橋本治が語る「心のある論理」の重要性:『たとえ世界が終わっても 』
最近、何かと話題の橋本治さん。
2019年に亡くなられたにもかかわらず、その博識と鋭い視点で多くの人々を魅了し続けています。
『源氏物語』などの古典の現代語訳を手掛け、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞を受賞。
小説家・エッセイスト・戯曲家という多才な一面も。
そしてなんと、イラストレーターから小説家に転身したという経歴の持ち主でもあります。
そんな橋本治さんの『たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ』を読みました。
本書では、イギリスのEU離脱、トランプ政権誕生など、2010年代後半の世界を揺るがせた出来事から、その先の世界までを見据えた深い考察が展開。
対談形式で構成されているので、まるで橋本さんの話を横で聴いているような感覚を味わえます。
今回は、ぼくが本書から学んだ3つの視点をご紹介します。
1. ユダヤ人が行くところが覇権国家になる
本書ではじめて知った衝撃的な事実の一つが、「金貸し」がユダヤ教、イスラム教、キリスト教の教えに反しているということ。
差別を受けていたユダヤ人は、金貸しというユダヤ教の教えに反した行為を強要されていました。
ユダヤ人たちは、いやいやながら、仕方がなく金融の知識を身につけていったのです。
そして差別がエスカレートし、ユダヤ人は国を追い出されますが、彼らとともに知恵や金融市場が移動し、貿易や経済の覇権も移動していったのです。
その最終局面がナチスドイツによる迫害。
迫害を受けたユダヤ人はアメリカへ移住し、第二次世界大戦後、アメリカが覇権国家になったのです。
2. 西洋人の征服欲
ヨーロッパ人にとって、東からの脅威は常に存在していたという点は、非常に興味深いものでした。
そもそも、ゲルマン民族の大移動も、騎馬民族のフン族がゲルマン民族のいる東西の方へ攻めてきたことが原因。
近代化という武器を手にしたヨーロッパは、一転して「東へ攻め込もう」という征服欲に駆られたと橋本氏は分析しています。
橋本さんは、自国の商品を安く売りつける自由貿易も、西洋人の征服の一端であると分析しています。
よって橋本さん、関税をもうける保護貿易に賛成しています。
3. 心のある論理を身につける
本書からの一番の収穫は、「心のある論理」という考え方です。
「心のある論理」とは、自分の正しさを相手に認めさせようとはせず、相手の意見にも耳を傾け、互いを尊重しながら議論を進めていくことです。
しかし現代社会では、「心のない論理」と「心の論理」が蔓延しています。
「心のない論理」とは、頭だけで考えた、論理的に正しいだけの冷たい論理です。
一方、「心の論理」とは、理想論に基づいた、感情的な論理です。
これら二つの論理は、互いに平行線で交わることはなく、衝突を招きやすいもの。
そこで重要になってくるのが、「心のある論理」です。
「心のある論理」の人は、相手の意見に耳を傾け、共感し、互いに理解し合おうとする姿勢を持っており、「心のない論理」と「心の論理」のつなぎ役となります。
このような人が増えれば、社会全体の温度が上がり、より良い方向へと進んでいくでしょう。
まとめ
『たとえ世界が終わっても』は、現代社会を生きる私たちに、大切なヒントと知識を与えてくれる一冊。
橋本治さんの博識と鋭い視点に触れ、自分自身の生き方について改めて考えるきっかけとなりました。
とくに、自分の語ることが「心のない論理」や「心の論理」だけになっていないか、もっと注意深くならなければと自戒。
寛容性を忘れず、心に余裕をもって、これからも発信していこうと思いました。
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