箸の駆け込み寺
毎年、夏休みと春休みに箸の指導の依頼が多くあります。
夏休みは、有名私立小学校主に女子校を受験される年長児です。
お受験の塾に通っていらっしゃる方がほとんどですが、
「箸がまだ仕上がっていません」「受験までに箸の持ち方を直してください」など
箸がまだ仕上がっていません???
受験をしなければ仕上げないのかしら・・・
それにしても箸の持ち方を仕上げるという表現は、ちょっとおかしいような・・・
昨年9月末頃、公的機関主催の箸の持ち方講習の講師をした際、主催者から「講座終了後に個別対応してほしい方がいらっしゃいますので、少しお時間を頂けますか」と
親子3人で参加されていたので、すぐにわかりました。
他の受講者が帰った後、話を聞くと受験前とのこと、小学校の受験は、10月~11月上旬のところが多く、こんな時期にと思いましたが、会場で簡単に指導をし、後は個別レッスンで2回ほどご自宅へ訪問し、無事合格されました。
そして、私はご両親へ一言「一緒に練習してください」
同じように3月入園前、入学前にも同じようなことが多々あります。
幼稚園から「入園前に箸で食事が出来るようにしてくださいと言われ、困っています」
3年保育で幼稚園へ入園するお子様は、まだ3歳です。
スプーンも上手に持てない子もいます。それなのに箸は難しいです。
保育園は、厚生労働省の管轄で、保育指針の中で箸の指導も入っていますが、幼稚園は文科省管轄の為、残念ながら食育指導という形で、詳しく箸の指導については提示されていません。
幼保連携になり、最近は少し変わってきていますが、幼稚園側の言い分もわかるような気がします。
3月の入学前、年長児向けの箸の持ち方講習を依頼されますが、どこの会場も満席。
ありがたいことですが、6歳児はほとんどの子がすでにどんな持ち方であれ、箸が使えているので、箸の矯正指導になってしまいます。
まあ、子どもにとって迷惑な話です。
何か悪いのか?
どうして持ち方を変えなくてはいけないのか?
ちゃんとご飯は食べられるのに、教えてもらった持ち方では、上手くつかえないよう~
と心の声が聞こえてきます。
脇に座っているお母さんは、「ちゃんと教わって」「ほら、こうでしょ」など口うるさく言っています。
ちょっと意地悪ばあさんの私は、お母さん方の持ち方もチェックします。
「お母さんも、お箸を持ってみて下さい。動かしてみてください」
次の言葉は、「はい、お母さんも一緒に練習ですね」
応募者多数で抽選になり、運よく抽選に当たって参加した15組の親子の内、お母さんが正しくお箸を持てていた方は、たったの3名でした。
中には、「私がお箸を上手に持てないので、子どもに教えられません」と堂々と言って来ます。
なんとわがままな親なのでしょうか。
確かに以前マイナビの調査で大学生の6割が正しくお箸を持つ必要が無いと答えています。
その世代が親になると、子どもにはお箸を正しく持たせたい、98%になります。
不思議ですよね。
子どもの発達に合わせて、段階を踏んでいけば、どの子もお箸を正しく持てるようになりますが、親の早く持たせたいという気持ちが先行して、身体と脳のバランスも考えずに箸トレーニングを開始したことで、変な癖がつき、切羽詰まって私のとことへ駈け込んできます。
子どもの成長を見守り、しっかりと向き合って箸トレーニング開始のタイミングを見極めれば、箸は難しくないです。