灼熱の魂_映画

  • 最高のログラインリスト

    • 双子のシモンとジャンヌは、最近亡くなった母親ナワルの遺言を受け取る。そこには死んだと聞かされていた父親と、存在すら知らなかった兄それぞれに手紙を渡すように書かれている。それまで、母親は埋葬を拒否するというのだ。 ^5gac0w

  • 子どもが坊主にされている。兵士になった?かかとの三点マーク。

  • シモンとジャンヌの双子。遺言を聞く。父親に封筒を渡して。シモンは兄に封筒を渡すというミッション。ミッションが終われば、あなたたちに手紙がある。かなりミステリー要素が強い。封筒の中身は何なのか?

  • ジャンヌはジャンヌダルクから来ているのだろうか。その名前の通り強い女性であるらしい。彼女の泣き方はト書き上、とても参考になると思う。「表情を崩さず、前を見つめ、涙の筋が顔に垂れていく。彼女は手でさっとぬぐう。」彼女の力強さが現れている泣き方。 ^1yy9my

  • ジャンヌが観客が驚くことを言う。「父についてはご存知ね。兄などいないことも。」。じゃあ、この遺言はなんなんだと観客はびっくり。いいね。おもしろい。

  • シモンは母親のことが好きではなかったらしく、最後くらい普通に埋葬してパッと終わりたいという感じ

  • シモンとケンカ。弟はやっと心が軽くなったのに、姉が気にくわない。

  • 🟩 ラジオやテレビ、先生や教授の講義・説教はサブテキストである

    • 訳の分からない遺言にどう対処しようかと悩んでいる姉に教授の言葉が刺さる。姉は数学の博士号。教授「今まで学んできた数学は明快で決定的な問題への明快で決定的な答えを求めるものだった。ここから先は大きく変わる。答えのない問題へと続く解決不能な問題に直面するようになる。努力しても無駄だという人もいるだろう。想像を絶するほど複雑で難解な問題を前に自分を守る術はなくなる。純粋数学にようこそ。孤独の王国へ」 ^9zvme9

  • 教授「真実を知るべきだ。心が平和でないと、数学はできない。踏み出さなくては。」サイードは信頼できる友人だ。彼を訪ねろ。

  • フラッシュバック プールでママが廃人のように。呼びかけにも答えない。

  • ナワルが亡命している過去。ワハブと逃げようとしていたが、兄に捕まる。良くも家族の名を汚したな。ワハブは殺される。ナワルはおばあちゃんに責められる。おなかに子どもがいた(主人公の兄かな?)。

    • おばあちゃんが逃げる手はずを整えてくれる。内緒で。兄達には秘密にしている?。

    • 生まれた子の足に三点マークを刻む。「いつか必ず探しに行くわ。」と子どもは連れていかれる。観客は強く同情する。

  • 物語現在、ジャンヌは大学へ。でも、協力してくれない。母の写真を見せて、知っている人がいないか。南部の監獄でとられた写真だと分かる。

  • サスペンスは観客にだけ情報を解放するリスト

    • かなり主人公の母親のフラッシュバックが長い。彼女が子供を産んでから、どうやって過ごしてきたかを映像付きで描く。でもこの情報を主人公は知らない(双子はまだリサーチ中)。観客の方が圧倒的に情報量が多いという立場になっている。

    • 主人公は母親がレイプされて子供を身ごもったと知る。主人公はその子供は「兄」のことだと勘違いしている。でも観客はレイプされて身ごもった子供こそ双子の兄弟であることを知る(主人公に優越) 。監獄での出産中「もう1人よ」と助産師が言ったからだ。つまり、観客に先に知らせておくことで、==物語現在で助産師に真実を告げられるとき、主人公たちがどういうリアクションをするかに注目して欲しいのだろう==。1:32 ^uyyqwe

      • しかも、普通こういうリアクションに注目させるような語りにした場合、その情報を知ったシーンの「中」でリアクションまで描くのが通常である。でも、本作はシーンを割っている。情報を知った直後、双子があっけに取られているリアクションまでは描いて、そのあとすぐにカットを割って、次のシーンで双子はプールで泳いでいる。猛烈に泳いで、見つめ合い、抱き合う。これがリアクションである。

      • ==この映画は一貫して「新規情報(啓示)」に対するリアクションがユニークである==。普通なら、それを知った瞬間にキャラクターは表情やセリフを使ってその心情を大げさに表現する、という演出が多い。でも、本作はそのようなわかりやすい表現はしない。このプールの場面もそうだし、1+1=1だと弟が姉に告げた時もそうだった。弟から言われて、姉は少し考えてその数式で全てを悟り、大きく息を吸い込んで、この世のものとは思えない音を発する(引き笑いのような音だが、もっと陰鬱なものである)

    • 何でこういう構造にしたんだろうか?主人公がリサーチする中で観客も知るという風に、主人公と観客の情報量を合わせるのが王道だけど、本作は一方的に観客がどんどん情報量を増やしていく。なぜこの構造に? 40分

      • 謎によって語り方を変えているのが凄い。🟩 「母の若い頃の人生」と、「双子の父親が拷問人である」という情報については観客に先に情報を与えていた。しかし、🟩 もう一つの大きな謎「兄の正体」については、観客も主人公たちと一緒に情報を得るような構造になっている(つまり情報量は同じ)。兄についてはいわゆる一般的なミステリーと同じ、主人公たちの目線で、同じ情報量で観客も謎を追っていくような作りになっている。

      • こういう構造の使い分けもおそらく意味があるんだろうが、あまりに高度ではこの使い分けを採用している理由を理解できない。

        • ひとつ考えられる理由は、兄(そして父)の正体が主人公たちにとっても観客にとっても==あまりに(映画史に残るレベルで)衝撃的==だったからかもしれない。この一つの真相で私たちは心にものすごい傷を負った。この情報にだけ向き合ってほしいからこそ、母の人生については観客にだけまず情報を開示したのかもしれない。「母の人生」まで、主人公目線で知ることになっていたら、観客の心の負担があまりにもデカすぎるという配慮もあったかもしれない。

  • 過去、母は戦争の脅威が近づいたので、息子を助けに向かう。南部の孤児院を当たる。

  • 母のことを村の人に聞くと、何やら言い争いが始まる。マルワン家には不名誉なことが起きた。あなたを歓迎は出来ない。帰れ。

  • 双子の弟は完全に物語から姿を消している。必要あるのかな?

  • 母親は新聞ではなにも変えられないから、相手に武力で仕返しすることを決心する。この時点で息子は死んだと思っている。

  • 🟩 そのセリフやアクション「そのもの」に意味がない場合、サブテキストがある

    • 母はキリスト教幹部の息子に勉強を教えている途中で、時計を確認し、「==靴を脱いで==」移動を始める。このアクションはサブテキスト。つまり足音できづかれないように、何やら隠密で行動しようとしているということ 。この意図に気づいて、==観客は「これから何かが起きるはずだ」とサスペンスのフラグを察知する==。そして、母は幹部の暗殺を実行する。 ^c4qttc

      • うまいのはその直前に移動のシーンを見せて、さりげなく「足元と鞄」を印象づけていること。観客にこの靴(ヒール)で歩くと足音がするということ、そしてカバンの中に何かが入っていることを、さりげなく印象付けている。 1:08

  • 映画のストーリー発想分析リスト + 形式(語り・narration)の面白い映画リスト_ByBordwell

    • 本作の"大枠部分"は実はそう難しくない物語の創作方法かもしれない(ただし詳細部分をどう語るかは真似できないほどむずいよ)。まず戦争や内戦、とても悲惨な事件の中で強く生き抜いた人の物語を作る(もしくは伝記を参考にする)。そして、その人に子供がいることにする。その子供は親の人生を何も知らない。そして親が死ぬ時子供に何かを託す。子供は母の人生を探す旅に出る。すると母の壮絶な人生が次第に明らかになっていく。そしてそのリサーチ中に、物語現在の子供にも何らかの試練が訪れる(リサーチを難しくさせるような試練)。つまり、物語の内容のベースは親の壮絶な人生。でも、それをどう語るかは2種類ある(つまり、形式の問題)。壮絶な人生を歩んだ親の物語だけで語ることもできる。そうではなく、子供を登場させることで、親の秘密を探るという「ミステリー」化したのが本作。「親の人生を物語現在として時系列で描く方法」もあるし、「子供を主人公として親の人生の謎(物語過去のミステリー)を解く」という描き方にしたのが本作。 ^r5vb0z

      • しかもこういう壮絶な過去とは、それに関わった者たちもまた深い傷を負っているので、物語現在で、関係者に会う時に非常に心を動かすようなエピソードになりやすい。そして子どもを登場させることで、尺は簡単に埋まるようになる(長尺の2時間もあっという間だろう。むしろ削る方が大変)。

  • 観客の期待を高める情報を効果的に使っている映画リスト

    • 弟の元に危険そうな男2人がやってくる。「君に協力しよう。1時間で戻れる。」弟は彼らに着いていくことに決めホテルを出る。ホテルの入り口には金属探知機が。弟は無音で通過するが、==2人の男は警報音が鳴る==。つまり、彼らは銃を持っているということだ。しかし、警備員も見て見ぬふりをする。つまりそれだけ大きな権力の手下たちなのだとわかる。堂々と銃を持つことができる。サスペンスが急速に高まっていく。 1:47 ^ypnbzw

  • 結末のどんでん返し映画リスト

    • 🟩 「XXか?」「いや、XXではない」というやり取りのサブテキスト

    • すべてを知る当時の司令官が弟に証言する。「ある朝ニハド(兄の名前)は捕まった。敵を7人殺した。奴らは彼を殺さず洗脳してクファリアットの監獄へ送り込んだ。」→弟「兄は監獄に?」→「そうだ拷問として」→弟「父と一緒に?」→「==いや、君の父 アブタレクと一緒にではない==」。じゃあ何なのか? と観客は考える。その後のシーンで弟はホテルに帰り呆然としている。 ^kc6ai0

    • 兄の正体を聞いた弟は「1+1=1 がありえるか?」と放心状態。このセリフと、姉のリアクションは何を意味している? つまり父である拷問人の正体は、兄だった。2人の人物が実は同じだった("1"だった)ということ ^dde12o

    • 物語過去:プールで母は三点マークの足を見つける。

    • 双子はどうするのだろう?母を拷問した復讐をするのか?許すのか? 観客として非常にジレンマ。興味が湧く。

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