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再エネ事業と地域活性化の意外な関係 東急不動産が北海道・松前町に拠点

 東急不動産は先日、北海道松前町で「TENOHA松前」を2024年5月15日にオープンしたことを発表しました。この施設は、近隣にある「道の駅」との機能補完を目指して、町内外の人たちが仕事や勉強などに使える場を提供し、さまざまなイベントを企画して、松前町の情報発信の場とすることを計画しています。「TENOHA松前」は木造2階建てで、主要幹線道路である国道228号線「松城バス停」に隣接して立地。コワーキングスペースやラウンジ、貸しオフィスなどを備えるとともに、同社のオフィスも入居しています。

 オープンを記念したセレモニーでは、東急不動産の星野浩明社長が「今後、TENOHA松前は松前町の皆さんの生活に根差したまちづくりの活動拠点として、また観光客の方々に松前町の魅力をさらに知っていただく『開かれた拠点』となることを目指し、『みんなでつくる、育む』をキーワードに、名実ともに松前町の新しい顔となれるよう、施設を育ててまいりたい」と挨拶したそうです。

陸上風力発電事業を展開

北海道松前町の陸上風力発電(2022年8月撮影)

 東急不動産は、2019年から松前町で陸上風力発電事業を展開しています。同社は松前町を展開する風力発電事業の最重要拠点と位置付けています。さらに、松前町と同年12月には「再生可能エネルギー事業の推進と地域活性化」に関する協定を締結し、2023年3月には松前町と同社が共同作成した将来ビジョン「スマートシュリンクSXビジョン」を策定しています。松前町は人口減少の課題を抱えており、地域に新たに働く場を求めていました。

地元のお祭りにも積極的に参加

陸上風力発電の電気をバッテリーにためて地元の夏祭りの照明で使用(2022年8月撮影)

 東急不動産は、松前町で陸上風力発電事業を展開するだけでなく、地域活性化にも同時に取り組んでいます。松前町の将来ビジョンの策定に関わるといった町全体の施策だけなく、地域のお祭りに再エネに関わる展示やゲームなどの出店したり、風力発電の電気を携帯バッテリーに蓄電して、お祭り会場の照明に使用したりしています。「TENOHA松前」ができる以前から、現地事務所があり、同社社員が常駐しています。

 同社は北海道での事業展開に力を入れており、石狩市でデータセンターを2026年に開設。ここではすべての電力を再生可能エネルギーでまかなうことにしています。また、今や世界的なリゾートして有名となったニセコにおいてもスキー場の運営を行っています。同社は、松前町において将来的に海上に風力発電装置を設置する「洋上風力発電」も行うことも検討しています。

 デベロッパーが新たな開発事業を円滑に進めるには、地域住民との協力が不可欠です。それは森ビルの「麻布台ヒルズ」のような都心再開発でも、今回のような地方の事業でも同じことです。事業とは直接は関係ない、地域に根ざした地道な取り組みをどこまで本気でできるのか、これからのデベロッパーが開発事業で求められていることではないでしょうか。

 

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