レビュー『魅せるイラストのエッセンス -黄金期のイラストレーターに学ぶ-』
ふと出会ったイラストが魅力的だなぁと思い調べてみると、ノーマン・ロックウェルという人物が描いていました。
ノーマンさんはすでに他界されているのですが、彼は学校でイラストを教えていたと知りました。
その学校の名は「フェイマス・アーティスツ・スクール」。
この学校はノーマンさんをはじめ、イラストの黄金期に実際に活躍した12人のイラストレーターが、プロイラストレーターを育成するために設立したものでした。
現役のプロから技術を伝授されるとは、なんともうらやましい学校です。
そこでは一体どのような教育がおこなわれていたのかが気になりました。
すると、その学校で実際に使われていたテキストを再編成した本を発見!
それが、『魅せるイラストのエッセンス -黄金期のイラストレーターに学ぶ-』です。
イラスト制作の背景にある、考えや手法が各イラストレーターの作品とともに掲載されており、本書はまさにイラスト制作のテクニックが詰まった教科書といえます。
読み始める前はノーマン・ロックウェルさんしか知らなかったのですが、オースティン・ブリッグスさんといった、他の黄金期のイラストレーターを知ることができたので得した気分です。
大衆画の名匠たちが、イラストを描くためのノウハウやテクニックを惜しみなく教えており、内容も以下のような章立てになっています。
1 ストーリーを語るアート
2 自分ならではの作品を描く
3 観察の道具としてのドローイング
4 構図の効果を知る
5 絵をデザインする
6 人物を描く
7 色彩を見る
ぼくはイラストレーターではないのですが、個人的には「観察の道具としてのドローイング」が参考になり、さっそく毎日スケッチをするようになりました。
イラストレーターでなくとも絵を描く人には勉強になりますし、四角い画面のなかで空間をどのように活かすかを考えるUIデザイナーにも参考になると思いました。
ハウトゥー本ではありますが資料としての価値も高く、それぞれのイラストレーターの画集がほしくなる本でもあります。