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うまく伝わらない... 敷衍(ふえん)力がたらないかも

「敷衍(ふえん)」という言葉を知っていますか?

ぼくは佐藤優さんの『国語ゼミ』を読んで、はじめて知りました。

この本では、要約と敷衍が、読解力を磨くための手法の一つとして紹介されています。

今回は、この二つの言葉について考えてみたいと思います。


要約とは

要約とは、長文を簡潔にまとめることです。

つまり、内容を狭めるという方向性を持っています。

特徴は、不要な部分を削り、重要な情報だけを抽出する「簡潔化。

そして、オリジナルの文章の長さを短くする「圧縮」があげられます。

要約の目的は、文章全体の趣旨を把握しやすくし、情報をみじかい時間で効率的に伝えること。

偏差値の高い人は、この要約が得意です。

なぜなら、テキストを短く要約して頭に入れると、マークシート式のテストで満点が取れるから。

しかし、この段階で理解したつもりになり、満足してしまうと危険。

それは、「人に分かりやすく説明する」という視点が欠けてしまうからです。

人に分かりやすく説明するためには、敷衍が必要となります。

敷衍(ふえん)とは

敷衍とは、ある事柄について、自分の言葉で分かりやすくすることです。

ものの範囲からさらにひろげて詳しく説明すること、または内容を豊かにすること。

特徴として、「展開」と「深化」が挙げられます。

「展開」は、具体的な事例を挙げたり、関連する知識や情報を加えたりすることで、もとの文章の内容をより深く、多角的に理解できるようにすることです。

「深化」は、抽象的な概念を具体的なイメージに置き換えたり、新たな視点から考察を加えたりすることで、文章の奥深さを引き出すことです。

目的は、読者に深い理解を与える、新たな発見を促す、文章の魅力を高めるなどです。

「敷衍」は自分の言葉で表現するという点で、豊富な語彙力や表現力が必要。

ですので、作家やライター、文字で表現する者にとっては、敷衍する力が必要不可欠といえます。

「要約」はできても「敷衍」ができないと、人にやさしく説明することはできません。

行間を読む力

敷衍を行うためには、じつは「行間を読む力」が不可欠です。

行間を読むとは、文章の表面的な意味だけでなく、その裏にある作者の意図や、文章全体の流れを読み解くことです。

たとえば、小説を読む際に、登場人物の心理や、作者が伝えたいメッセージを読み取ることが、行間を読むことに当たります。

行間を読むことで、私たちは文章のより深い意味を理解し、それを自分の言葉で表現できるようになります。

逆に言えば、敷衍が苦手な人は、行間を読めていないということ。

つまりは、「読解力」が不足している可能性があります。

まとめ

要約と敷衍は、どちらも読解力と表現力の向上に欠かせないスキルです。

要約は、文章の骨格をつかむための基礎。

敷衍は、文章の奥深さを理解し、自分の言葉で表現する高度なスキル。

行間を読む力、つまり文章の深い意味を読み解く力を養うことで、敷衍の能力を高めることができます。

読解力を向上させ、知的戦闘力を高めたい人は、ぜひ要約と敷衍の両方を意識してみてください。

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