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デザインのプロだけが使うプレゼンの技術

僕が大好きな世界各国のデザイナーさんにインタビューしてデザインの仕事の極意について理解を深める企画。前回に引き続きデザイン事務所カギカッコのゲンママコトさんにお話を聞いていますー。
前回はこちら




デザインのプレゼンは激ムズ難易度の無理ゲー



プログラムなどと違い、デザインは目に見える部分を扱います。素人の人でも「なんか嫌い」「違う色にして」って言いやすい分野。でも実は目に見えないプロセスや思考を理解しないで表面を変えると間違いなくビジネスは失敗します。

目に見えるところだけ変えようとすると確実にビジネスは失敗します




そうならないように、非デザイナーを巻き込んで説得して、一緒になって良いものを作り、間違った方向に行かせないためにはどうしたらいいか!語ってくれています。

今回はこちら、大雪山カムイミンタラジオパーク構想推進協議会のロゴマークを作ったときのプレゼンテーションの技術について!

1市8町のおえらいさん方が集まって、利益も趣味趣向も違う皆さんの意見をまとめていく大変なシチュエーション!
さてゲンマさんはどうやって切り抜けた?


最初にうまくいった事例、失敗した事例をみせてクライアントを教育する



HOXAI: いやあ、市長や担当者、そして公共公益の団体が3つも4つも集まる場でプレゼンするって、めちゃくちゃ大変そうですね!


ゲンマ: ほんとだよね。お偉いさんたちがずらっと並んでて、シンボルマークを決めなきゃいけないってなると、もう大騒ぎだよ。誰かが何か言い出したらそれで揉めるのが目に見えてるからさ。だから、プレゼンのやり方を3段階に分けることにしたんだ。




HOXAI: へえ、3段階って具体的にどういう感じですか?


ゲンマ: まず最初はシートを作らずに事例を見せることにしたんだ。マークだけを見せても「ペタッと貼って終わり」みたいになっちゃうからね。何かに付けて使うだけだと、あんまり機能的じゃないし。そこで、他の事例を見せて、例えばTシャツやサインに展開してる例を見せて、「こういう考え方でシンボルマークをデザインしています」と説明したんだ。



HOXAI: なるほど、それは分かりやすいですね。他の例を見せると納得しやすいですよね。

ゲンマ: そうそう、他のジオパークのマークも見せて、「ほら、これだとただチラシにペタッと付けてるだけで意味がないよね」って説明したんだ。名刺のここにあるだけとかね。そうすると、みんな「それいいね」ってなるんだよ。だけど、これだけだと、空間を作るとか演出するとか、そういうところまでいかないからね。

あえて途中を見せて自分が作った気持ちを演出


HOXAI: 次はどうするんですか?

ゲンマ: 次は中間報告だね。これが完成プレゼンの前にやるミソなんだけど、最終的な提案を3案くらい出して、「どれがいいですか?」って聞くのは責任を放棄するみたいだから、自分が責任を持って決定するっていう姿勢を見せたんだ。相手に投げないで、「あなたが選んだんでしょ?」って言いたくないからね。



HOXAI: 自分が責任を持つことで、どう変わるんですか?

ゲンマ: 自分が責任を持つと、「じゃあどうぞ」って相手が言いやすくなるんだよ。それに、制作プロセスを共有すると、出来上がったものに対して文句が出にくくなる。みんなが「自分も関わった」って感じるからね。自分の意見を言ったよ、組んでくれたね、っていう感覚が大事なんだ。

HOXAI: 確かに、一度意見を言った人は文句を言いにくいですよね。


ゲンマ: そうなんだよ。だから、進捗報告をして、「こういうものを目指してますよね?」ってゴールを共有して、未完成の状態でも見せることで、「大丈夫ですよね?」って確認するんだ。なんで完成してない状態で見せるの?って思うかもしれないけど、これが重要なんだ。


HOXAI:完成してないものを見せることで自分が作った、関わったという気持ちを全員に持ってもらうわけですよね。実際にはどんなデザインに落ち着きましたか?


ゲンマ: まず、デザインするモチーフを探して、山とか川とかをシンプルな形にして組み合わせてみたんだ。例えば、お土産の箱とかTシャツに使えるようにね。一本の線でいろんなものが表現できて面白いよね、っていう感じで。他の柱状設理とか、いろんなものにも展開できるかもって考えたんだ。地域の特徴やアイヌのモチーフも入れるべきかどうかをみんなに意見を聞いたりしたよ。

HOXAI: 最終的にはどれに決まりました?



ゲンマ: 最終的には2案に絞り、印刷コストや表現のしやすさを考慮して決定したんだ。名刺やクリアファイル、Tシャツなど具体的な使用例も見せたよ。子どもたちがワークショップで使うためのチーム分けの目印にするってアイデアも出たんだ。それを「山」と「川」ってひらがなで書いて、小学生がチーム分けする時の目印に使ってくれたのは予想外だったけど、すごく良かったよ。




正しいだけではいいモノができない



HOXAI: 面白いですね。正しさ、必然性を最大限に求めつつ、同時にゲンマさんのデザインには親しみやすさがありますね。そこがカギカッコのデザインの好きなところなんです。

ゲンマ: そうなんだよ。やっぱりデザイナー自身が楽しんで仕事をすることが大事なんだ。楽しめる場所を残して、自由にデザインすることで、より良いものが生まれるんだよね。理論と感覚のバランスを取ることが重要。楽しめる場所がないと、デザイナー自身もつまらなくなるし、正しいだけではいいものができないからね。


ゲンマさんに学ぶプレゼンテーションの極意


1. 事例を見せて納得させる


プレゼンの最初にシートを使わず、具体的な事例を見せることで、デザインの実用性や応用範囲を視覚的に理解してもらいます。シンボルマークだけを見せるのではなく、Tシャツやサインなどに展開された実例を見せることで、アイデアがどのように実際に使われるかを示し、関係者の納得を得ることができます。

2. 中間報告でプロセスを共有する


プレゼンテーションの途中で中間報告を行い、進捗状況を共有することで、関係者が制作プロセスに関与していると感じさせます。これにより、最終成果物に対する文句や不満が出にくくなります。中間報告を行うことで、全員がゴールを共有し、同じ方向を向いて進めることができます。


3. 責任を持って決定を行う


最終的な提案をする際には、デザイナー自身が責任を持って決定を行う姿勢を見せます。関係者に「どれがいいですか?」と聞くのではなく、自分の判断で最善の案を提示し、その理由を明確に説明します。これにより、デザイナーとしての信頼感を高め、プロジェクト全体の進行をスムーズにすることができます。


デザイン事務所カギカッコさんのInstagramはこちら

最後にちょっと自己紹介
わたくしのデザイナーとしての制作物はこちら。

その他、デザイン思考を活用した事業創造ワークショップやコンサルティングを請け負っております。


#デザイナーの頭の中 書いてます!
デザインについてのお話、他にもありますので興味があったら。


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