プロ・カバディ・リーグ・プレイヤー・オークション (Pro Kabaddi League Player Auction)
残留選手と新人選手
インドのプロ・カバディ・リーグ (PKL -= Pro Kabaddi League)は2ヵ月半にわたっておこなわれるシーズンが始まる前に2日間にわたるプレイヤー・オークションがあります。これは日本のプロ野球でいえばドラフト会議みたいなもので、各チームが与えられた予算のなかでほしい選手を競り落としてその年のチームを編成します。
各チームの選手数は最低18人、最大で25人まで認められています。毎年インド内外の500人以上の選手がオークションにかけられて、216~300人がPKLの選手になることができるわけです。
そしてすべての選手がオークションにかけられるわけではありません。オークションの数日前に各チームから残留選手と新人選手が発表されます。
各チームは前のシーズンで自チームに所属した以下の選手たちを残留させることができます。
ERP = Elite Retained Players 最大3名
RYP = Retained Young Players 最大7名
ENYP = Existing New Young Players 最大6名
これらの選手に支払う給料もチーム編成予算から差し引かれることになります。
新人選手は18~22歳でPKLに所属した経験のある選手はENYPやこれまでPKLでプレイしたことのないNYP (New Young Players)はオークション前に各チームが開催するトライアルや2017年にマーシャル・スポーツが始めたFuture Kabaddi Heroesプログラムを通じてスカウトする選手です。
このようなかたちでチームが保有できる選手が枠ごとに決められているため、PKLでは大幅に選手を入れ替えるチームとゆうのも珍しくありません。
※このように各チームがSNSで残留エリート選手、残留新人選手、新人選手を発表する。
各チームの予算
PKLには海外の選手も参加することができ、各チームは最低でも2人、最大で4人の海外選手を保有でき、海外の選手たちもインドの選手たちと同様に残留せずに放出された場合、あるいはこれまでPKLでプレイしたことのない選手がオークションにかけられます。
PKL 11で各チームの予算は前シーズンとおなじ5000万INR (約8900万円)で、PKL9のときは4400万INR (約7900万円)でした。
PKL 9からPKL 10にかけて600万INR増額されたことでPKL 10では当時インド代表のキャプテンだったオール・ラウンダー (実質的にはほぼレイダー)のPawan Sehrawatが過去最高額の2600万INR (約4600万円)でTelugu Titansが落札。
逆に予算が増えなかったPKL 11では、PKL 10でPawanが所属したTitansが最下位になったこともあって、Pawanもオークションにかけられながら、最高落札額がレイダーのSachinの2150万INR (約3800万円)で、これは歴代4位の記録となりました。
さらにPKL 10ではPawanに次ぐ歴代2位の落札額となる2310万INR (約4100万円)で外国人選手の過去最高額を記録し、Puneri Paltanを優勝に導いたイランのMohammad Reza Shadloui Chiyanehは2070万INR (約3500万円)と、PKL 11では各チームが慎重になりました。
※オークションの当日に各チームが使用できる残りの予算がPKLから公式に発表される。1CRは1000万、Lakh (Lac)は10万とゆう単位。
※PKL 11で外国人枠でオークションにかけられた各国の選手の人数。前年はイングランドやポーランド、ケニアの選手が落札されたが、この年落札されたのはすべてアジア人となったため一部で物議となった。
※前日にカバディ関連のSNSからオークションに参加する各国の選手たちの名前がポジションごとに発表される。残念ながら日本人選手は落札されず。
カテゴリーごとの基本価格
Category A 300万INR (約530万円)
Category B 200万INR (約350万円)
Category C 130万INR (約230万円)
Category D 90万INR (約160万円)
2日間かけておこなわれるプレイヤー・オークションはカテゴリーAの選手から始まり、基本価格から徐々に金額が上がっていきます。
各選手のカテゴリーは前年の記録をもとにつけられていくわけですが、カテゴリーAやBの選手で買い手のつかない選手はのちほどまた登場することになります。
初日はカテゴリーAとBの選手のみで、2日目はカテゴリーCとDの選手になるわけですが、2日目はカテゴリーCの外国人選手から始まります。カテゴリーDには外国人選手は分類されないため、カテゴリーCまでですべての外国人選手のオークションが終了します。
FBMカード
プレイヤー・オークションではFBMカード(Final Bit Match Cards)が各チームに与えられます。このカードは自チームが放出した選手をほかのチームが落札した価格で再び獲得することができるカードになっています。
つまり、オークションでは選手の落札金額が決まったあとにその選手が前のシーズンにプレイしていたチームにFBMカードを使うかの判断が委ねられ、そのチームがFBMカードを使用しないということでようやく選手を獲得できるのです。
FBMカードは残留する選手の人数によって使える枚数が違います。Retained Playerを6人保有している場合はFBMカードを1度だけ使用することができます。5人保有している場合は2回、保有している選手が4人までの場合は3回と、最大で3回まで使用することが可能です。
PKL 11ではシーズン10に歴代最高額の2600万INRだったPawan Sehrawatの落札額が1725万INRでだったことでTitansはFBMカードを使用し、再びPawanを獲得し、さらに700万INR (約1240万円)でカテゴリーAのディフェンダーKrishan Dhullを獲得しました。
シーズン10でGujarat Giantsがディフェンダーの歴代最高額となる1600万INRで落札したイラン人選手Fazel Atrachaliはシーズン11ではカテゴリーAの評価ながら落札額が500万INRだったにも関わらずGiantsはFBMカードを使用しなかったため、FazelはBengal Warriorzに行くことに。
この年のディフェンダーはU Mumbaが落札したSunil Kumarがインド人ディフェンダーとして初の1crプレイヤーとなり注目を集めました。
※高給取りの選手はどうしても前年の落札額と比較される運命に。そして歴代最高額が出た場合などはしっかりとPKLの公式からアナウンスメントがある。
おすすめのチェック方法
PKLのオークションは日本からYouTubeで見られる年もあれば、日本からは見られないとゆう年もあります。ですが、PKLの公式SNSやインドのカバディ関連のSNSが当日に速報を流しているので、配信がなくてもすぐに情報をキャッチすることができます。もちろんPKLの公式サイトでも当日はオークション用のページが作られるので、それを見ると現在どの選手がオークションにかけられているのかとゆうリアルタイムの情報や、各チームの獲得選手がわかるようになっています。
インドと日本の時差は3時間半あり、オークションの1日目は日本時間の夜11時から夜中の2時ごろまで。2日目はお昼ごろにスタートして長丁場になり、SNSといえどもオークションをリアルタイムで追うのは大変なので、あとでまとめをチェックするのがおすすめです。