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海外ボランティアに参加した娘が、各国の若者にあることをやめるよう説得されたこと

「あなた自身より大切なものは何もない。お願いだから無理をしないで」
「真に価値のあるものなんてないんだ。今君がそれをやめたとしても、人生終わってしまうわけじゃないんだよ」
「昨晩、君の顔は悲しげだった。心配だよ」
「クレイジーよ」
「クレイジーだ」
「もうやめて」
「結局僕が一時間説得して何も進まなかった。もう眠ろう」
「あなたにこんなことをさせているやつを今すぐKOROしてやりたい」
 
夏休みを利用してドイツのワークキャンプに参加した高校生の次女が、欧州、中米など各国の年上の若者に、とにかく心配され、説教され、していることをすぐにやめるように説得された件。
 
娘が夕食後の共用のキッチンテーブルで、夏休みの宿題をしていたことは、事件といってもいいくらいの騒ぎを巻き起こしたという。
休んで遊ぶためのバカンス中に、一体何をやってるんだ、正気か?と。
 
そういえば「赤毛のアン」で、過酷な受験勉強をしているアンが、夏休みの初日に教科書すべてを屋根裏に封印する場面がある。
ここまで猛烈に頑張って勉強して、秋から受験本番までまた頑張り続ける。
夏休みはちゃんと体をやすめて、輝く夏を100%満喫するのだ。
秋になって再び教科書を取り出したアンはすっかり充電完了で、勉強を再開できることを喜ばしく思う。
 
「夏を制する者は受験を制す」なんて言葉が定着しているこの国の住人として、アンの国が羨ましたかったし、初めて読んだ時はびっくりした。
受験生ですらない娘があたりまえのように宿題に取り組む姿が、海の向こうの若者たちに衝撃を与えたのも納得。
 
娘自身は、みんなが母国語ではない英語で一生懸命心配してくれたり説得してくれたりしたことに、ある種の感動を覚えたようだ。
かと言って、宿題やめたら後で苦しむのは目に見えてるから、続行はしたらしいけれど(コーヒー淹れてくれたり、手伝ってくれたり、気の毒な日本の女の子をずいぶん労わってくれたとのこと)。
 
私はというと、このお土産話が面白くて、「日本の夏休みの宿題問題」について、周りのひとに聞いてみた。
私はなくしてしまえばいい派。
もう欧米みたいに好きなことだけしてぱーっと過ごせばいいじゃない派。
 
大学で教育を学んでいる長女は、そんな簡単な問題ではないと言う。
社会が変わらないのに教育だけ変えることはできないと。
親の盆休みがせいぜい1週間。
毎日熱中症厳戒態勢の、外遊びもろくにできない日本の気候。
宿題なかったら、素晴らしい夏が送れるかというとそんなことはなく、何か夢中になれるものがない子はYouTubeばっかりになるかも。
結局塾で勉強していた方がマシってなり、かえって夏を制す者に拍車がかかり、格差が拡がるかも。
宿題の中身はすごく改善しなくちゃいけないけれど、日本という国には「夏休みの宿題」はある程度馴染みが良いのではないか。
 
ふだん仕事で多忙な私の妹は、小1息子の夏休み自由研究を、ああでもないこうでもないと大変な思いをしながら手伝った。
振り返れば、息子の「興味あるもの」と強制的にじっくり向き合う貴重な時間だったと言う。

在仏の妹2は、国の補助金を利用して、たっぷり海でのバカンスを満喫したばかり。
のんびり食べて、泳いで、ぼーっと水平線眺めるの繰り返す日々。
もし社会が変わり、もっと休めるようになったとして、日本人にこういう長い休暇って向いてるんだろうかとふと疑問に思ったそう。
 
なるほど、なるほど。聞いてみるものだ。
この議論、もうちょっと続けてみたい。


ヨーロッパの夏の夕方はとても長いので
お気に入りの定位置での昼寝が日課だったらしい。


 


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