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ボードゲームを作る理由〜少年時代編(3)〜【1-3】

この記事は私HOUROUが現在ボードゲームを作る理由を再確認しようと、少年時代に遡った話の続きです。
前回をまだお読みでない方は、下記のリンクからご覧ください。

ボードゲームを作る理由〜少年時代編(1)〜

ボードゲームを作る理由〜少年時代編(2)〜

新しく着手したカードゲームは2人用の対戦ゲームでした。
当時の子供界は空前のカードゲームブームでしたから、そのニーズにも応えた形になりました。

ルールは20枚ほどのカードを各プレイヤーがデッキとして持ち、そのデッキから数枚の手札を構成します。
互いのプレイヤーはそれぞれの手番にて手札からカードを場に出します。カードにはモンスターなどが描かれ、特有の攻撃力、防御力、能力があって……と、やはりその当時に世に出ているカードゲームの亜流でした。
ただ、この時の自分を末恐ろしいと思うのは、その20枚のデッキの1枚1枚がそれぞれ異なり(それぞれ固有のモンスター、イラスト、能力)で作られていたこと、そしてそれがプレイヤーごとにオリジナルのデッキだったことです。
単純にプレイヤーが5人いれば、100枚のオリジナル手書きカードを生産したことになります。クオリティはさておき。

このゲームの生産により前回のすごろく風紙ペンゲームとは異なる光景が教室内に散見されました。前作のような一箇所集中型ではなく、2人組が何箇所かでゲームをしているのです。
男の子たちはそれぞれ自分のデッキを持ちよって対戦していました。

一方で、観覧者はいなくなりました。
前回のゲームは「私の作ったゲーム」を中心とした輪が形成されていました。
輪は集団であり、非常に参加しやすく、同調性も生まれやすいものです。
3人目は中々にハードルが高い。

いや、これは一概に悪いことではなかったと思います。
当時の私は多くの男の子に遊んでもらおうと、前回観覧者だった男の子たち向けにもデッキを生産し始めていました。
よってゲーム自体の参加者は増えていたのです。

問題は、「速度」と「優先順位」でした。

いわゆるオーダーメイドに近い形ですから、生産速度には限界があります。

私は近しい友人から優先的にデッキを配りました。それは前回のすごろく風紙ペンゲームでもプレイヤーになってくれた男の子たちです。
そしてそれを終えると、同ゲームで観覧者として周囲にいた男の子たちのデッキに着手しました。

観覧者の中の誰から優先的に配ったかはもう覚えていません。
これが商業でしたら、先着や抽選などの処置ができたでしょう。
しかし、浅はかだった私はーーいや、浅はかですらなく、何も考えていなかった私は、生産で手一杯だったのです。
その注意は内側にしか向けられておらず。

言い換えれば、水を注ぐことにしか集中していなかったのです。
器の大きさに、そして水が溢れていることに、意識は注がれていませんでした。

そして、ついに、「事件」は起きます。

端的にその事件の内容を言えば、私の作ったカードゲームの「盗難」でした。

私が配ったデッキはそれぞれ男の子たちが引き出しに入れ、個々に管理していました。とある男の子が使っていた、保管していたはずのデッキがなくなった。その子は確実にここにあったはずと主張したことで、「盗難」として認定されました。

速やかに学級会が開催されました。
あの重々しさと責任感は忘れることはないでしょう。

一方で、犯人が誰だったのか、そもそも見つかったのか、名乗りでたのかは不思議と覚えていません。

私はというと、ただ罪の意識に苛まれていました。
人を楽しませるはずだったゲームで学級会が開かれてしまったこと。
誰かに罪を負わせてしまったこと。
その落差に。
ただただ絶望しました。
盗んだゲームで遊ぶことなんて、できないだろうに。
でもその浅はかさは、青さは、妬ましさは、きっと私が生み出してしまったのでしょう。

先ほども言ったように、それから事件がどう終息したのかは分かりません。
学級会後に、犯人は現れたのか。
デッキは見つかり、返されたのか。

ただ一つの結果として、その事件以降、私のゲームで遊ぶ人はいなくなりました。
私も特にクラスメイトのために新しいゲームを作りませんでした。

申し添えておきたいのは、担任の先生は間違っていなかっただろうということです。
盗むことは罪です。
私が罪悪感を負うことを差し引けば、とても良い教訓だとも思いますし、犯人の子が(いたとしたならば)この盗みを最後にして欲しいという強い想いもあったでしょう。

私の青く幼い炎が、わずかに短く光を放ち、消えた。
それだけのこと。

……以上、長くなりましたが、私の小学校時代のゲーム作りの思い出です。
そしてこの青い炎の消し炭が、はたまた消えていなかった炎が、現在のボードゲームを作る原点になっていることは間違いありません。

これで起承転結の起を終わりにします。
なんか壮大になっちゃったなあ。
次回は承として中高生時代を回想してみます。

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炎に薪をくべてください(^^)

それではまた。

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