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思い出は尊く…(風船太鼓結び)

私の実家の庭は、枯山水の、父の自慢の庭でした。白い玉石の川が流れ、一枚岩の橋が架かっていました。

和室の縁側の前には、蹲踞(つくばい)があり、傍らには、竹が植えられていました。

毎年七夕には、家族で竹に、短冊や飾りを付け、竹は華やかに風に揺られていました。

母が嬉しそうに、千代紙で短冊飾りを作り、私達が願い事を書き、それを父が、竹に飾っていた風景が目に浮かびます。

七夕の時だけ出される、色のついた素麺が、天の川のように綺麗で、私はワクワクしながら、日が暮れるのを待ちました。

今は、母が亡くなり、父はアルツハイマーで特別養護老人ホームに入り、実家は人に貸しています。

思い出は尊く…
何気ない日常は尊く…
家族は尊く…
季節の行事は美しく…

美しい思い出なのに、どうして涙が出るのでしょうね。

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