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聴く順序が逆になってしまったアーティスト達

noteに投稿するようになってから、iTunesライブラリでアルバムを年代順に並べて自分が聴いてきた音楽を振り返るようになりました。FM番組やFM雑誌、MTVなどの影響で私の関心が洋楽へ移り始めたのはどうやら1985年頃になるようです。

そんな洋楽を聴き始めた時代を眺めていると、バンドを離れてソロ活動が中心となりつつあるアーティストが多いことに気がつきました。以下に挙げてみますと、

◆スティング(元ポリス、『The Dream Of The Blue Turtle』が大ヒット)
◆ドン・ヘンリー(イーグルス、「Boys Of Summer」がMTVでヘビロテ)
◆グレン・フライ(元イーグルス、「You Belong To The City」が大ヒット)
◆デイヴ・リー・ロス(元ヴァン・ヘイレン、「Yankee Rose」で大暴れ)
◆フィル・コリンズ(ジェネシス、この頃は無双状態)
◆ピーター・ガブリエル(元ジェネシス、『So』からのMVがヘビロテ)
◆ピーター・セテラ(元シカゴ、「Glory Of Love」が大ヒット)
◆ロビー・ロバートソン(元ザ・バンド、1stソロアルバムをリリース)
◆ルー・グラム(フォリナー、「Midnight Blue」が大ヒット)

と、自分がしっかりと聴いたアーティストだけでもこのくらい出てきます。この頃はローリング・ストーンズが危うい状態で、ミックもキースもソロアルバムを出していましたし、フレディ・マーキュリーもソロ活動中(ノエビア)でした。

何が言いたいのかと申しますと、私が初めて聴いた時に彼らはソロ・アーティストとして存在しており、当然ながらまずソロの人として認識することから始まっているということなのです。

スティングで言えば、「If You Love Somebody Set Them Free」で好きになってから、元はポリスというバンドにいたことを知り、「Every Breath You Take」を聴いて「これもスティング⁈ っていうかポリス⁈」と驚くというような現象が上記アーティストのほとんどで起こったのです。

知る順序が逆とでも言いましょうか、それはそれは混乱したものでした。

ヴァン・ヘイレンの「Jump」も初めて聴いた時にはデイヴの曲だと思っていたはずで、既にサミーがヴォーカルだったヴァン・ヘイレンとデイヴ在籍時の「Jump」が結びつくまでには少し時間がかかった記憶があります。

ドン・ヘンリーがイーグルスで「Hotel California」を歌っているだけでなく、ドラムまで叩いていることにも驚きましたし、フィル・コリンズでは『Invisible Touch』の時に同じような現象が起こります。「バンドの人だったの⁈」と驚き、そこへ加えてピーター・ガブリエルがジェネシスの元ヴォーカルだったと知り、「え? じゃ、その時フィルは?」と余計に混乱しました。

しかも、今と違って後追いするのがそれほど容易ではない時代で、実際にプログレ期のジェネシスや、同じようにソロの人として認識していたオジーやディオがいた頃のブラック・サバスを聴くのはかなり後になってしまいました。

こうやって振り返ると、こと音楽体験に関して言えば「もう少しだけ早く生まれていたらよかったな」と、彼らがバンドにいる頃からその音楽を聴いていた人達を羨ましく思います。

私が初めて聴いた時のドン・ヘンリーやフィル・コリンズなんかは既に何作目かのソロアルバムだったわけですが、スティングやデイヴはソロ・デビューだったわけですし、せめてそのくらいは経緯を知った上で聴けたらよかったなーと思ってしまいます。ジャズっぽいスティングを聴いてからロックなポリスを知ることになってしまいましたし、スティーヴ・ヴァイとビリー・シーンを従えるデイヴを聴いてから『1984』を聴く流れになりました。なんか残念です。

ただ、これは「ないものねだり」で、ミュージック・シーンがひときわ華やかだったあの頃(そのぶん、中身の伴わないものも多くて軽んじられているように感じることも多いですけど)に音楽を知れたことには感謝していますし、いまも音楽を聴き続けているのはこの巡り合わせがあればこそだったと思います。

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