トレーダーの私がトレーディングを勧めない理由
資産運用で稼ぐにはトレーディング(相当する日本語が無いのでカタカナで)と長期投資の2種類があります。白黒はっきり分けられるものではありませんが、概念として大きく異なります。
トレーディング1本で生きていきたい人以外には、私はトレーディングよりも長期投資を勧めます。
トレーディングを勧めない理由
トレーディングは、短期間で売り買いして利鞘を取る手法です。
短期間の勝負を繰り返すので、1年に数多くの勝負をします。勝つ日も負ける日もありますが、1年通せば大数の法則が利くので実力がもろに出ます。
昨年、広島カープの勝率は58%、阪神は44%でした。3連戦で阪神が3連勝することはあっても、同じ戦力で143試合やれば何度やっても広島が勝つのです。(ちなみに私は阪神ファン…悲)
トレーディングはゼロサムゲームです。つまり、誰かの利益は誰かの損失。刺すか刺されるか。強者が確実に勝ち、弱者は確実に負けます。
「トレーディング=投機」というイメージがあるかもしれませんが、優れたトレーダーにとっては安全で確実な手法です。逆に、他の仕事をやりながら片手間でやっても高い確率で損をします。やるなら本職として全力でやりましょう。
BNFさん、cisさん等、大成功したデイトレーダーが有名になったこともあり、デイトレーダーが急増。競争が激しくなり、年々稼ぎづらくなっています。
近年はAI等の機械による取引も増えており、今後さらに熾烈な競争になるでしょう。優れたトレーダーでもこれまでほどの収益は望めないと思います。
長期投資を勧める理由
長期投資は、配当や企業価値向上による株価上昇を長期的に享受する手法です。
長期投資はゼロサムではありません。企業が稼いだお金を株主に分配するので、トレーディングと違い、平均すると収益はプラスなのです。
どれくらいプラスなのかは諸説ありますが、「純利益を時価総額で割ったもの」が1つの目安になると思います。「1株あたり純利益を株価で割ったもの」、「1/PER」とも同値で、株式益回りとも呼ばれます。仮に企業が純利益を全額配当に回せば、配当利回り=株式益回りとなります。
日本株の平均PERは現在約13倍、つまり、1/13≒7.7%の利回りだということになります。
めちゃ高くないですか!?
預金しても国債買っても0%の時代に7.7%だなんて…
多少タイミングを間違えても、多少銘柄選択を間違えても、しっかり分散投資していればマイナスにはならない気がしますね。長期投資は片手間でやっても十分勝てるのです。
ただ、長期投資はトレーディングに比べて1勝負あたりの時間が長く、狙った結果が出るまで数年かかります。そのため、初期は大数の法則が利きにくく、正しい投資をしていても収益がマイナスになるということが多々あります。5試合しかなければ広島が阪神に負けることもあるのです。
これが難しいところで、「正しいけれど損をしている」という状況で自分の理論を貫き、大数の法則が利くまで長期の運用を我慢できるかが鍵になります。しっかりした理論を持って、ぶれずに運用しましょう。
株を含めた金融商品は、売買するときに手数料がかかるものが大半です。なので、金融機関は個人に対して、長期投資よりトレーディングを勧めるインセンティブを持ちます。
そのセールストークに流されてしまう人が多く、日本の資産運用はトレーディングに偏っています。
一般の人がトレーディングでプロに勝てるわけもなく、多くの人が損失を出し、「株は危ないもの」という誤った認識が広まりました。私の祖父も母もそうでした。
近年ようやく、売買手数料が無料で、保有期間に応じて管理手数料がかかる投資信託が増えてきました。これは良いことだと思います。トレーディングより長期保有を勧めるインセンティブを持つわけですから。
多くの人が資産の多くを長期投資する時代が来ればいいですね。
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