだけで食べていけるのかなあ?」と心配なそこのデザイナーさん。

こんにちは。デザイナーの市角です。デザインしたり映像作ったりしながら、大学で准教授としてデザイン思考について教えてみたり、デザインのワークショプを企業や自治体で行っています。その他料理研究家などもしているスラッシュワーカーです。



今回のテーマは「映像もできるデザイナーの利点」


最近、私が作った映像がこちら。


アートユニット「Elemental Parade」さんのPVです。
需要にあわせて映像を作りはじめて4年くらい。


映像の世界に長くいらした大先輩に色々アドバイス叱咤激励いただきつつ、
その活動の中で少しずつ見えてきたことをお話します。
映像を作るようになると、デザインの仕事とどんな相互作用が起きるのか?


映像の需要の高まり

映像の時代です。特にWEBサイトを作っているデザイナーは、同時に映像を作ることが出来たら、、と思う人は多いハズ。
これだけ映像が普及した現在、WEBは映像を効果的に見せる媒体という位置づけになってきています。WEBだけできるより、映像も出来たほうが幅広くお客様のニーズに答えることが出来ます。

デザイナーにとって映像は難しいのか?

一方でデザイナーと映像クリエイターでは使うツールが全く異なるため一見別の仕事のようにも見えます。
長らく映像をやってこられた方は機材の扱いや設定、編集やカラーグレーディングなど膨大な知識を持っていて、素人がちょっと手を出したくらいではなかなか超えられないものがあるのも事実。


しかし一方で映像制作を取り巻く環境はここ10年で一変。
昔は数百万単位が必要だった機材もミラーレスカメラ一台があれば撮影できるようになりつつあります。(スマホの進化も目が離せないですよね)

ハードルは確実に下がり、スタジオで働く以外に個人で映像制作をはじめる
という選択肢が出現。私の周りでも数人、映像制作の仕事を始めた人が居ます。


デザイナーにとって映像が難しいかといえばYES。
特に、時間軸の概念。これはデザインの世界にはあまりありません。(UX・
UIに関わる人には馴染みがありますね)

刻一刻と変化する画面のひとつひとつに
精緻なデザインを施していてもあまり意味がなく、

観始めたとき注目を集めること
観ている時に引き込まれること
観終わったあとの余韻をかんじること

が重要だったりします。

デザイナーさんが映像を始めるとき、サマータイムレンダの網代慎平くんのように四次元で俯瞰して見る事がまず必要になりますよね。

これは結構苦労するポイントだと思います。

しかし一方でデザイナーだからできることもある。


デザイナーが持つ利点を映像に活かすには


思いつきやすいのはフォント。
デザイナーは映像に効果的に書体を配置してより情報が伝わりやすくすることができます。これは映像だけやっていた人と差別化できるポイント。


また当然グラフィックデザインを映像の中に登場させたり、アニメーションで自分のグラフィックを動かすこともできるでしょう。
写真がそうだったように、そういった要素と映像との組み合わせのバランスはずっとデザイナーがやってきたことなのですぐに真似できるものではありません。

実はそれ以外にもデザインのスキルが活きるところがあると思っていまして、それが「余白」のデザイン。

デザインをしていると「余白」の大切さは痛感するところ。
要素そのものよりも余白のほうがより雄弁ですよね。

映像にも余白は存在します。それは「間」です。
デザイナーは先天的にこの「間」を扱う感覚が高いのではないかと思います。カットとカットの間、なにもないコンマ数秒の瞬間。
その長短を調整することで全く違う印象をあたえる。

これはデザインにそっくりですよね。

そんな感じで映像の制作のプロセスをデザインの要素と対応させて考えていくと、大事なところとそうでないところが見えてくると思います。



デザイナーが映像を作る時に気をつけるべきこと

一方でデザイナーがやってしまいがちな失敗もありそうです。
時間軸がない世界からくると、一瞬の間に情報を詰め込みたくなったり。

あと書体やグラフィックなどはデザインでは主役でしたが、映像ではただのおまけ。なくても成立するのが一番です。

使うときは最小限に!を心がけるのが良いかと。


映像もできるデザイナーがお客さんに与える価値

さて、デザイナーが映像もやれるようになるとどんな価値が提供できるでしょうか。


私の場合、顧客にとって制作費とコミュニケーションコストの削減になりました。

映像は映像の人、デザインはデザインの人に発注する場合、それぞれの世界観を統一して考えるアートディレクションを発注者がやることになります。


発注する側がしっかりと世界観を定義してないとそれぞれのクリエイターが創るものはバラバラになってしまい、WEBと映像、商品デザインと映像、空間デザインと映像のミスマッチが起きてしまうでしょう。

一方で映像クリエイターもデザイナーも抱える大手制作会社や代理店に発注すればそれ相応のコストが必要になります。

制作物の一貫性を得る、これは非常に高い買い物なのです。

これを一人の人間が賄えれば非常に安上がり。
金銭的コストでも、時間的コストでも。


修行はつづく

両方できるメリットは絶大ですが、デザインと同じくらい奥が深い映像の世界。やればやるほど、自分の未熟さ、勉強しないといけないことがたくさんあることが分かってきました。私も日々精進したいと思います。もっとできるようになりたい!

そして映像の修行をしているうちに、映像の仕事を通してしか得られない、しかしデザインにも役立つスキルが有ることに気が付きました。

後編に続きます!


そんなかんじで毎週木曜日は、#デザイナーの頭の中  シリーズ書いてます!
デザインについてのお話、他にもありますので興味があったら。


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