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尖った音や態度が強烈にカッコよかった 『Appetite For Destruction』 GUNS N' ROSES

もはや語り尽くされていると思いますが、『Appetite For Destruction』は私にとってもとてつもない体験でしたので、あの頃に感じていたことを書いてみたいと思います。

アクセル・ローズとイジー・ストラドリンが在籍していたハリウッド・ローズと、トレイシー・ガンズがいたLAガンズが合流し、お互いのバンド名からGuns N' Rosesと名付けられました。しかしながらトレイシーをはじめとしたLAガンズ組はすぐに抜け、ここにダフ・マッケイガン、スラッシュ、スティーヴン・アドラーが加入して、私達が知るガンズ・アンド・ローゼズが誕生します。

『Appetite For Destruction』がリリースされた1987年、私は中学生でした。洋楽に興味を持ち始め、ボン・ジョヴィやホワイトスネイク等のヒットでハードロック/ヘヴィメタルと呼ばれるジャンルに興味を持ち始めた頃です。

ジャケットの差し替え騒動もあったデビュー・アルバムからの最初のシングルは“It’s So Easy”、続いて“Welcome To The Jungle”がリリースされ、このMVを観た私は「なんだかおっかない奴らが出てきた」と思いました。

ボン・ジョヴィなどに比べるとヒリヒリとしたパンク臭が強く、聞こえてくる話もイカつく、音も尖っていました。

特にアクセルの個性は強烈で、その歌とルックスと態度はヤワなものは吹き飛ばす感じにあふれていて、その音楽よりもお騒がせエピソードの方が先行し、いまでは誰もが知る本作も最初から大ヒットというわけではありませんでした。

私もこのシングル2曲だけでは腰が引けてなかなかレンタルにも手が出せず、モタモタしていたところに、あの “Sweet Child O' Mine” が聴こえてきたのです。

スラッシュのギターによるイントロを聴いた時には本当に世界が変わったかのようでした。アクセルの歌も全然違うように聴こえて、「こんな曲もあるの⁉」と驚きながらやっとCDを借りて、当時はTDKのAR-Xに録音したはずです。このテープを何度も聴きました。


全12曲のテンションが異常な本作は、⑴ Welcome To The Jungle の1音目から彼らの強烈なアティテュードが示されます。プロデューサーのマイク・クリンクにも感謝しなければなりませんね。

⑹ Paradise City の純粋な曲の良さ、最高にアガるグルーヴ、曲の終盤に正気でいることは難しいです。

⑼ Sweet Child O’ Mine は冒頭のギターが印象的ですが、その後ろで鳴る何とも儚いベースラインが加わることで、この曲をより特別なものにしていると思います。そしてアクセルの赤裸々でむき出しの歌唱。この曲が全米1位になる世界を10代で過ごせてよかったです。

この頃には差し替えられる前のジャケットを使用した『Live From The Jungle』という名で知られるEPも話題となり、そこに収録されていたライブでのAC/DCカバー “Whole Lotta Rosie” がとんでもなくカッコよく、一層彼らのファンになりました。当時はボン・スコット在籍時のこの曲を知らず、なぜ冒頭で客が「アンガス!アンガス!」と叫ぶのかも理解していませんでしたが、そんなのは関係なく熱狂しましたね。

世界で約3000万枚のセールスとも言われる本作は、ヘヴィメタルというよりはパンクの香りも強めなハード・ロックンロールだと思っています。独特のロックンロール的グルーヴにスラッシュとイジーのギターが加わり、あの声とスタイルでアクセルが歌うガンズ・アンド・ローゼズのデビュー・アルバムは、1年近くをかけてチャートを登っていき、ついには全米1位を獲得します。ニルヴァーナが登場する前に、ヘアメタルと呼ばれるようなバンドを吹き飛ばしてしまいました。彼らは本物だったのです。

1988年11月には『GN’R Lies』がリリースされ、そこでのアコースティック楽曲に「こんなこともできるのか!」と、より一層の本物感に驚いた記憶があります。まさしく無双状態で、メジャーシーンに堂々と存在する、誰もが知るバンドとなっていきました。これは本当にすごかったですし、それはもうひたすらカッコよかったです。

ただ、残念ながらこの時代にはお決まりのドラッグ問題が浮上、ドラムのスティーヴン・アドラーは脱退(解雇)。代わりにマット・ソーラムが加入してレコーディングされた次作となる『Use Your Illusion』はしっかりとタイトになり、ディジー・リードが加わることで幅も広がり、バンドとしてはより完成されたのかもしれませんが、あのロックンロール感は薄れてしまったように感じました。

そして、作曲の面でもバンドをまとめる上でも大きな役割を果たしていたであろうイジーも、巨大になったバンドの喧騒に嫌気が差したのか、『Use Your Illusion』がリリースされたところで居なくなってしまいます。これはその後のバンドの歴史を見ても、大きな損失だっただろうと思います。

私の世代で音楽を聴いていた人の多くが彼らの登場には何らかの影響を受けたと思いますし、ヤンチャな連中に眉をひそめた人でも無視することはできなかったくらいに大きなうねりを起こしたのが当時のガンズ・アンド・ローゼズでした。

それにしても、お互いのバンド名から取ったとはいえ、ずいぶんとカッコいい彼らにぴったりのナスティなバンド名になったもんです。その音楽や彼らの態度はもちろん、バンドロゴやアルバムジャケット、派生するポスターやTシャツなどの全てがカッコよく、あの頃の私達にはまさしく“俺たちのGuns N’ Roses”だったのです。

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